真っ赤なスイフトスポーツと暮らす with Dream50&Bianchi

FIAT PUNTO SPORTING ABARTHより軽自動車3台を経て、真っ赤なSWIFT SPORTに乗り換え

世界の名車―永久保存版・講談社&図鑑 世界のモーターサイクル・辰巳出版/Dorling Kindersley

2017-02-28 11:41:39 | 書籍&映像&音楽

 ということで、久々の更新&雑記です。あんまり寒くてなかなか更新する気が起きない。せっかく車を買ったというのに連休の休みも取れないため、特に遠出もしていません。スイスポは、淡々と毎日の通勤、近所のスーパーへの足として使っています。


 プレオやアイの時のように、室内外のインプレやワインディングに持ち込んでのプチインプレもやりたいのですが、なかなか作成が面倒臭くそのままです。まだプレオやアイの時のほうが熱心に更新していたような気がする。ということで、小ネタですが、とりあえず準備が出来ている分だけでも手に入れた車本の紹介をします。


世界の名車―永久保存版・(古本/Dorling Kindersley/講談社) 約2,000円くらい

 こちらは、1996年に講談社より発売された大型本。いわゆる自動車図鑑みたいなものになります。Dorling Kindersley社というイラストレーションを使った参考書を数多く出しているイギリスの多国籍出版社のもので、日本では講談社がライセンスを取ったものみたい。筆者は英国人のクウェンティン・ウィルソン氏、デイヴィッド・セルビー氏、日本語版への監修、翻訳はいのうえ こーいち氏。


 定価5,000円近くする高価格本で、90年代当時図書館で見たことがある。記憶を辿って、こんな本あったなあということで探し出した。近年、新しいこのようなタイプの自動車図鑑も発売されているみたいです。Amazonだと5,000円近くしていたので、ヤフオクにて見つけた。


 各国の代表的なメーカーにより、1940年代~1980年代までに製造されたクラッシックカーがアルファベット順に並んで掲載されている。登場する車種は80車種、図版800点にも及ぶ。イギリスを代表するスポーツカーメーカーのロータスからはエリート、エランの2台。


 イタリアの高級車メーカー、ランチャのストラトス。ラリーカーでもあり、日本ではスーパーカーでもあった。


 イタリアの車体に、アメ車のV8をぶち込んだ、ある種の人にとっては理想とも言えるデトマソ・パンテーラ。こんな車はもちろん買えないが、シャレード・デトマソが欲しかった。トヨタの子会社になった今では、もうできない企画でしょうか。


 スーパーカーの代名詞、ランボルギーニ・カウンタック。ランボルギーニからは、ミウラも掲載。


 もちろんスポーツカーや高級車だけではなく、自動車史上エポックメイキングなモデルも掲載されている。イタリアの足、フィアット500。日本だとルパン3世の乗った車として、お洒落カーみたいな扱いを受けている。


 フランスの農民車シトロエン 2CV。同じように英国のミニ、ドイツのVW ビートルなんかも掲載されている。


 1950年代、60年代あたりの景気がよかったころのアメ車。羽など飾りが豊富で豪華、ゴージャスという言葉が良く似合う。オールディズとかアメリカン・グラフティの世界。


 この本の良い点は、大きめの写真に細部の写真がいくつかで構成されており、その車の背景、歴史的位置などが簡単な解説で紹介されている。まさに博物学の国、大英博物館を擁するイギリスらしい作りで、そのまま自動車博物館の展示を見ている気分にさせてくれる。ABC順なので最初にイギリスのACエース(ACコブラの車体の元となったライトウエイト)、ACコブラと並んでおり、実にマニアックな気分を味あわせてくれる。他にはなかなか普通の書籍には掲載されていない、各国のクラッシックカーが集められている点などが貴重。


 日本からは4台。ダットサン・フェアレディ、フェアレディZ、マツダ・サバンナRX-7、そしてトヨタ2000GT。世界的に影響の大きかった車が収録されているようで、日本のこの手の本だと必ず入っている、コスモ・スポーツ、S600、S800やトヨタスポーツ800などは収録されていない。フェアレディZ、マツダ・サバンナRX-7は、当時デザインも良くて廉価なスポーツカーということで、北米市場で馬鹿売れした。これは96年の出版なので、今続編が作られればユーノス・ロードスター、日産GTR、ホンダ・NSXあたりは間違いなく入るでしょう。


