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東条首相手記

敗戦記念日が、明後日に迫った。この時期になると、毎年必ず「太平洋戦争」に関する何らかの資料が出て来る。今回出てきたのは、開戦時の首相東条英機氏の手記。東京裁判(S46年~48年)で東条氏の主任弁護人だった清瀬一郎氏が法務省へ寄贈したものとか。同省は東条氏の「直筆」として内容を転写し、原本とともに国立公文書館に移管していたと言う。

メモは、「国体護持」を条件に連合国側のャcダム宣言の受け入れを御前会議が決めた10日に始まる。すでに首相を辞めていた東条氏を含む首相経験者らは、重臣会議で経緯を説明され、意見を求められた。東条氏は、天皇に上奏したとする内容を「奉答要氏vとして細かく残していた訳だ。

新聞等が伝える「東条メモ」の中心は、ャcダム宣言が求める「日本国軍隊の完全武装解除」への懸念だ。「手足を先ずもぎ取り、しかも命を敵側の料理にゆだねる」ようだと例えながら、武装解除に応じてしまえば、国体護持は「空念仏に過ぎなくなる」と訴えているとか。「敵側」が国体護持を否定する態度に出れば「たとえ一億人が一人となっても、敢然と戦うべきだ」と上奏したとも、報じている。この辺りは「天皇制維持」議論で、戦争終結が長引き、結局、原爆投下をも招いた事とも関係がある。

戦争の目的は「自存自衛」「東亜の安定」にあり、目の前の戦況に心を奪われないよう主張し、長崎に原爆が投下されて後も、「無条件降伏を応諾」すれば「ともすれば、一般に安易に考えている国民だから、軍部を呪うような事態になる」と記し、国民の反応を気にする姿が見える。さらに日本軍は「相当の実力を保持している」と意見を述べ、「簡単に降伏に賛成するような国政指導者および国民が、こんなに無気力だったとは、夢にも思わなかった。」と当時の内閣や国民に不満をぶつけた表現もあるとか。

「敵側の法廷に立つようなことは、日本人として取らない」と書き、自決を示唆した。しかし、9月11日、東条氏は銃自殺を試みて失敗している。陸軍の中枢部に座り続け、あくまで徹底抗戦を呼号し続けた陸軍大将は、やはり、一介の軍人に過ぎなかった。先を見る目とか、世界的視野、国民一般を眺める見識に欠けていたのだ。しかも、あれほど敵陣営に下る事を忌んでいたのに、自殺にも失敗し、おめおめと軍事法廷に引き出され、「絞首刑」を宣告されて、刑場の露と消えた。

彼の常套句は「ここで引き下がったら、戦場で死んで行った将兵の霊に申し訳ない」だった。日本軍の大陸侵攻を非難する世界各国の意見を入れて、軍を撤退させることへの詭弁的反論である。「戦場で沢山の戦死者を出した」のは、富国強兵策を推し進めた軍部の指導者達のせいである。世界的視野を持ち、各国と協調路線を取り続け「軟弱外交」と批判された昭和の名外相幣原氏と比較すれば、政治的見識の差は歴然としている。首相を勤めるほどの政治家だったら、進むだけではなく、自身の命と引き換えにしても、退く時の心構えも必要だったのではないか。軍人に権力を持たせては、ろくな事はないのだ。(手記原文は意訳してある)。

 

コメント一覧

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あきらさん

戦時中は、国民の殆どが「洗脳」されていました。「大和民族」の優秀さや「帝国軍隊」強大さを信じていました。教育の恐ろしさです。21世紀の現在、「狂信的」な指導者に踊らされて戦っている人達がいます。醒めてよく眺めて見れば、「神」は民衆を目晦ます道具に過ぎない、と分かるんですがね。
あきら
私が終戦を迎えたのは、縁故疎開先の国民学校(今の小学校)4年生の時。敗戦になる前、校長先生は、「日本は、まだ飛行機がいっぱいあって、いざと言う時には飛び立つことが出来ます。」と言っていました。しかしk子供心に、米英のB29が悠々と日本の上空を飛んでいくのを見て、ホントに日本に飛行機があるのかなあと思っていました。
体育の時間に窒竄閧フ練習をするのですが、これはきっと、米英の兵士が落下傘で降りてきた時に、お尻を突き刺してやるのだと信じていました。子供心にいっぱし戦う心を持っていました。洗脳されるとは恐ろしいことです。
それなのに、東條の手記には、「新爆弾に怯え、ソ連の参戦に腰を抜かし・・・」とか、「簡単に手を挙ぐるがごとき国政指導者及び国民の無気魂なりとは・・・」とかかれています。東條は、国民1億を道連れにして、玉砕する覚悟だったのでしょうか。
狂気の指導者を持った国民は、これ以上の不幸はありません。
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