松本龍が如くOF THE ENDとかいう大臣が被災地知事の前でコワモテに振る舞ったとか、果てはマスコミにもコワモテぶりを発揮して辞任してthe ENDになったとかで、世の中ではがぜん、"コワモテ(強面・こわもて)な人"の存在がクローズアップされている。
しかし意外なことに、俺にとって常識かと思われたコワモテな人のやり方や行動パターンについては、実は何も知らないという人が多いようだ。
コワモテの特徴的な行動として、「絶対に他人にナメられてはいけない。初対面が勝負!まずはどっちが上か思い知らせてやれ!」といきなり居丈高に振る舞うとか大声で怒鳴りつける、ドスの利いた声で脅迫的な言辞を弄するなどの行為(マウンティング)が知られているが、ってそれすら知らないで「へー」となっている人が多いようだ。日本は3.11を経てなお平和なようだな…。
だがパンピーがこんな平和ボケ軍事音痴無防備マン状態では、ある日突然目の前に現われたコワモテによってなすすべなく心も体も支配されてしまい、全財産からケツの穴まで全てを喜んでコワモテに差し出した挙げ句に「すまない、ホモ以外は帰ってくれないか!(ヒュー)」てなことになるのは時間の問題である。
そこでコワモテとの交渉経験が豊富(僕はホモじゃない)な俺が、コワモテとは何ぞやというところから、コワモテのやり口、コワモテが普段気を配っているのはどんなことか、コワモテへの対処法、果てはみんなでコワモテになるにはどうすればいいかまで、コワモテの秘密を大公開してコワモテを困らせてしまおう、というのが今回の企画だ。
コワモテ概論――コワモテとは何か
コワモテの意味
よく「コワモテ=怖い顔」のことだと思っている人が多いようだが、それは違う。
また、コワモテ=「怖い顔なのにモテる」の意味でもない。
コワモテは漢字では「強面」と書くが、「強面→強麺」で、ラーメンやうどんなどでコシの強い麺をコワモテと呼んでいる人もいるようだ。…そりゃコワモテじゃなくて強麺(ごうめん)だろ!
「ゴウメンクダサーイ!ゴウメンクダサーイ!」
「モリモリ牛盛りー!」
「タマタマカツタマー」
懐かしくて涙が出そうだ…。
コワモテとは、単なる怖い顔の人のことではない。一言で言えば、多少の無茶な要求をしたとしても相手に反論すらさせない威圧感を持った人のことであり、顔の造作などは二の次なのだ。
故に、コワモテにはイケメンもいるし、ブサイクなコワモテもいるし、コワモテの要件とは、顔の造りや実際の格闘能力などではなく、究極的には相手の反論を許さない特殊能力「威圧感」を獲得している人のことだと言える。
なぜ今コワモテ学を学ぶか
短期的な関係でしかないことがはっきりしているなら、こないだのドラゴン大臣のように、コワモテに振る舞って相手を威圧し、反論すらさせずに優位に立ったほうがいいとコワモテは考える。
世の中は、ごくおおざっぱに言えば、コワモテと"コワモテに支配される奴"で成り立っている。
「このことを知っている人種=コワモテ」
「分かってない人=コワモテに支配される一般人」
と言うことができる。
もっと言えば、「支配層=コワモテ」であって、そのコワモテを前に震え上がってなすすべなく支配されているのが一般人なのだ。
しかしながら、日本の政治家や役人などの中にいるコワモテは、日本国民相手には居丈高でコワモテに振る舞うくせに、特定の外国人や自称弱者相手には全くだらしがないフヌケと化す。
もはやこのような内弁慶型旧世代コワモテには、現在の諸問題は対応不能であり、我が国は外国にも通用するコワモテを育てる必要があるだろう。そのためにも、我々はコワモテのやり方を知っておく必要がある。
コワモテ交渉術
先手必勝・攻撃は最大の防御・相手の虚を衝く――それがコワモテのやり方だ
では、コワモテの対人交渉とは具体的にはどのようなものだろうか。
まずコワモテにとっては、「相手と同格」「対等の関係」という概念は存在しない。
「いきなり怒鳴る」「大声」「恫喝」はコワモテからの「名刺」代わりであり、犬などが相手との序列を確定させるために行なう「マウンティング」にも等しいということはよく言われることである。