図鑑 世界のモーターサイクル・(古本/辰巳出版/Dorling Kindersley) 1,800円くらい

 こちらは、同じく世界中のクラッシックバイクを集めた図鑑 世界のモーターサイクル。出版は1994年で著者は英国人のフューゴ ウィルソン氏。前述の世界の名車―永久保存版に構成が非常に似ているなと思ったら、同じくDorling Kindersley社のもの。こちらは、日本でのライセンスを辰巳出版が得たということらしい。


 基本的に世界の名車―永久保存版と同じようなフォーマット。こちらはアルファベッド順ではなく、世界のクラッシクバイク200台が国別に収録されている。博物学的というか、博物館的な構成という点でも同じ。このシリーズには、スターウォーズ本もあった。オートバイという趣味性の高いものゆえ、こちらは自動車以上にマニアック。


 ハーレーダビットソンより古い、アメリカ最古のメーカーインディアン。1960年代に解散していたが、2006年に米国に新生インディアン・モーターサイクル社が設立されている。


 軍用車などとして使われた古いハーレーダビットソン。軍用車というとドイツのBMWのイメージが強くあります。


 アラビアのローレンスが愛用したブラフ・シューペリアSS-100。ブラフ・シューペリアまでがメーカー名。製造されたのは1920年代。クラッシックバイクといえば、英国車の右に出るものはいない。


 イギリスのVincent社のVincent-HRD Series C Black Shadow。いわゆるビンセント ブラックシャドウ。当時も今も、家が買えるほどの高級なオートバイとして知られている。


 こちらは、今もアウディグループに入って健在なイタリアのドカティ。一時期はカジバの傘下にあり、MVアグスタとかと並んで売られていた。イタリアの高級車ブランド、お洒落バイクの代名詞。


 WGPで圧倒的な強さを見せ伝説のメーカーとなったMVアグスタ。バイク界のフェラーリ。本体は航空機メーカーとして健在で、ブランド名だけイタリアカジバの元に。そのブランド名は、一時期はハーレーダビッドソンの元にあったようですが、2016年時点では破産手続き中ということみたい。


 赤くなっても郵便車に見えないところがイタリアの伊達。イタリア人、バイクでも車でも赤く塗りますな。赤は退色が激しい色なので、イタリアの日差しの下ではどうなのでしょう。


 こちらは、1980年代に復活なった、イタリア ジレラのサトウルノ。日本の伊藤忠商事が企画し、スズキグースのデザインも担当した萩原氏が手がけ日本向けに生産された。その後、世界でも売られるようになった。ジレラ社は、今はベスパのピアジオのブランドのひとつとなって、スクーターなんかにブランド名が使われてます。


 イギリスのノートン。クラシックレーサー的なイメージが強いメーカー。日本メーカーに押され70年代に倒産しその権利は分散していたが、2009年に英国人実業家の手によりブランドが買い戻され復活した。現在もノートンブランドのバイクを売られている。


 こちらもイギリスのトライアンフ。トライアンフは50年代60年代に一世を風靡した後、日本勢におされて80年代に破綻。商標やブランド名などを新しいオーナーが獲得して新生トライアンフとして復活。


 イギリスのオートバイメーカー・ヴェロセット。高性能で高価なバイクとして知られたが、60年代頃から日本車に駆逐され1970年代にあえなく終焉。


 車と異なりバイクの世界では、日本の4大メーカーが圧倒的なシェアを占めているためJAPANの項は大きく扱われている。オートバイに関しては、日本車を抜きにしては語れないほどの存在感がある。ただしクラシックバイクに関しては、歴史が短いため英国にはかなわない。


 あいつとララバイで有名になったKAWAKI Z2(これはZ1)。ニューヨークステーキとして、アメリカで馬鹿売れした。


 ドイツ人デザイナー、ハンス・ムートを起用したスズキ・刀。自動車のスズキは、地味な実用車のメーカーというイメージですが、バイクに関しては昔からイケイケのメーカーでもある。ということで、個人的にはこれまで読んだすべての自動車本、バイク本のなかでもっとも良く出来ていて楽しいと思う世界の名車―永久保存版と図鑑 世界のモーターサイクルの紹介でした。

