「一体何が始まるんです？」「大惨事大戦だ」

毎日の通勤通学時に道路や駅、バスや電車内で頻繁に見かける人っていますよね。

いくら頻繁に見かけると言っても、いちいちアダ名を付けたりするほど私は性格が悪くはありませんが、相手がなぜかこちらにガンを飛ばしてきたり、あからさまに敵意を向けてきたりされたりすると、こちらも自衛上「心の中の危険人物リスト」に登録して警戒せざるを得ません。

通り魔的な犯罪の被害に遭う人の多くは不意討ちでやられていますが、何よりも重要なことは、まず脅威になりそうなモノをいち早く発見する。これにつきます。

こちらが敵を見つけるよりも先に、敵がこちらを発見するなどということは、あってはならないことなのだよ、アンデルセン。

私が通勤時に頻繁に遭遇するそのオッサンもやはり通勤途中なのでしょうが、どうやらそいつには世の中すべてが敵に見えるらしく、いちいちすれ違う相手に「敵！敵ーッ！」という邪念を送りすぎである。
そいつの見た目は「病み上がりの小島よしお」といった風情で、実はこの表現は有吉も納得レベルで極めて適切であると思われるため、もしかするとヤツの職場でのアダ名が「ヤミコジ」とか「ヤミヲ」である可能性もあり、そうなると私の身バレの恐れもあるが別にどうでもいいや。

で、そんな世の中すべてが敵に見えるかのような人のところにも、ついに一足早い春が来たのか、昨年のクリスマス前後から、毎日女性と一緒に通勤してくるようになった。

それはいい。

ところが、今まですれ違う相手にやたらと敵意をぶつけまくってきていたのが、今度はあからさまに

「ドヤァァァァァッ！！」

という勝ち誇りの表情を露骨に見せつけてくるようになりやがった。うぜぇ…。

あのなあ、今さら大烈火大惨事と同伴通勤してるぐらいでドヤ顔されても反応に困るっつーの。
…と思っていたら、ヤツの短い春は終わったのか、女性の姿は消えてヤツはまた単独通勤となり、また元の「敵！敵ーッ！！」の放出に戻ったようだ。そうかそうか。

すべては徒労。消え逝くもの…。



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