秋の白薔薇

　　　　　


　　　　　幼な日の白色や秋の白薔薇


　　　　　


　　　　　戻らぬ日の懐かし秋の白薔薇


　　　　　


　　　　　老い二人睦まじく秋の白薔薇


　　　　　老いの独り暮しや秋の白薔薇

上向いて立って熟る山法師の実

　　　　　


　　　　　


　　　　　手に摘んだ木の実を君に届けたい


　　　　　君想い丁寧に摘む木の実かな


　　　　　木の実熟れても恋は熟れず落ちゆく

おしろいやおてんばの下駄つっかけて

　　　　　


　　　　　おしろいやおかっぱのさっちゃんが来る


　　　　　


　　　　　おしろいの輪の中ひとりをのこゐて


　　　　　


　　　　　湯帰りのをんなの過ぎて白粉花


　　　　　


　　　　　おしろいの中に絞りの品のあり


　　　　　おしろいや夕餉忘れて立ち話