参考:世界の名車―永久保存版・講談社&図鑑 世界のモーターサイクル・辰巳出版/Dorling Kindersley

ガチ☆ボーイ・フジテレビジョン/ポニーキャニオン

2015-08-03 07:35:43 | 書籍&映像&音楽

 ガチ☆ボーイは、2008年に公開された日本の青春映画。監督は、タイヨウのうたの小泉徳宏監督。


 舞台は、北海道にある大学のプロレス研究会。いまいち盛り上がっていないプロレス研究会にある日、入部希望者がやってくる。名前は、五十嵐。学際で行われた、プロレス研究会の試合を観戦していて感激し、自分も学生プロレスをやってみたいと思ったらしい。入部希望者は、五十嵐一人だったため、弱小プロレス研究会としては暖かく迎え入れてくれる。しかし、彼は活動風景をいちいち写真に収め、何かやるたびひとつひとつメモを取るという変わった行動を見せる。どこか違和感を感じる部員たちであったが、そこには彼のある特殊な事情が関わっていた…。


 フジテレビが製作したということもあってか、出演者がこの時期の旬の人を集めていてえらく豪華。主演は、海猿やROOKIESで人気者となった佐藤隆太さん。弱小プロレス研究会を率いる正義感の強いリーダー役に向井理さん、主人公を理解してくれるヒロイン役にダルビッシュの元奥さんであるサエコさん、五十嵐の妹役に仲里依紗さん、父親役に泉谷しげるさん、部OBでバーを経営しておりリングアナを兼ねる先輩役に宮川大輔さん、みちのくプロレスが監修やレスリング指導をしており、現役のレスラーたちも出演しています。元々は、話題となった舞台が原作のよう。


 プロレスという男臭い題材を扱っていながらも、ちょっとポップな感じ。


 この映画の肝となるのは、主人公の五十嵐が司法試験の一次試験に通るほどの秀才でありながら、事故による高次脳機能障害で新しいことが覚えられなくなっているということ。彼は、一晩寝るとすべてのことを忘れてしまうため、写真を撮り、メモに取り、朝起きると同時にそれらのメモを読み返して、昨日と同じ生活を継続している。そのため、プロレスの段取りが覚えられずに常にガチで挑んでしまうことから、ガチボーイということになる。彼を理解してくれるヒロインも、彼女としてではなく告白して振られたことを忘れて何度でも告白してしまうという、この設定をより際立たせるための位置付けとなっている。


 彼は、失敗を繰り返しながらもまりりん仮面というリングネームで人気者となる。これを利用しようとする、北海道学生プロレス連合のライバル役シーラカンズとのガチンコ勝負が物語のクライマックスとなる。これは、本職のプロレスラーの指導を受けながら、役者さんたちが実際に体を張ってプロレスの試合を演じており、それがプロレスの持つ楽しさを伝えてくれるものとなっている。また、リーダー役の向井理さんをはじめとして、出てくる人々がみんな良い人ばかりなので、学生サークルの独特のぬるいほんわかとした関係性が伝わってきて、プロレスという暑苦しい題材を取りながらも、とても爽やかな青春映画となっている。


 80年代から90年代に掛けては、プロレスはテレビのゴールデンの時間帯で放送されていました。アントニオ猪木やジャイアント馬場、タイガーマスクや長州力、スタンハンセン、ブルーザーブロディ、ハルクホーガンといった綺羅星のようなスター選手が登場して盛り上がりを見せた。80年代の終わりから90年代にかけては、前田日明、藤原喜明、高田延彦などの格闘技色の強いUWFという団体も生まれ、新しいプロレスの流れも生まれた。その後、趣味の多様化やミスター高橋、高田延彦のプロレスの内情を書いた本の影響などもあって、プロレス人気もしだいに低下していったが、このガチ☆ボーイが公開された時期というのは、総合格闘技のK1やPRIDE、エンターティメント色の強いハッスルなどがブームの頃で、再びプロレス人気が盛り上がっていた。大晦日に紅白の裏番組で格闘技の試合が放映されるなど、ある意味80年代頃の黄金期に近い輝きをプロレスが見せていた時期だったのかも知れません。