「なぜこの人は私を怒鳴っているんだろう?」などと、コワモテから怒鳴られながらその理由を知りたいと思ったあなたは、既にコワモテの掌の上だ。
なぜなら、大声や恫喝的な態度で相手を萎縮させて思考停止状態に追い込み、自分の有利な状況を作り出すこと自体がコワモテの狙いであり、そこには理由など無いのだから。
ドラゴンの事例で言えば、「先に応接室で待っていなかった(俺を待たせた)のがけしからん」と威圧したわけだが、もし仮に県知事が応接室で待っていたとしても、「先に部屋に入っているなどけしからん」と威圧しただろう。メチャクチャだが、それがコワモテのやり方なのだ。
要求というミサイルを連射して無防備マンを追い詰めるコワモテ
例えば将棋やオセロ、コマンド選択式のシミュレーションゲームでは、自分と相手のターンは必ず交互に回ってくる。このターンを無視してどちらか一方が連続して駒を動かすことはルール違反だ。
だが、実際の社会における交渉ごとはターン制ではない。次々と要求を出すことで、自分ではなく相手に行動をさせるという形を作った側が短期的には優位に振る舞えることが多い。
このことをよく知っているコワモテは、次々と矢継ぎ早に相手に要求を突きつけ、受け入れられないと見るや「なんで出来ないんだ!?」と大声を出して相手を威圧する。あるいは先の発言との矛盾点を取り上げ、「さっき言ったことと違うじゃないか!?」と凄む。一般人はそういうコワモテの前にすくみあがってしまい、常になんとかしてコワモテのご意向に従わなければという具合に、いずれ完全に精神をコントロールされてしまう。
コワモテの対人交渉は、正対する戦闘機同士のミサイル戦に似ている。
戦闘機から発射される対空ミサイルは自動追尾式であるから、ミサイルを撃たれた側は回避運動をしなければならない。
コワモテから先制のミサイルを撃たれた一般人は、「なんとかして避けなくちゃ」と回避運動をしたり、チャフやフレア(欺瞞装置)を射出したりして、コワモテの要求をかわそうとする。この間、一般人はミサイルを撃って反撃することは出来ない。
しかし、コワモテはミサイルの行方なんか無視して、次々とミサイルを発射して確実に一般人を追い詰めていく。
一般人が回避運動に四苦八苦している間も、コワモテは落ち着いて相手を照準に捉えつつ、2発目3発目と次々に「要求」という名のミサイルを放てばいいのだ。
一般人はなんとかかわそう、かわそうと機体をひねったり、チャフやフレアーを放出しても、いずれ欺瞞装置は尽き、速度と高度を失ってミサイルの直撃を食らうか、地面とキスするかの結末になる。
この結末を避けるためには、
「さっさと相手のミサイルの射程距離外に退避する」
「自分もミサイルを撃ち返す」
これ以外には無い。
しかし、なぜか一般人の中には、いつまでもコワモテミサイルの射程距離内にとどまったまま、次々と襲い来る要求ミサイルを避けようと勝手に四苦八苦している者が実に多い。
「オレは組織。オマエは個人。わかったか?」
コワモテは常に自分の所属する組織の看板を出したり、あるいは自分の背後の組織の存在をにおわせたりしながら、お前は「巨大な組織」を相手にしてるんだぞ、分かるか?ということをちらつかせてくる。
一方、交渉相手となる一般人に対しては、
「オレが話をしたいのは○○というお前だ」
「問われているのは○○というお前個人の信用なんだぞ」
という方向に話を持って行こうとする。
「コワクナイヨ」アピール
コワモテは自分が不利になったり、あるいはコワモテすぎて相手が射程距離外にまで逃げてしまいそうになると、自分が持つ「意外な一面」をリークして、「俺そんなに悪い人じゃないから」というアピールをしてくる。
そりゃそうだ。常に全方向にコワモテ銃眼を突き出していては、手下となるべき者達すらも誰も寄って来ない。
そこでコワモテは「怖クナイヨ」「意外といい人かも?」という印象の緩急を使って人の心を支配しようとする。
ドラゴンも、実は二度目の会談からは「俺そんな怖くないヨ」アピールをしてくるつもりだったのかもしれない。ただ彼には二度目の機会が無かっただけで。
また、コワモテな人物の「コワモテだ」という悪評が立つと、必ず「家族」「地元民」「支持者」「同窓生」らによる「そんなにコワモテな人じゃないヨ」証言というアピールが出されるが、コワモテが常にコワモテではないのは当たり前だ。
