公開日5日目にもなると、既に色々他人様の感想を読んでしまってるわけで、悩ましいなぁと思ってたのだけど、それなりに楽しめました。
原作を3度くらい読んでいるので、「実は大阪国と言うものがあってな」と言うところから説明を受けずに済んだのはラッキーだったと言うべきか。
どちらかと言えば、ああ、空堀から大阪城へ続くトンネルはこんな風になったのか、ああ、「太閤」、えらいレトロなお好み焼屋だなとか、それはそれで面白いです。
中井貴一さんが、とてもいい演技をしていて、原作の真田幸一さんよりはるかにかっこいい。
沢木ルカちゃんが、たまらん。
原作では、茶子の細い目にこだわっていたけど、ルカ茶子の目ヂカラも素晴らしい。
あと、大阪城があんなにデカいと初めて知った。
あれは、府庁から撮影してるんだろうか。
あれほどデカく感じられる構図の大阪城は珍しい。
盛ってないよね・・・?
まぁ、「わけわからん」と前に座ってる人が呟くのも、しょうがないかなぁ、とは思ったけど・・
(ここからネタバレ)
基本、小説と映画は別モノだと思っているので、ストーリーが改変されるのはそんな気にしない方です。
でも、核になるテーマは大事かな、と思う。
大阪と言う街と、そこに暮らす人々を映し取ること
父と息子が紡いで行く物語
この二つは、大事にして欲しかったかなぁ。
大阪人ではないけど、大阪に長いこと住んで、今も仕事してる身としては、もっと普通の大阪の街を見せて欲しかった。自分の知っている大阪とはあまりにもかけ離れていて(新世界や道頓堀も確かに大阪ではあるけれど)、これはどこのアジアの街かどだろう、と思ってしまった・・。
空堀商店街も、あの辺りは大阪でも随一の文教地区と言われて、どちらかと言うとのんびりし過ぎて眠たくなるような所です。
大輔と茶子を中心とした、大阪人の物語を大阪人側から描いて欲しかったとか、松平の父親の設定は変えて欲しくなかったなぁ、とか、ちょっと気にはなりました。
大阪を丁寧に描かなければ、大阪国と言うものにリアリティーを持たせられない。
松平の父親が官僚のエリート中のエリートであり、息子に対しても温かい言葉のひとつも掛けないような冷酷な男だったからこそ、そんな男をしても、息子にどうしても大阪国の事を、大阪国人として生きる事を伝えたいと思わせた、父としての息子への義務の大きさを知らされる。絶ち難い父と息子の物語を理解したからこそ、それが大阪国の存在意義なのだと理解したからこそ、松平は手を引いたのではないのか。
・・などとは、少し思いました。
うーん、でも、最後のクレジットで大阪関連の名前がずらずら出て来た時、たくさんの思いが詰まってるんだなーと思って、「わけわからん」と片付けられてしまうと、ちょっと悲しい。