 個人的には、泉谷しげるさんの演じた親父さんが良かった。昨年、遠方に出かけた際に友人の親戚宅に留めてもらう機会があったのだが、そこの親父さんが俳優の卵である息子の活躍をiPadで、繰り返し繰り返し眺めていた。その息子さんはすでに30を超えており、しかも地方都市なので俳優で身を立てていくことは困難だと思われたが、子を思う親の気持ちがとてもよく伝わってきた。司法試験に通った五十嵐は期待の息子だったわけで、事故でそれらは失われてしまった。失望しつつも、プロレスをしている息子を静かに見守っている。泉谷氏の演ずる寡黙な親父さんを見て、そんなことを思い出していた。


 学生プロレスという、一見男臭くて暑苦しそうなテーマを扱いつつ、実は見終わった後に爽やかな余韻を残す青春映画です。ということで、個人的な評価は星★★★☆(70点)。良い意味で期待を裏切ってくれた、暑い夏に見たい青春映画ガチ☆ボーイでした。お勧め。



参考:Wiki ガチ☆ボーイ、小泉徳宏監督、佐藤隆太さん、サエコさん、向井理さんの項

さんだる/たま・日本クラウン

2015-07-15 05:40:27 | 書籍&映像&音楽

 さんだるは、1990年に日本クラウン(クラウンレコード)より発売された、たまのメジャーファーストアルバム。たまは、90年代に活躍した日本のバンド。


 たまは、4人組編成の日本のロックバンドで、フォークや童謡などを織り交ぜた幻想的な世界観を持ったバンド。テレビに出る前から、インディーズではすでにメジャーな存在になっており、89年に話題となった平成名物テレビ・三宅裕司のいかすバンド天国に出演したことをきっかけにして、メジャーデビューを果たした。スタイルは、ちゃんちゃんこに下駄履きでウクレレやマンダリンを弾き、ランニングシャツ姿で風呂桶などを叩くといった、当時一般的だったロックバンドからは一線を画した、あまり一般受けはしない個性的なものだった。デビュー曲のさよなら人類が、オリコン初登場1位、同年のオリコン年間シングルチャートでは4位を記録するヒットとなり、累計売上約60万枚を売り上げ、CMへの出演や日本レコード大賞新人賞、紅白歌合戦出場も果たす。92年頃からはバンドブームも下火になり、95年にボーカルやピアノなどを担当してきた柳原幼一郎氏が脱退、ちびまるこちゃんのエンディング曲を手がけたり、NHKみんなの歌に楽曲を提供したりと、その後も3人で活動を続けていたが2003年に解散した


 さんだるは、そのたまの(メジャー)ファーストアルバム。オリコンチャートでは、最高2位、年間アルバムチャートで35位を記録した。たまは、インディーズ自体も含め、何枚もアルバムを出しているのですが、やはり一般的に有名なのは、最も売れたこれでしょう。大ヒットとなったさよなら人類/カップリング曲のらんちゅう、CM曲としても使われたオゾンのダンス、方向音痴、イカ天の4週目で披露されたロシヤのパンなど有名どころが並んで収録されている。個性的なたまらしく、装丁も紙製のボックスジャケットと個性的なもの。表紙の昆虫のイラストは、ギターやボーカル担当の知久寿焼氏によるもの。


 ジャケット裏。売れまくっていた頃なので、すっかりアイドル。


 白黒のポートレートが付いており、裏が歌詞カードになっている。さよなら人類やオゾンのダンスなど、明るいポップな曲調のものが多かった柳原幼一郎氏、たまのランニングとして有名な石川浩司氏とトレードマークの風呂桶パーカッションセット、知久寿焼氏は今見ると美少年でまるでアイドルの様、たまの寡黙な2枚目担当で、所属事務所たま企画室の社長も勤めた滝本晃司氏。


 当時の思い出としては、イカ天初登場時に前知識も何もなく視聴していた。第1週目はシュールならんちゅうで、この頃のイカ天に数多くいたコミックバンドとしか認識しなかった。第2週目のさよなら人類で凄いバンドだと気付き、3週目オゾンのダンスで気に入ったバンドとなり、4週目ロシヤのパンのノスタルジックな世界観のとりことなり、5週目のまちあわせでマルコシアスバンプとの接戦に見入った。イカ天初登場時は、最初は変な人たち扱いであったが、週が進むに連れ審査員の評価も変わっていった。実際は、テレビ登場以前からすでにインディーズでは有名だったたまが、番組サイドから請われる形で出演したもので、その実力も最初から他の素人バンドとは比較にならないものだった。著名なルポライターの竹中労氏は、彼らをビートルズの再来とまで評価し、(癌に侵された)晩年の仕事としてたまの本を書いた。4人ともビートルズ好きは共通しており、この時期柳原氏が宮沢賢治の世界に傾倒していたそうで、あのシュールで独特なノスタルジー感溢れる音楽の源泉の一端がその辺りから来ていたのだと、最近になって知った。