コワモテは、実は「コワモテに振る舞う」だけでもかなりの気力を消費するので、普段から常にコワモテでいるわけではない。
また上記で「コワモテではない」証言をしてくるのは、コワモテがコワモテに振る舞う必要のない相手ばかりだ。仮に150キロのストレートを投げられる投手が居たとしても、チームメイトとのキャッチボールで最高速の剛速球を投げ込むわけがなかろう。それと同じだ。
コワモテ恋愛術
コワモテ=「怖いのにモテる人」という誤解が示すように、コワモテが実はモテるというケースが実は多いのもまた事実である。
しかしそこにもコワモテの狡猾な計算が働いているのだ。
たとえば、普段おとなしそうな、優しそうな人が、ただ一度電話で怒鳴ったりしているシーンを目撃されると、「実はこっちの姿が本性なのでは…」と周囲の人々は不安になり、「優しそうだけど実は怖い人」という評価が定着する。
既に述べたように、コワモテはこの逆を意識して行なっているのだ。また、人の心には「実は外見とは逆であって欲しい」という無意識が働いており、コワモテが実は「いい人であって欲しい」という深層心理での期待がある。コワモテがそれに応えて、ごくたまに「いい人」ぶりを発揮すると、一般人の期待に見事に応えたことになり、ただ一度の善行であっても、「コワモテだけど実はいい人」という評価が定着する。
また、世の中にはコワモテに危険な香りを感じて轢かれる女性が多いのも事実。
コワモテは「ときどき優しいのほうがモテる」ことよく知っているのだ。場合によってはDVですら「支配の道具」にするのがコワモテであり、突き詰めていくと「だから女は馬鹿」という話になりかねないのでこの辺でやめておくが、「亀兄弟かっこいい」という女性はコワモテ無間地獄に嵌る素質十分とだけ言っておこう。
なんにせよコワモテが「実はいい人」などの意外性を演出するのは結構だが、それが明るみに出るとコワモテイメージが根底から崩壊してしまうような趣味を持つことはオススメできない。これについては後述する。
コワモテになるためには――努力無くしてコワモテ無し
では、一般人がコワモテになる方法はあるのだろうか。
実は「生まれたときからコワモテ」「何もしてないのにコワモテ」…そんな奴はこの世に存在しない。「デフォルトでコワモテ」などあり得ないのだ。
コワモテ達は意識してコワモテオーラを放出している。もともとの顔の造りや体型などで有利不利はあるものの、コワモテオーラは長い間の経験や踏んだ場数など、彼ら自身の努力によって才能を開花させたものなのだ。
しかし、このコワモテオーラは放出しているだけでもかなりの気力を消耗するものであり、その使用には時間制限がある。
なぜコワモテがウンコ座りをするのかというと、あの姿勢は長時間コワモテモードしていても疲れにくい姿勢だからだ。
このように、一般人でも訓練次第でコワモテになることはできる。
そこで以下では一般人がコワモテを目指す際の注意点を述べる。
背筋を伸ばせ――猫背のコワモテなどいない
仮にあなたがコワモテになろうとコワモテファッションに身を包んだとしても、背を丸めて眉間にシワを寄せてポケットに手を突っ込んでいたとしたら、うんこを我慢していると思われるだけだろう。
このようにまず大切なのは姿勢だ。格闘技でも空中戦でも兵法でも、一般的には上からのしかかるように攻めたほうが有利になるように、コワモテも精神的な高所を占めるためにも姿勢は重要なのだ。コワモテを目指す諸君は、まず姿勢を正すべきだ。
発声の重要性――コワモテたる者、美声であるべし
次に重要なのは「声」だ。
ドラゴン動画等を観ても分かるように、コワモテはよく通る、実にいい声をしてやがる。これも実は彼らの努力と訓練の賜物だ。どこの世界にドモリながらボソボソしゃべるコワモテがいるというのだ。
コワモテになるには、普段から大きく低めの声ではっきりしゃべるように訓練をする必要があるだろう。また「野太い声」「石原裕次郎ボイス」「立木文彦ボイス」になるように、ウイスキーをグビグビ飲んでタバコをバルカン砲のようにまとめてスパスパイッキ吸いする手もあるかもしれない。ただし健康のためにはオススメできない。
