「もう別れよう。」
「いやよ!いやよ!結婚してくれるなら、やって欲しいこと何でもするから…」
彼らが結婚する1か月前、ヂェンヂェンのフィアンセであったリンは突然婚約を破棄しました。突然訪れたこの知らせに佐恵子は唖然としました。彼女はこれを受け入れたくなければ、彼らの愛を諦める気などさらさらありませんでした。こうして、彼女は電話で彼を引き留めようとしました。
しかし、リンは容赦なくその電話を切ってしまいました。
その瞬間、ヂェンヂェンの心は引き裂かれました。彼女は深い悲しみに圧倒されました。彼女は窓にもたれながら、ゆっくりと滑るように床に座り込んで気絶しそうになりました。彼女は窓越しに走り去る車と通り行く人混みを見ながら思い出にふけました…
その年、ヂェンヂェンは偶然リンと出会いました。リンは背が高くてハンサム、大きな目に太い眉、鼻の高い色黒の男性でした。さらに、彼はスーツと革靴をまとい、それが彼のボーイッシュな魅力をさらに際立てていました。大人らしく落ち着きのある彼は彼女の完璧な男性の条件を全て満たしていました。その瞬間、彼女は彼が理想の恋愛対象であると確信しました。
リンはよそよそしく、気難しい人でした。しかし、ヂェンヂェンは彼に惚れていたので、一緒にいた時にどのような衝突があっても彼を許していました。さらに、彼が国内の他の地域で仕事をして疲れていた時、彼女は彼を安心させて、元気付けようとしました。彼女は彼に自分の心を捧げていたのです。彼女は疲れ立てている時もありましたが、愛する男性のために努力することに幸せを感じていました。
「私が必死になって維持しようとした愛はこんな風に終わってしまうの?」ヂェンヂェンは自分に問いかけました。しかし、リンの冷たい言葉が耳の中で繰り返し鳴り響く中、彼女は心が引き裂かれたとしても、2人が寄りを戻すことはないと思いました。その瞬間、彼女は絶望感に駆られてこう考えました、「リンのいない人生に何の意味があるのよ?」
彼女の目には絶望の色が浮かび、彼女はこう思いました;「彼なしで生きるくらいなら死んだ方がましだわ。」これを頭に、彼女はゆっくりと立ち上り、飛び降りようと思って窓を開けようとしました。しかし、彼女は全力を出しても窓を開けることができませんでした。そして彼女はあまりの悲しさに力なく床の上に横たわり、涙が彼女のほっぺたを激しく流れ落ちました。。。
彼女の家族はこの結婚に反対していたので、その当時、彼女はこの心配を誰に打ち明ければよいのか全く分かりませんでした。こうして、彼女はこの叶わなかった愛を覚えておくため、悲しい気持を日記に書いておく必要がありました。
その当時、ヂェンヂェンは歩く死体のようでした。周りの人に見せた陰気な笑顔は彼女にとって精一杯の好意的な表情でした。以前、彼女は光輝く太陽を見て、それに対する感謝の気持ちを日記に書いていましたが、それはもうやめてしまいました。彼女は春雨が降った後、空気に浮かぶ地面の香りを嗅ぐ気にもなれませんでした。彼女はイチョウの葉を掴み、それを日記帳にはさみ、その葉脈を指先で描くということもしていましたが、当時の彼女の気分は悲しみで覆い包まれていました。過去の素敵な出来事は全て彼女の思い出から消えてしまいました。彼女の心は完全に暗闇に包まれてしまったのです…
その後、彼女の母は彼女に神の国の福音を説きました。彼女は神のこの御言葉を目にしました:「あなたの心の中には非常に大きな秘密がある。あなたはそのことを全く知らない。なぜなら輝く光のない世界でずっと生きてきたからである。あなたの心や霊は悪い者によって取上げられてしまった。あなたの目は暗闇によって覆われている。あなたは、空の太陽も夜のきらめく星も見ることができない。あなたの耳は欺瞞的な言葉で塞がれ、ヤーウェのとどろきわたる声を聞かないし玉座からほとばしる水の音も聞こえない。あなたは、得るはずのすべてのもの、全能者があなたに与えたもの全てを失ってしまった。あなたは、苦しみの終わりのない海へ入ってしまった。救助もなく、生き残る希望もなく、ただもがき騒ぐことしかできず…あなたが疲れているとき、この世の荒廃を感じはじめるとき、途方に暮れてはならない、泣いてはならない。全能神という、見張る者はいつでも、あなたが来るのを抱擁して迎えるだろう。彼はあなたのそばで見守っている、あなたが引き返してくるのを待っている…」。 この御言葉は、光の筋のごとく、彼女に少し期待を与えてくれました。彼女は深く感動し、涙が彼女の顔を流れ落ちました。彼女は今までずっと自分の家族を含め、誰も彼女の悲しみを理解してくれていないと思っていました。しかし、あの日、彼女は神の御言葉を読んで神の人類に対する愛と御気遣いを感じたのです。特に、彼女は、「なぜなら輝く光のない世界でずっと生きてきたからである。」 という神の御言葉を目にした時、それは正に自分の置かれている状況であると感じました:彼女は愛を失った後、生きる意欲と希望を失い、支えや方向性を持たぬ歩く死体のような下劣な様をこの世にさらしていたのです。神の御言葉を読み、彼女はこう理解しました:「サタンの支配下にある人々の悲しみと絶望感は神のみが本当に知っておられ、神のみが人類を救うことができるのです。」こうして、彼女は教会生活に参加し始めました。彼女は頻繁に神の御言葉を読み、集会に参加し、兄弟姉妹たちと交流しているうちに、霊的状態が以前よりも良くなりました。