 たまがメジャーデビューをしてブームとなってからの狂乱の日々は、たまのランニングこと石川氏の自叙伝「たま」という船に乗っていたで知ることが出来る。石川氏のHPでは、出版社の許諾を得て、この本を公開しているため無料で読むことが出来る。それにしても石川氏、現在では大林宣彦監督のこの空の花 -長岡花火物語に(放浪の画家)山下清役で出演されていたり、その縁で次作の野のなななのかの楽曲を担当(パスカルズとして)されていたり、パスカルズの一員として知久寿焼氏とともに海外公演をされていたり、西荻窪でニヒル牛というアートギャラリーを運営されていたりと、様々な活躍をされています(コレクターとしての顔もお持ち)。当時は、たまのランニングとかコミカルなイメージが強かったですが、実に多彩な才能の持ち主だったんですね。

参考:Wiki たま(バンド)、さんだる、柳原幼一郎、知久寿焼、石川浩司、滝本晃司、竹中労の項、石川浩司のひとりでアッハッハー

サマータイムマシンブルース・ポニーキャニオン/東芝エンタテインメント

2015-06-12 05:37:14 | 書籍&映像&音楽

 サマータイムマシンブルースは、2005年9月3日に公開された日本のどたばたSFコメディー映画。


 もともとは、2001年の劇団ヨーロッパの舞台が原作。この舞台にほれ込んだ、踊る大捜査線の本広克行監督により映画化され、脚本も劇団ヨーロッパの上田誠氏の手によるもの。主演は、アヒルと鴨のコインロッカーの瑛太さん、のだめカンタービレの上野樹里さん。劇団ヨーロッパ所属の俳優も多数出演している。アマゾンや映画サイトの評価では、星★★★★~程度と高い評価を得ている。また、舞台版もDVD化されて人気を博している。


 物語は、とある地方都市の大学のSF研が舞台。SF研とはいっても名ばかりで、SFの意味さえしらない部員たちが夏休みに野球に興じている。夏の部室でぐだぐだ過ごしていたところ、部員同士の悪ふざけによりコーラーをこぼしてしまい、部室備え付けのクーラーのリモコンが壊れてしまう。次の日、そんな彼らの元に突然タイムマシンが現れる。その際の彼らの思いつきとは、昨日に戻って壊れる前のクーラーのリモコンを取って来ること。昨日と今日というスケールの小さいタイムトラベルにより、世界の消滅の危機が訪れるという可能性がでてくることになる…。


 ということで、真夏の大学の部室というむさくるしい空間と、そこにたむろするリア充とはとても言えない、むさくるしい学生たちの巻き起こす、タイムパラドックスをめぐるどたばたをコメディータッチで描いている。時間の移動は、2005年の8月19日と20日の2日間。登場する人物も、SF研に所属する学生5人とそのまわりの数人のみと、原作が舞台劇ということもあって、こじんまりとした一種の密室劇になっている。8月19日の野球のシーンより物語が始まり、その同じ日にクーラーのリモコンが壊れる→次の日20日になぜかタイムマシンが突然現れる→19日に戻って壊れる前のリモコンを取りに行くという流れになっている。タイムマシンがなぜ存在するのか等の説明は無い。リモコンが壊れる前の日に行ってリモコンを取ってきてしまうと、取りに行くはずのリモコン自体がなくなり、壊れることもなくなってしまうため、矛盾が発生してタイムパラドックスが生じてしまうことに気付く。タイムパラドックスによる世界の消滅を阻止するために、19日と20日を何度も往復するという展開になる。