コワモテのファッション
コワモテのファッションを一言で表現すると、そのコンセプトは「舐められたら負け」となる。
またコワモテにとって「足下を見る」は単なる諺ではないのだ。
わかりやすい例として、「ヤクザの靴はいつもピカピカ」というのがある。
靴にはその人物の生活や性格が表れる。コワモテはそのこのことを知っているので、靴選びと靴の手入れには手を抜かないのだ。
意外性のあるファッションで相手の度肝を抜くべし
意外性を演出するのはコワモテの常套手段だが、以下は失敗例。
以前に会ったコワモテは、どう見てもちん○にしか見えない柄のネクタイをしていた。たぶんヘビとかツチノコ柄とかだったのだろうが、どう見てもチン○。このようにあまりにもインパクトの大きいファッションだと、相手もそっちばっかり気になってしまい、コワモテ効果が半減してしまうか、あとあとの印象が「コワモテの人」ではなくて「ちん○ネクタイの人」になってしまうので要注意だ。
カウンター・コワモテ
さて、では一般人がコワモテへの対処法としてはどんなものが考えられるであろうか。
一般人の中には、目の前でコワモテに大声を出されたりすると、自分が直接怒鳴られたわけでもないのに、恐怖のあまり膝が勝手にガクガク震えだして、「ごめんなさい!ごめんなさい!」と心の中で謝ってしまう人がいるらしい。ぬるい。あまりにもぬるい。「ぬおおお、この国は弱い!半兵衛、我はこの国を変えるぞ。お前も共に来い。」
「うん。」
「返事は"はい"だろがぁぁ!」
コワモテへの対処法とはただ一つ、「ビビらない」これに尽きる。
そしてコワモテにビビらないためには、「慣れ」が重要だ。
コワモテにちょっと怒鳴られたぐらいでいちいち固まらないように、普段からコワモテキャラが大声で凄んでいる動画を観たり、ドラゴン動画をエンドレス再生したりしてイメージトレーニングをしておくのもいいだろう。
コワモテは自分の大声や恫喝的な態度によって、一般人が確実にビビってくれているのを見て、己の狙いが順調に成功していることを確認している。だから、予想外のこと、つまり目の前のパンピーが全くビビるそぶりさえ見せないと、
「なぜだ?なぜコイツはビビらない?」
という焦りと不安がコワモテの心の中に広がっていく。そのようなコワモテの焦り具合が手に取るように分かるようになったら、あなたも立派なコワモテである。
コワモテは何を恐れるか?
さて、では一見この世に怖いものなど無いように見えるコワモテが、実は何を怖れているかを見てみよう。
1.ヅラ疑惑
これは地味にダメージがでかい。コワモテなのにラヅーで隠し事というのはコワモテイメージの危機である。生え際を凝視されて露骨に焦り出すコワモテは明らかに怪しい。
2.オタ疑惑
これは非常にダメージがでかい。どんなコワモテであっても、「実はアニオタ」「実はフィギュアオタ」「コワモテだけどiPod買ったよ!→プレイリストがアニソンばっか」なんて事実が知れた日にはコワモテイメージ完全崩壊である。
3.ホモ疑惑
これもダメージが甚大である。疑惑を晴らせない限り、コワモテが何言ったところで、ヤマジュンのAAネタとかにされて「ヒュー!」とか言われて終わりなので、コワモテにホモの噂が立つこと自体あってはならないことなのだ。
では最後に、「コワモテ」で検索して「コワモテの例」としてざっと目に付いた人達を以下に挙げる。
役者部門
哀川翔
梅宮辰夫
遠藤憲一
大杉漣
小沢仁志
竹内力
中尾彬
松重豊
的場浩司
六平直政
安岡力也
海外部門
ウラジーミル・プーチン
ダニー・トレホ(「マチェーテ」の人)
プレデター
リー・アーメイ(ハートマン軍曹)
ローレンス・フィッシュバーン
ネットネタ部門
「その動画ウイルスだよ」のオヤジ
小沢一郎
のりピーを迎えに来た人たち
中島美嘉
二次元部門
ウシジマ君
ドズル閣下
動物部門
コブダイ
ドンキーコング
人相の悪いそのへんの猫
そのへんのブルドッグ
その他コワモテの多い格闘家なども入れるととんでもないことになるが、実にそうそうたる面々ではないか!我々もみんなでオモシロ半分にコワモテになって、再び強い国を造ろう。
