〔よしなしごと)『言葉の宝箱』《かくしごと》

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

青山美智子【まだダメって思えるなら、絶対大丈夫だ。まだダメと、もうダメは、ぜんぜん違うんだ。まだってことは、これからがあるんだろ】

2025-01-18 12:22:18 | 青山美智子


『猫のお告げは樹の下で』青山美智子(宝島社2018/9/28)

 

お告げの意味に気づいた時ふわっと心があたたかくなる。
失恋のショックから立ち直れないミハルはふと立ち寄った神社でお尻に星のマークがついた猫、
ミクジから「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。
宮司さんから「その“お告げ"を大事にした方が良いですよ」と言われた
ミハルは「西向き」のマンションを買った少し苦手なおばの家を訪れる。
中学生の娘と仲良くなりたい父親。
なりたいものが分からない大学生。
家族をないがしろにしたと後悔する頑固おやじ。
転校先でクラスに馴染めない男の子。
20年来の夢を諦めるべきか迷う専業主婦。
自分のしたいことに臆病になった占い師。
なんでもない言葉をきっかけに思い悩む人達の世界がガラッと変わっていく。
猫のお告げが導く7つのやさしい物語。
[一枚目]ニシムキ [二枚目] チケット [三枚目] ポイント [四枚目] タネマキ
[五枚目] マンナカ [六枚目] スペース [七枚目] タマタマ [ここだけの話]



・走ったら忘れる(略)
地を蹴る、風を裂く。
私が脚に力をこめればこめるほど、視界がスピードを上げて後ろへ飛ぶ。
目の前にあった建物や街路樹や人を、どんどん置き去りにしていく。
過去へ。過去へ。過去へ。
猛烈な悔しさも苛立ちも、
走り終えるころには汗と一緒に流れ落ちて、たいていのことはどうでもよくなる。
この「どうでもよくなる」っていうことが、
人生を平穏に過ごすためにとっても大事なことだ。
どうでもいいから忘れる。
嫌なことって、たいがい自分にとってどうでもいいことだと思う。
私を幸せな気持ちにしてくれない出来事なんて、覚えている価値もない。
そうやって私は、今までいろんなことを乗り越えてきた P11


・誰かを好きって気持ちがこんなに楽しいってことが、うらやましい P18


・誰かを好きになるって、その人が自分に混ざることだもの(略)
失恋には時薬が必要だよ(略)
残念、消えません。消さなくていいの。
その痛みは消えるんじゃなくて、別のものに変わっていくんだよ(略)
それは人それぞれ。
誰かを幸せにするほど素敵なものになるか、
自分を追い込むほど醜くてみっともないものになるか、
自分次第 P29


・同じ状態なんて続かないからね。
良くも悪くも、自分も周りも P33


・恋だけじゃない、好きな人は(略)
きっと私に混ざる P36


・ただそこにいるだけで人を集めてしまう、
天性のやわらかな空気 P56


・欲望は、不可能を可能にするんだよ。
おまえももっと欲しがっていいんだ。
そうしたら、今よりもっといろんなことができるようになる P78


・オレにしかできないことなんて、ないよ(略)
慎しかできないことって考えたらしんどいかもしれない。
だけど、慎だからできるんだってことが、きっとある P102


・もう、考えるのはやめてしまったんですか(略)
何かの答えを見出すのは素晴らしいことです。
でも、そこにたどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそ人生と呼ぶんじゃないかと、
私は思うんですけれどね P107


・僕はずっと、どくへ行けばいいのかわからないって思っていた。
何を選べばいいのか、何を決めればいいのか。

先にある終着点だけを探していた。
でも、それよりも前に、もっとわかっていないことがあった。
まず知るべきは、目的地じゃない。現在地だったんだ P109


・まだダメって思えるなら、絶対大丈夫だ。
まだダメと、もうダメは、ぜんぜん違うんだ。
まだってことは、これからがあるんだろ P116


・神なんて。神なんて、いない。
百歩譲ってもしいるとしても、ワシのことなど見ていない(略)
神さんよ。もし本当にいるなら、聞いてくれ。
このまま何事も起こさず、静かに残りの人生を終わらせてくれないか。
何も苦しむことなく、誰のことを苦しめることなく P130


・凶を引いた人の多くが、もう一度引きたがります(略)
自分が凶なんて納得いかないってことなのか、
凶を引いたら不幸になると思っているのか。
凶で終われないというのが人情のようです P156


・神様って、個人に何かしてくれるってことは稀だと思うんですよ。
もちろん、そういうこともないとは言いません。
でもそれよりも、人間には到底かなわない、人智を超えた圧倒的で抗えない力が常にそばにあって、
わたしたちがそこから勝手に何かを受け取ったり拒絶したりしていくことのほうが多い気がするんです。
わたしはそちらのほうに、より神を感じます P159

・ワシはもう、待っていても仕方ないのか。
そうか、待っていなくて、いいのか P162


・これよりも、もっともっとつらいことが山ほどあるのか P199


・自分のいるところが真ん中。
自分が本当に思うことが真ん中。
自分の中の真ん中。
それがこの世界の、真ん中だ P212


・フェイドアウトしつつあると思っていた夢が、
まだぜんぜん終わっていないと確信した P221


・才能がないのだ。

でもそれすらも、言い訳なのかもしれない P222

・あきらめることが願いになるなんて P230


・最初はきれいなものでも、
不要にたまっていくと穢れになります P234


・うまくいかないことを人のせい、年のせいにばかりしている私。
いつからこんなにヒネてしまったのだろう(略)
今では卑屈さや嫉妬を夢よりも大きく育ててしまった P251


・戦うことはありません。
新しく良いものを入れるには、出すのが先です。
入ってくるすきまをつくらないと(略)
わたしたちは生きているかぎり、
他者からの邪気をキャッチしたり、
ネガティブな感情を抱えてしまう。

そのつど、あなたの中のスペースをきれいにすればいいんです P253

・戦わなくていい。
誰とも、自分とも。
不要だと思うような感情が生まれてしまったときは、そのつどさっと祓えばいい P260


・「うまくいかない人」ではなくて「うまくいかないと思っている人」が多いだけだった。
俯瞰で見れば、たいていの人はそれなりにうまくいっているのだ。
その証拠に彼らは一様に「自分以外は、みんなうまくいっている」と

口を揃えてうらやましがるのだから P271

・今はつらいだけの気持ちも、
時間がたてば、これから素敵なものに変わるかもしれない P285


・神道では、魂は大きく分けてアラタマ、ニギタマのふたつがあると考えられていてね(略)
荒魂は勇猛果敢で強いエネルギー。
でもその勢いで災いを引き起こしてしまう面もある。
和魂は平和や謙遜、献身。
優しい魂はですが、これだけでは弱すぎて進めません。
どちらも必要だし、あって然るべきなんです(略)
どんな場面で、どんなふうに、どちらの魂を活発にするかで人生は変わってくるのかもしれません。
タマはふたつとも、普段から磨いていかないとね(略)
荒魂、和魂。どちらも外せないセットなのだとしたら、
ふたつのタマは、お互いにぶつかりながら磨かれていくように用意されたのかもしれない。
それはきっと、どんな気持ちにも、ちゃんと意味があるっていうことだ P301