ある日、彼女は神の御言葉の次の節を読みました:「ひどく汚れた国に生まれ合わせて、人は社会に駄目にされ、封建的倫理の影響を受け、「高等教育機関」で教えを受けてきた。後ろ向きの考え方、堕落した倫理観、さもしい人生観、卑劣な哲学、全く価値のない存在、下劣な生活様式と習慣──これらはすべて人の心をひどく侵害し、その良心をひどくむしばみ、攻撃してきた。その結果、人はますます神から離れ、ますます反対するようになった。」「これらが人々の心に存在する理由は、サタンの毒が常に人間の考えを腐敗させており、サタンの誘惑を人間が決して払いのけることができないことにある。このような人々は罪のただ中で生活しているが、それを罪と考えず…」
神の御言葉を読んだ後、ヂェンヂェンはこう理解しました:私たち人間はサタンに堕落させられるとサタンの虚偽と異端に従って生きることを止められなくなり、その結果、神の御導きと御指導を失い、増々辛い生活を強いられていくのです。「だとすると、サタンの地上におけるどの人生観が私の思考を堕落させているのでしょう?」彼女はじっくり考えていると、幼かった頃から道端で繰り返し流れていたラブソングや、「愛とは一体何だ?それは恋人たちに生死を共にすることを誓わせるものだ」「私たちは目の前で山が崩れ、世界が消え去っても愛に留まる」「生き残りなら、あなたと暮らすために必ず戻る。死んでしまうなら、天国で一生あなたのことを想うだろう」等といった愛に関する詩や有名な引用句に影響を受けてきたことを思い出しました。知らぬ内に、「愛が一番大切」という考えが彼女の心にゆっくりと浸透していき、彼女は、「私はパートナーになってくれるハンサムで、大人で、落ち着きのある男性を見つけて、彼と一生一緒に暮らすわ」という愛に対する美しく切なる思いを抱いたのです。彼女はリンと出会った時に一目惚れし、家族の反対を押し切って彼と一緒になりました。彼女は彼を自分の世界そのものとみなしていたので、彼が婚約を破棄した時、彼女は方向性と生きる価値を失った気になり、すぐに建物から飛び降りて自殺しようとして、いのちを失いそうになったのです。
神の御言葉の御啓示を通じ、彼女は次のことを知りました:「彼女が追い求め、切望していた架空の愛はサタンが人類に対して仕掛けた罠でありました。サタンはこれを利用して人々の心を欺き、人々に愛をこのように考えることは気高く、純粋で、偉大なことであるとまで誤まって思い込ませます。彼女の現実の愛が、彼女の求めていた基準に及ばなかった時、彼女は死にたくなり、いのちを失いそうになりました。彼女は明らかにサタンに欺かれ、傷つけられていましたが、愚かにも自分は愛情を注いでいると思っていました。彼女は普通の人間の考えや理性を完全に失ってしまうほどサタンに騙されていたのです。」その時、ヂェンヂェンはサタンの悪質さと卑劣さを知りました。それが彼女に植え付けた虚偽が彼女の苦しみの根源となっていたのです。そして、彼女は、そのために生きることは全く無意味であり、最終的に虚栄心と悲しみ以外には何も得られなかったということも理解しました。
神の御言葉はヂェンヂェンの心にあった混乱を解消し、彼女に次のことを分からせてくださりました:「多くの人々が愛に夢中になるのはサタンの罠に陥っていることが理由だったのです。サタンは私たち人間に ‘愛が一番大切’ という考えを無理やり吹き込み、私たちにそれを追い求め強く欲しがらせるのです。この結果、私たちはサタンによる害と策略の中で頼るものがないまま生きています。」この瞬間、彼女はこう気が付きました:「私たちは真理を持っていなければ、サタンの罠を識別することができず、サタンから束縛され、傷つけられ、欺かれることを余儀なくされるのです。神の御気遣いと御加護がなければ、サタンは何時でも、何処にいても私たちの魂を貪り食ってしまうのです。」これはとても危険なことなのです!
ヂェンヂェンはサタンの策略を見抜いた後、これ以上サタンに痛めつけられるのが嫌になり、代わりに神の支配に従うことにしました。この結果、彼女の生活は普段通りに戻りました。
その後、彼女は神の御言葉のこの節も目にしました:「被造物として、あなた方はもちろん神を崇拝し、意味のある生活を追求するべきである。あなた方が神を崇拝せず、汚れた肉体で暮らすならば、あなた方は人間の衣装を身に着けたただの獣ではないだろうか。」神の御言葉は彼女が正しい人生観を築くための指導をしてくださりました。彼女はこう気が付きました:「愛または結婚は人の人生の旅における小さな通過点に過ぎず、人生の全てではないのです。」神はその偉大な御力によって全てのものを支え、養われ、神の養いと備えの下で人類が生き、増えるようにしてくださります。神は人間の肉だけでなく、人間の干からびた魂も養ってくださります。神が御備えくださる全てをいただいている小さな創造物である私は神を礼拝し、神の創造物としての本分を尽くすべきであります。こうする場合に限って、私は良心と理知を持つ人ということになり、こういう人生にのみ本当の意味があるのです。ヂェンヂェンはこれを知った後、とても安心しました。
ある日、ヂェンヂェンの兄は彼女が以前開けられなかった窓をいとも簡単に開けました。これを見た彼女は驚いて、彼にこう聞きました、「お兄ちゃん、この窓はもう錆び付いてひっかかってたでしょ?」「いや、ずっと調子良かったよ」、と彼女の兄は応えました。
その瞬間、ヂェンヂェンの目は波がぐみました…