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しかし意外なことに、俺にとって常識かと思われたコワモテな人のやり方や行動パターンについては、実は何も知らないという人が多いようだ。
コワモテの特徴的な行動として、「絶対に他人にナメられてはいけない。初対面が勝負!まずはどっちが上か思い知らせてやれ!」といきなり居丈高に振る舞うとか大声で怒鳴りつける、ドスの利いた声で脅迫的な言辞を弄するなどの行為(マウンティング)が知られているが、ってそれすら知らないで「へー」となっている人が多いようだ。日本は3.11を経てなお平和なようだな…。
だがパンピーがこんな平和ボケ軍事音痴無防備マン状態では、ある日突然目の前に現われたコワモテによってなすすべなく心も体も支配されてしまい、全財産からケツの穴まで全てを喜んでコワモテに差し出した挙げ句に「すまない、ホモ以外は帰ってくれないか!(ヒュー)」てなことになるのは時間の問題である。
そこでコワモテとの交渉経験が豊富(僕はホモじゃない)な俺が、コワモテとは何ぞやというところから、コワモテのやり口、コワモテが普段気を配っているのはどんなことか、コワモテへの対処法、果てはみんなでコワモテになるにはどうすればいいかまで、コワモテの秘密を大公開してコワモテを困らせてしまおう、というのが今回の企画だ。
コワモテ概論――コワモテとは何か
コワモテの意味
よく「コワモテ=怖い顔」のことだと思っている人が多いようだが、それは違う。
また、コワモテ=「怖い顔なのにモテる」の意味でもない。
コワモテは漢字では「強面」と書くが、「強面→強麺」で、ラーメンやうどんなどでコシの強い麺をコワモテと呼んでいる人もいるようだ。…そりゃコワモテじゃなくて強麺(ごうめん)だろ!
「ゴウメンクダサーイ!ゴウメンクダサーイ!」
「モリモリ牛盛りー!」
「タマタマカツタマー」
懐かしくて涙が出そうだ…。
コワモテとは、単なる怖い顔の人のことではない。一言で言えば、多少の無茶な要求をしたとしても相手に反論すらさせない威圧感を持った人のことであり、顔の造作などは二の次なのだ。
故に、コワモテにはイケメンもいるし、ブサイクなコワモテもいるし、コワモテの要件とは、顔の造りや実際の格闘能力などではなく、究極的には相手の反論を許さない特殊能力「威圧感」を獲得している人のことだと言える。
なぜ今コワモテ学を学ぶか
短期的な関係でしかないことがはっきりしているなら、こないだのドラゴン大臣のように、コワモテに振る舞って相手を威圧し、反論すらさせずに優位に立ったほうがいいとコワモテは考える。
世の中は、ごくおおざっぱに言えば、コワモテと"コワモテに支配される奴"で成り立っている。
「このことを知っている人種=コワモテ」
「分かってない人=コワモテに支配される一般人」
と言うことができる。
もっと言えば、「支配層=コワモテ」であって、そのコワモテを前に震え上がってなすすべなく支配されているのが一般人なのだ。
しかしながら、日本の政治家や役人などの中にいるコワモテは、日本国民相手には居丈高でコワモテに振る舞うくせに、特定の外国人や自称弱者相手には全くだらしがないフヌケと化す。
もはやこのような内弁慶型旧世代コワモテには、現在の諸問題は対応不能であり、我が国は外国にも通用するコワモテを育てる必要があるだろう。そのためにも、我々はコワモテのやり方を知っておく必要がある。
コワモテ交渉術
先手必勝・攻撃は最大の防御・相手の虚を衝く――それがコワモテのやり方だ
では、コワモテの対人交渉とは具体的にはどのようなものだろうか。
まずコワモテにとっては、「相手と同格」「対等の関係」という概念は存在しない。
「いきなり怒鳴る」「大声」「恫喝」はコワモテからの「名刺」代わりであり、犬などが相手との序列を確定させるために行なう「マウンティング」にも等しいということはよく言われることである。
「なぜこの人は私を怒鳴っているんだろう?」などと、コワモテから怒鳴られながらその理由を知りたいと思ったあなたは、既にコワモテの掌の上だ。