 タイムトラベルやタイムパラドクスをテーマとした作品は多いですが、その代表と言えるのが80年代のバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ。この作品でも、バック・トゥ・ザ・フューチャーの時計台風の建物が登場したり、色々なオマージュが散りばめられている。海外ものだと、わりとダイナミックに歴史が変わったりして、タイムパラドックスに対しての考え方もわりとおおらか。


 日本でタイムトラベルというと、やはりドラえもん。映画内には、それらしいネタは登場しませんが、のび太君の宿題を終わらせるために、現在のドラえもんが4時間後、6時間後、8時間後のドラえもんを連れてくるという、ドラえもんだらけというエピソードをほうふつとさせるような展開になる。戦国自衛隊とかスケールの大きなタイムトラベルものもありますが、日常のごくミニマムな4畳半のタイムトラベルといったところ。日本のタイムトラベルものだと、歴史を変えてはならないといった感じの、繊細なタイムパラドックス感が多いような気がする。筒井康隆氏や星新一氏のショート、ショートにも似たような展開があったように思います。

 この映画、SF研ということもあるのだろうけど、マニアな小物やオマージュがかなり多い。部室に東宝の特撮映画マタンゴのポスターが貼ってあったり、ガンダムのポスターが貼ってあったり、ガンダムの劇中曲が使われていたりする。タイトーのハリキリスタジアムやヴィダルサスーンという商品名も、印象的なキーアイテムとして使用されている。2005年の学生は、部室でファミコン版のハリキリスタジアムをやったりはしないと思いますが、懐かしい小物が散りばめられている。また、ロケ地が本広監督の出身地である香川県の善通寺市で行われており、四国学院大学という地元の小さな大学を舞台としている。この町が五重塔があったり、いい具合に寂れていたりと、すごく懐かしい独特の感じをこの映画にもたらしている。大学のキャンパスも都会のマンモス大とは異なり、漫画に出てくるギムナジウムのような独特な風景をかもし出している。


 大学が舞台ということで横道世之介のような青春ものを期待してみたが、物語はタイムパラドクスをめぐるどたばたを中心に構成されているため、青春ものという場面はあまりない。最初は、躍動感のない野球のシーンやむさい男たちが戯れあっているのを、わりとたいくつな感じで流してみてしまうのだが、もう一度見直すと最初の19日の時点でいろいろな伏線が張られていたことに気付くという作りになっている。とにかく、脚本が見事な映画、何度か見直して構成を楽しむといった作品になっている。青春映画としてみた場合だと、夏の暑苦しい部室、蝉の声、むさくるしい男友達ということで、話は荒唐無稽なのだが、妙なリアリティを持っている。そのようなむさ苦しい青春に心当たりのあるものにとっては、この映画自体がタイムスリップをさせてくれるタイムマシンということになるのでしょう。


 そういえば、80年代に夏のタイムマシーンという歌がありましたね。ということで、個人的評価は星★★★☆~★★★★。筒井康隆氏や星新一氏のショート、ショートが好きな方、あるいは夏の暑苦しい部室に心当たりのある方にお勧め。

参考:Wiki サマータイムマシーンブルース、本広克行監督、上田誠さんの項

日本懐かし自動販売機大全・辰巳出版

2015-02-01 16:53:02 | 書籍&映像&音楽

 これは、辰巳出版社より2014年に出版された日本懐かし自動販売機大全。筆者は、レトロ系フード自販機の第一人者であり、マルチクリエータの魚谷祐介氏。 
 

 いわゆるドライブインなどに置いてあった、全自動で調理までしてくれる懐かしい自動販売機を扱った一冊。置いてあったと過去形で書いているのは、これらの自動販売機はもうすでに大半が撤去されてしまっていて、残っている場所が数少ないため。1960年代から1970年代にかけて、モータリゼーションの発展に伴い、主要国道沿いに車での利用や長距離トラック、タクシーなどを対象にした郊外型店舗が発展した。これらは、ドライブインと呼ばれたり、オートレストランなどと呼ばれた。オートレストランでは、自動販売機を置いて24時間で営業しているところが多かったため、この休憩所を兼ねたレストランが全盛期であった70年代~80年代にかけて、うどん、そば、ラーメン、ハンバーガー、カレーなどを自動で調理してくれる自動販売機が登場した。これらの置かれたコーナーは、オートスナック、コインスナックなどの名称でも呼ばれていた。ただし、90年代以降はコンビニや深夜営業のレストラン、スーパーなどの開店に伴い、徐々に数を減らし始め、最盛期には全国で25万台ほどあったといわれるこれらの販売機も、現在では数箇所、数十箇所というレベルにまで減ってきている。現在でも高速のパーキングエリアは健在ですが、民間主体のドライブインやオートレストランなんかは、だんだんと第三セクターなどが多い道の駅という形態に置き換わっていっています。


