〔よしなしごと)『言葉の宝箱』《かくしごと》

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

吉永南央【なんでも糧にするのよ。そういう気持ちさえあれば、よかったと思える日がきっと来る】

2025-01-25 08:31:06 | 吉永南央


『名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ③』吉永南央(文春文庫2014/7/10)

 

北関東のある地方都市、観音さまが見下ろす街の紅雲町でコーヒー豆と和食器の店『小蔵屋』を営む気丈な老婆杉浦草。
人々を温かく見守り続ける彼女は無料のコーヒーを目当てに訪れる
常連たちとの会話がきっかけで街で起きた小さな事件の存在に気づいていくシリーズ第3弾。
今回は草がコーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が紅雲町のある街に出店を計画。
ミトモでは二代目の若手女性社長の令が紅雲町をリサーチしていた。
珈琲豆の仕入れに不安を感じた草は懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、
社長になった娘の令と彼女をサポートする井(い)との対応で逆に三友から相談されてしまう(『長月、ひと雨ごとに』)。
紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、
意欲に燃えている新聞記者の萩尾だが、事件の背景には意外な事情があった。
萩尾の元の雇い主で、草のコーヒーの師匠であるレストラン『ポンヌフアン』であるバクサンこと寺田博三は正義感が先行し、
やや危なかっしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住む草にお目付け役を依頼する(『霜月の虹』)。
草はこの事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で萩尾の民俗学の師匠である
勅使河原先生とその娘の美容師のミナホとも関わることになる。
草から見る、萩尾とミナホの関係はどこかギクシャクとした不思議な関係だった。
そんな中、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがり、
論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた。
『長月、ひと雨ごとに』『霜月の虹』『睦月に集う』『弥生の燈』『皐月の嵐に』『文月、名もなき花の』6話連作短編集。


・いいものなら、売れるところに行けば、売れる(略)
選択肢は、自分で広げられる P102

・幸、不幸は自分で感じること P131

・別れても、残るものはあります P160

・会いたいけれど、会いたくない。
ばかげた矛盾は、心の中では当たり前に成立する P187

・男と女が愛情ではなく、一体何で、一生結びつけられてしまっているというのか P189

・肝心なことは、見誤っちゃいけない(略)
どこかが食い違っていたら、そのままにはできない。
途中はごまかせても、最後にはとんでもないことになる P207

・思わぬところで、本音がこぼれ出してしまうものだ P223

・思い出せないなら、今から始められる P231

・ありがとうと言われるのは、いいものだ P244

・時のふるいにかけられて残ってきたものって、やっぱり、いいわねえ(略)
昔の人も願いごとは同じだったんだって感じますね。
好きな人とずっと一緒にいたいとか、長生きしたいとか P246

・願ってやまない幸せは、ずいぶん、ささやかなものだ。
家族や仲間がそばにいて、健康で、そこそこに収入があって、おいしく食べられて、よく眠れる(略)
でも現実には、それすら難しいので祈らずにはいられない P248

・離れて幸せということもある P280

・大切な人が、ここにいると感じる。
過ぎ去った時が、この場に降りつもっているのを体感する。
それだけで、過ぎゆくのみだった時は瞬く間に豊かな景色に変わる。
自分がその一部であり、また一部にしか過ぎないとも思う P282

・変わらないもののために働いてごらん。
そしたら楽になるから P293

・知らないということは、悲しいことですね P297

・なんでも糧にするのよ。そういう気持ちさえあれば、
よかったと思える日がきっと来る P307




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