なぜなら、大声や恫喝的な態度で相手を萎縮させて思考停止状態に追い込み、自分の有利な状況を作り出すこと自体がコワモテの狙いであり、そこには理由など無いのだから。
ドラゴンの事例で言えば、「先に応接室で待っていなかった(俺を待たせた)のがけしからん」と威圧したわけだが、もし仮に県知事が応接室で待っていたとしても、「先に部屋に入っているなどけしからん」と威圧しただろう。メチャクチャだが、それがコワモテのやり方なのだ。
要求というミサイルを連射して無防備マンを追い詰めるコワモテ
例えば将棋やオセロ、コマンド選択式のシミュレーションゲームでは、自分と相手のターンは必ず交互に回ってくる。このターンを無視してどちらか一方が連続して駒を動かすことはルール違反だ。
だが、実際の社会における交渉ごとはターン制ではない。次々と要求を出すことで、自分ではなく相手に行動をさせるという形を作った側が短期的には優位に振る舞えることが多い。
このことをよく知っているコワモテは、次々と矢継ぎ早に相手に要求を突きつけ、受け入れられないと見るや「なんで出来ないんだ!?」と大声を出して相手を威圧する。あるいは先の発言との矛盾点を取り上げ、「さっき言ったことと違うじゃないか!?」と凄む。一般人はそういうコワモテの前にすくみあがってしまい、常になんとかしてコワモテのご意向に従わなければという具合に、いずれ完全に精神をコントロールされてしまう。
コワモテの対人交渉は、正対する戦闘機同士のミサイル戦に似ている。
戦闘機から発射される対空ミサイルは自動追尾式であるから、ミサイルを撃たれた側は回避運動をしなければならない。
コワモテから先制のミサイルを撃たれた一般人は、「なんとかして避けなくちゃ」と回避運動をしたり、チャフやフレア(欺瞞装置)を射出したりして、コワモテの要求をかわそうとする。この間、一般人はミサイルを撃って反撃することは出来ない。
しかし、コワモテはミサイルの行方なんか無視して、次々とミサイルを発射して確実に一般人を追い詰めていく。
一般人が回避運動に四苦八苦している間も、コワモテは落ち着いて相手を照準に捉えつつ、2発目3発目と次々に「要求」という名のミサイルを放てばいいのだ。
一般人はなんとかかわそう、かわそうと機体をひねったり、チャフやフレアーを放出しても、いずれ欺瞞装置は尽き、速度と高度を失ってミサイルの直撃を食らうか、地面とキスするかの結末になる。
この結末を避けるためには、
「さっさと相手のミサイルの射程距離外に退避する」
「自分もミサイルを撃ち返す」
これ以外には無い。
しかし、なぜか一般人の中には、いつまでもコワモテミサイルの射程距離内にとどまったまま、次々と襲い来る要求ミサイルを避けようと勝手に四苦八苦している者が実に多い。
「オレは組織。オマエは個人。わかったか?」
コワモテは常に自分の所属する組織の看板を出したり、あるいは自分の背後の組織の存在をにおわせたりしながら、お前は「巨大な組織」を相手にしてるんだぞ、分かるか?ということをちらつかせてくる。
一方、交渉相手となる一般人に対しては、
「オレが話をしたいのは○○というお前だ」
「問われているのは○○というお前個人の信用なんだぞ」
という方向に話を持って行こうとする。
「コワクナイヨ」アピール
コワモテは自分が不利になったり、あるいはコワモテすぎて相手が射程距離外にまで逃げてしまいそうになると、自分が持つ「意外な一面」をリークして、「俺そんなに悪い人じゃないから」というアピールをしてくる。
そりゃそうだ。常に全方向にコワモテ銃眼を突き出していては、手下となるべき者達すらも誰も寄って来ない。
そこでコワモテは「怖クナイヨ」「意外といい人かも?」という印象の緩急を使って人の心を支配しようとする。
ドラゴンも、実は二度目の会談からは「俺そんな怖くないヨ」アピールをしてくるつもりだったのかもしれない。ただ彼には二度目の機会が無かっただけで。
また、コワモテな人物の「コワモテだ」という悪評が立つと、必ず「家族」「地元民」「支持者」「同窓生」らによる「そんなにコワモテな人じゃないヨ」証言というアピールが出されるが、コワモテが常にコワモテではないのは当たり前だ。
