自民党の「魔の2回生議員」の愚行も要因に違いないが、何と言っても1国の首相が、親しい友人に、法外な便宜を図ったとなれば、国民の目が厳しくなるのは当然だ。それを自覚した首相が、自ら潔白を証明すべく、この「閉会中審査」を望んだと言う。与党側の自民党・小野寺五典氏、公明党・上田勇氏は「経済特区」の必要性や重要性を唱え、寧ろ首相の英断だと持ち上げた。しかし、野党の質問になると、様相が1変し、民進党・大串博志氏、今井雅人氏、玉木雄一郎視、共産党・宮本徹氏、などの追及に、「覚えていない」とか「記憶にない」と曖昧な答弁を繰り返す、和泉洋人・首相補佐官、内閣府の藤原豊・前審議官、或いは、柳瀬唯夫・元首相秘書官に比べて、明快に答弁する前川喜平・前文部科学事務次官の明晰な態度が目立った。
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「衆院閉会中審査」風景。目を瞑って、一言も発言しない閣僚もいた。
(インターネットより借用)
しかし、質問の矛先は、当然ながら「安倍首相」本人に向けられるものが、大半だった。「李下に冠を正さず」の言葉を引いて、自らの友人に、有利な結果になっていることに反省の意を表したが、「決して便宜を、図っていない」と断言し、「国家戦略特区」を儲けて、従来の「固い岩盤」にか風穴を空けたことを、自賛した。あくまで個人だけの意思ではなく、多くの人を悩ませている「各種規制」の撤廃に取り組み、多くの人の希望や期待に副うようにした獅ュ調した。
しかし、例えば、大串氏の質問、「加計学園の加計孝太郎理事長と首相が過去14回食事やゴルフを共にしたとし、うち6回は昨年7月以降だ」と指摘。「新設の話がドッと進んだ夏から秋に、これだけ接触している。一度も獣医学部新設が話題に上らなかったのか」と言うのに対して、 首相は、加計氏について「政治家になるずっと前、学生時代からの友人だ。彼が、私の地位を利用して何かを成し遂げようとしたことは、ただの一度もない」とした上で「加計学園の獣医学部新設に、理事長から頼まれたりしたことは一切ない」と断言した。
まだ、明日には「参議院」での「閉会中審査」が行われる。多分同じような質疑が繰り返されることだろう。「真相は藪の中」である。しかし、見ている国民の多くは「お友達」を大事にする安倍首相の姿を肌で感じ、何が真実だったのか、感じ取っていると思う。「支持率回復」を意図した首相の狙い通りになるか、どうか。仙台市長選でも、自民党の推す候補者が敗れた。安倍内閣の続投を望まない世論が高まっている。8月の内閣改造で、果たして支持率が上向くのか。「改憲反対」の国民の声も大きい。しかし、民進党をはじめとする野党も支持率を下げている。国民も悩んでいるのだ。