『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子(宝島社2021/9/23)
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店『マーブル・カフェ』が定休日の月曜日に、1度だけ『抹茶カフェ』を開くことに。
ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶問屋の若旦那、
妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、
恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、
時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマンなど。
この縁はきっと宝物になる。
人は知らず知らずのうちに誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都を繋ぐ一年、心癒やされる12話連作短編集。
『木曜日にはココアを』の続編。
・何をしてもうまくいかない日ってあるものだ P7
・人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ。
縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。
小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。
種のときは想像もつかないような P14
・ノリの良さと運の良さは比例する P20
・思い出って、流れ流れゆく時間を留めておくピンのようなものかもしれませんね。
だけど留める場所は人それぞれだから、
ピンの位置がちょっとずれちゃったりもするんですよ P38
・僕たちはみんな、自分が覚えたいように覚えてるだけかもしれない P41
・痛みを覚えることは、痛くないようにする方法も一緒に覚えることと等しかった P45
・いくら一生懸命に良いものを作っても、気づかなければ「ない」のと同じなのだ P47
・卒業って、次のステージに行っておしまいじゃなくて、
ここまでがんばってきたことをたどって自分で自分を認めたり、
支えてくれた人たちにあらためて感謝したりの節目ってことでもあるんだわ P59
・話の通じない相手にケンカをふっかけたところで、意義のある対戦になるわけもない。
負けない自信はあるが、そもそもどうなったら勝ちなのかよくわからない P80
・この世はとかくままならない。
私たちは、あらゆる苦難と立ち向かい、乗り越えていかなければならない。
自分で操る手立てのない、想定できない災いすべてを受け止めて P115
・性格違うほうがうまくいくこともある P145
・人が輝く場所もタイミングも、それぞれ P164
・技術的に上手いか下手かじゃなくて、どれだけ描きたいことがあるかだ P176
・望み通り想定したままのことを手に入れたとしても、
それだけじゃ夢が叶ったとは言えないんだよ(略)
どんどん自分の予想を超えた展開になって、
それをちゃんとモノにしていくっていうのが、
本当に夢を実現するってことなんじゃないかな P178
・変化していく環境の中で少しずつのマイナーチェンジは必要なことなのだと、
そうすればできることが広がっていくのだと、励まされたような気がした P208
・縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。
どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうぐらいに。
ひとつひとつ交わす言葉や、わずかでも顔を合わせる時間や、相手へのそのつどの思いやりや……
丹精込めて手をかけて、続いていくものなんですよ P213