コワモテは、実は「コワモテに振る舞う」だけでもかなりの気力を消費するので、普段から常にコワモテでいるわけではない。
また上記で「コワモテではない」証言をしてくるのは、コワモテがコワモテに振る舞う必要のない相手ばかりだ。仮に150キロのストレートを投げられる投手が居たとしても、チームメイトとのキャッチボールで最高速の剛速球を投げ込むわけがなかろう。それと同じだ。
コワモテ恋愛術
コワモテ=「怖いのにモテる人」という誤解が示すように、コワモテが実はモテるというケースが実は多いのもまた事実である。
しかしそこにもコワモテの狡猾な計算が働いているのだ。
たとえば、普段おとなしそうな、優しそうな人が、ただ一度電話で怒鳴ったりしているシーンを目撃されると、「実はこっちの姿が本性なのでは…」と周囲の人々は不安になり、「優しそうだけど実は怖い人」という評価が定着する。
既に述べたように、コワモテはこの逆を意識して行なっているのだ。また、人の心には「実は外見とは逆であって欲しい」という無意識が働いており、コワモテが実は「いい人であって欲しい」という深層心理での期待がある。コワモテがそれに応えて、ごくたまに「いい人」ぶりを発揮すると、一般人の期待に見事に応えたことになり、ただ一度の善行であっても、「コワモテだけど実はいい人」という評価が定着する。
また、世の中にはコワモテに危険な香りを感じて轢かれる女性が多いのも事実。
コワモテは「ときどき優しいのほうがモテる」ことよく知っているのだ。場合によってはDVですら「支配の道具」にするのがコワモテであり、突き詰めていくと「だから女は馬鹿」という話になりかねないのでこの辺でやめておくが、「亀兄弟かっこいい」という女性はコワモテ無間地獄に嵌る素質十分とだけ言っておこう。
なんにせよコワモテが「実はいい人」などの意外性を演出するのは結構だが、それが明るみに出るとコワモテイメージが根底から崩壊してしまうような趣味を持つことはオススメできない。これについては後述する。
コワモテになるためには――努力無くしてコワモテ無し
では、一般人がコワモテになる方法はあるのだろうか。
実は「生まれたときからコワモテ」「何もしてないのにコワモテ」…そんな奴はこの世に存在しない。「デフォルトでコワモテ」などあり得ないのだ。
コワモテ達は意識してコワモテオーラを放出している。もともとの顔の造りや体型などで有利不利はあるものの、コワモテオーラは長い間の経験や踏んだ場数など、彼ら自身の努力によって才能を開花させたものなのだ。
しかし、このコワモテオーラは放出しているだけでもかなりの気力を消耗するものであり、その使用には時間制限がある。
なぜコワモテがウンコ座りをするのかというと、あの姿勢は長時間コワモテモードしていても疲れにくい姿勢だからだ。
このように、一般人でも訓練次第でコワモテになることはできる。
そこで以下では一般人がコワモテを目指す際の注意点を述べる。
背筋を伸ばせ――猫背のコワモテなどいない
仮にあなたがコワモテになろうとコワモテファッションに身を包んだとしても、背を丸めて眉間にシワを寄せてポケットに手を突っ込んでいたとしたら、うんこを我慢していると思われるだけだろう。
このようにまず大切なのは姿勢だ。格闘技でも空中戦でも兵法でも、一般的には上からのしかかるように攻めたほうが有利になるように、コワモテも精神的な高所を占めるためにも姿勢は重要なのだ。コワモテを目指す諸君は、まず姿勢を正すべきだ。
発声の重要性――コワモテたる者、美声であるべし
次に重要なのは「声」だ。
ドラゴン動画等を観ても分かるように、コワモテはよく通る、実にいい声をしてやがる。これも実は彼らの努力と訓練の賜物だ。どこの世界にドモリながらボソボソしゃべるコワモテがいるというのだ。
コワモテになるには、普段から大きく低めの声ではっきりしゃべるように訓練をする必要があるだろう。また「野太い声」「石原裕次郎ボイス」「立木文彦ボイス」になるように、ウイスキーをグビグビ飲んでタバコをバルカン砲のようにまとめてスパスパイッキ吸いする手もあるかもしれない。ただし健康のためにはオススメできない。
コワモテのファッション