 この本は、そのような懐かしの自動販売機を扱った魚谷祐介氏のサイト、懐かし自販機~味わいの自販機コーナーを書籍としてまとめたもの。このサイトには、自販機の動画や現在これらの自販機が残っている場所などが網羅されており、ひなびた国道沿いの大変懐かしい原風景がまとめられている。


 今でも高速のパーキングエリアや道の駅などに行くと、どこか懐かしい風景を感じたりしますが、民間主体で運営されていたドライブインなどに活気があった風景は、もう過去のものになりつつあることが分かります。1978年にタイトーのスペースインベーダーがヒットをしインベーダーブームが訪れると、24時間の自販機+ゲームセンター+レストランといった形態になり、この頃が全盛期だったようです。


 そば、うどん、らーめん、ハンバーガー、トーストなどが定番。今でも、ずっと置かれているように錯覚してしまいますが、これらの自販機が製造されていたのは70年代が中心で、メーカーは随分前から製造より撤退しています。今でも現役で稼動しているところは、古くなった自販機をメンテナンスしながら、使っているそうです。電子レンジで調理するハンバーガーやフライドポテトなんかは、つい最近までゲームセンターやボーリング場で見かけたように感じていたのですが、自販機ハンバーガーの代名詞でもあるグーテンバーガーを製造していたマルシンマック(マルシンフーズの子会社)が、2002年に撤退しているため、実は現在ではほとんど残っていないのだとか。ハンバーガーは、昔は子供にはお出かけの日にのみ食べられる特別な料理でしたが、今はスーパーやコンビにでも100円で売っているものになってしまいました。


 オートレストランのみならず、寂れた観光地やビジネスホテルなどでも定番であった、富士電機株式会社のめん類自動調理販売機。このような自販機が全盛であった頃には、シャープなども参入していたようです。今でもお湯が出てくるカップヌードルの販売機は、現役で見かけます。90年代末頃には、探偵ナイトスクープで現役稼動している大塚のボンカレー自販機を探すというネタもあった。


 自動調理販売機の内部構造も紹介されている。魚谷祐介氏のサイトには、この動画も置いてある。うどんやそば、ラーメン類は、冷凍食品を解凍していたのではなく、生めんを冷蔵していた。それにお湯を注いで、湯きりするだけと意外とシンプルな構造だった。子供の頃は、こういうの好きですから食べたかったが、親が買ってくれなかった。そばとラーメンを各一回だけ食べたくらい。それでも、懐かしく感じるのは何故でしょう。


 現在でも、現役でこれらの自販機が稼動しているオートスポットやドライブインが紹介されている。


 こちらは、冷凍したハンバーガーを内部の電子レンジで加熱してくれるタイプのもの。1~2分ほどで、箱ごと加熱された熱々のものが出てきます。このタイプでもっとも有名なのは、マルシンフーズの子会社が出していたグーテンバーガー。似たタイプにトーストもあった。


 その他にも、ガムやらジュースやら、懐かしの自動販売機が掲載されている。


  とにかく懐かしい書籍です。誰か、このような形態で、次はデパートの屋上とか遊技場をやって欲しい。こちらは、ほどんど壊滅に近い状態だろうから、今からでは遅すぎるのかもしれないが。今では、道の駅ということになるのでしょうが、昔はドライブなど行くとドライブインだとか、オートレストランによく立ち寄っていました。バイクに乗っている頃にも、峠道へのツーリングの最中に立ち寄ったりだとか。これらの自動販売機は、その風景には欠かせないものであったと思います。今だとジュースの自動販売機だけになっていますので、それもちょっと味気ない感じがしますね。


 ということで、すごくノスタルジーを掻き立てられるお勧めの一冊、日本懐かし自動販売機大全でした。



参考:Wikiドライブイン、オートレストラン、グーテンバーガー、マルシンフーズの項、懐かし自販機~味わいの自販機コーナー(公式サイト)