Seriously?

ひとりごとです

映画 ■■ベイビー・ブローカー■■

2022年07月10日 | 映画

是枝監督作品

カンヌ国際映画祭で
主演男優賞と
エキュメニカル審査員賞の
二冠に輝く
 
 
映画 ■■ベイビー・ブローカー■■
 
 
なかなか良かった
是枝監督の作品は
ストーリーが追えなくて
「この人誰?」となることも
よくあるのだが
 
実はこの日
感染に怯えてて
マスク二重にしてたのだけど
息が苦しくて
頭痛くなったり
集中できなかったり
苦しかった…
 
 
さまざまな事情から
子どもを育てることができない
親が
匿名で子どもを託すことができる
熊本の慈恵病院が運営している
「こうのとりのゆりかご」
 
その韓国版「ベイビー・ボックス」に
預けられた赤ちゃんと
里親を探すブローカー達の話
 
と、言うと聞こえが良いが
実はより高い金で
赤ちゃんを売ろうとする
人身売買集団の話
 
 
 
韓国にも
「こうのとりのゆりかご」
のような仕組みがあるんだ…
と、調べてみたら
 
日本では開設から15年の間に
161人預けられたけど
 
韓国では毎年
200人以上の赤ちゃんが
預けられているとか
韓国の人口は日本の半分以下なのに
利用率(と言っていいのか)が
全然違って青ざめた
 
 
見ながら
「ああ、『万引き家族』と
同じね
家族ではないグループが
犯罪を犯しながら
まるで家族のように
お互いのことを大切にしながら
暮らしていく」
 
と、思いながら見てた
ああ、またですね
ワンパターンですね
 
でも、ラスト近くから
ググッと集中して行って
ラストシーンで緊張が
フワッと解けるような
心地よい感覚だった
(息が苦しかったけど)
 
 
 
 
 
 
ネタバレ感想
 
登場人物
①サンヒョン 
 クリーニング屋
 ベイビー・ブローカー
②ドンス 
 サンヒョンの相棒
 自分も養護施設出身
③ソヨン
 赤ちゃんをボックス前に
 置いた母親
 売春婦の元締めに育てられる
 赤ちゃんの父親を殺してしまう
④ヘジン
 ドンスの育った養護施設から
 逃げてきた子ども
⑤ウソン
 ソヨンの息子(赤ちゃん)
 養子を探す夫婦に売られる所
⑥スジン刑事
 人身売買の現行犯逮捕を狙う
 
①〜⑤が
一家のように過ごす
協力しながら労わりながら
 
①は離婚歴あり
 
②〜④は実の両親に
育ててもらえなかった
「自分は捨てられた」
「自分の誕生は
望まれていなかった」
と思っている
誰からも愛されていない
愛される価値のない存在だと
思っている
 
でも
この擬似家族の中で過ごすうち
ソヨンを見て
(ソヨンは自分が母親となってみて)
自分の親もソヨンのように
育てられない事情があって
致し方なく預けたのかも
本当は、自分は母親に
愛されていたのかも」
と、思うようになる
 
同じ傷を持つもの同士が
これから同じ傷を持つかもしれない
赤ん坊を必死に守る中で
不思議な絆が出来てくる
 
次の日はいよいよ
ウソンを希望する人に渡す日
と、なった時
「ソヨン、ウソンに何か
言葉をかけたら?
『生まれてきてくれて
ありがとう』とか」
と、言われてソヨンは
明かりを消して一人一人に
「生まれてきてくれて
ありがとう」
と、伝えるのだ
 
このシーンがとても良かった
 
親に育ててもらえなかったこと
それは
「この世の終わり」じゃない
 
傷ついた心は癒される
そして傷ついた心にこそ
人の傷を癒す力がある
 
子どもっぽかったソヨンが
今は全員の母親のように
聖母のように見えた
幼児期に愛されなくても
愛する力は生まれてくる
そう言っているようだった
 
 
グループの人身売買の現場を
おさえようとするスジン刑事は
子どもをボックスに置いていく
母親全般に
強い憎しみのようなものを示す
「この人も養護施設出身なのかな」
と、思ったが
なかなか子どもが
できなかったのかも知れない
激しい憎しみの理由は
よく分からなかった
 
でも最後に
スジン刑事が赤ちゃんを育てて
定期的にサンヒョン以外の
擬似家族は集合して
ウソン(2歳くらいになってた)の
成長を喜ぶ
 
ウソンを買おうとしていた夫婦も
逮捕後、執行猶予期間が終わったら
正式に養子縁組を
結ぶ予定なのだそう
(逮捕歴のある人に
養子縁組してもらえるのか
はなはだ疑問だったが…)
 
 
そしてその楽しそうな
一家集合のシーンを
車の中から見ている人がいる
 
ルームミラーに
みんなで撮ったプリクラの
小さなフレームが掛けてある
運転手の顔は映されないが
あれはサンヒョン
 
恐らく
ウソンを買おうとするヤクザ
殺してしまって
警察とヤクザから逃亡する日々を
送っている
 
だから遠くから見守るしか
できないけど
ウソンの成長が嬉しい
そして共に旅した偽の家族の
笑顔を見るのが嬉しい
 
走り去る車の中で
揺れるプリクラが
ウキウキと弾んでいるようで
愛おしかった
 
サンヒョンの未来は
決して明るくないけど
希望を感じた
 
「万引き家族」のラストはなんだか救われない気がしたのだけど
 
暖かい気持ちになる終わり方で
とても良かった
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