コワモテのファッションを一言で表現すると、そのコンセプトは「舐められたら負け」となる。
またコワモテにとって「足下を見る」は単なる諺ではないのだ。
わかりやすい例として、「ヤクザの靴はいつもピカピカ」というのがある。
靴にはその人物の生活や性格が表れる。コワモテはそのこのことを知っているので、靴選びと靴の手入れには手を抜かないのだ。
意外性のあるファッションで相手の度肝を抜くべし
意外性を演出するのはコワモテの常套手段だが、以下は失敗例。
以前に会ったコワモテは、どう見てもちん○にしか見えない柄のネクタイをしていた。たぶんヘビとかツチノコ柄とかだったのだろうが、どう見てもチン○。このようにあまりにもインパクトの大きいファッションだと、相手もそっちばっかり気になってしまい、コワモテ効果が半減してしまうか、あとあとの印象が「コワモテの人」ではなくて「ちん○ネクタイの人」になってしまうので要注意だ。
カウンター・コワモテ
さて、では一般人がコワモテへの対処法としてはどんなものが考えられるであろうか。
一般人の中には、目の前でコワモテに大声を出されたりすると、自分が直接怒鳴られたわけでもないのに、恐怖のあまり膝が勝手にガクガク震えだして、「ごめんなさい!ごめんなさい!」と心の中で謝ってしまう人がいるらしい。ぬるい。あまりにもぬるい。「ぬおおお、この国は弱い!半兵衛、我はこの国を変えるぞ。お前も共に来い。」
「うん。」
「返事は"はい"だろがぁぁ!」
コワモテへの対処法とはただ一つ、「ビビらない」これに尽きる。
そしてコワモテにビビらないためには、「慣れ」が重要だ。
コワモテにちょっと怒鳴られたぐらいでいちいち固まらないように、普段からコワモテキャラが大声で凄んでいる動画を観たり、ドラゴン動画をエンドレス再生したりしてイメージトレーニングをしておくのもいいだろう。
コワモテは自分の大声や恫喝的な態度によって、一般人が確実にビビってくれているのを見て、己の狙いが順調に成功していることを確認している。だから、予想外のこと、つまり目の前のパンピーが全くビビるそぶりさえ見せないと、
「なぜだ?なぜコイツはビビらない?」
という焦りと不安がコワモテの心の中に広がっていく。そのようなコワモテの焦り具合が手に取るように分かるようになったら、あなたも立派なコワモテである。
コワモテは何を恐れるか?
さて、では一見この世に怖いものなど無いように見えるコワモテが、実は何を怖れているかを見てみよう。
1.ヅラ疑惑
これは地味にダメージがでかい。コワモテなのにラヅーで隠し事というのはコワモテイメージの危機である。生え際を凝視されて露骨に焦り出すコワモテは明らかに怪しい。
2.オタ疑惑
これは非常にダメージがでかい。どんなコワモテであっても、「実はアニオタ」「実はフィギュアオタ」「コワモテだけどiPod買ったよ!→プレイリストがアニソンばっか」なんて事実が知れた日にはコワモテイメージ完全崩壊である。
3.ホモ疑惑
これもダメージが甚大である。疑惑を晴らせない限り、コワモテが何言ったところで、ヤマジュンのAAネタとかにされて「ヒュー!」とか言われて終わりなので、コワモテにホモの噂が立つこと自体あってはならないことなのだ。
では最後に、「コワモテ」で検索して「コワモテの例」としてざっと目に付いた人達を以下に挙げる。
役者部門
哀川翔
梅宮辰夫
遠藤憲一
大杉漣
小沢仁志
竹内力
中尾彬
松重豊
的場浩司
六平直政
安岡力也
海外部門
ウラジーミル・プーチン
ダニー・トレホ(「マチェーテ」の人)
プレデター
リー・アーメイ(ハートマン軍曹)
ローレンス・フィッシュバーン
ネットネタ部門
「その動画ウイルスだよ」のオヤジ
小沢一郎
のりピーを迎えに来た人たち
中島美嘉
二次元部門
ウシジマ君
ドズル閣下
動物部門
コブダイ
ドンキーコング
人相の悪いそのへんの猫
そのへんのブルドッグ
その他コワモテの多い格闘家なども入れるととんでもないことになるが、実にそうそうたる面々ではないか!我々もみんなでオモシロ半分にコワモテになって、再び強い国を造ろう。
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