まずは、序章“江戸のうんこは、いずこへ”のテロップが出たとおもったらスクリーンに大写しの糞尿に思わず旦那と顔を見合わせながらの、糞尿を買い取って肥料として売る汚穢屋の仕事が成り立つ時代が描かれているところが面白かった。
おきく役の黒木華さんのたたずまいが時代劇に溶け合って寛一郎くんと池松壮亮くんもよかったというか、寛一郎くんと佐藤浩市さんの親子共演や、江戸末期の庶民の暮らしぶりや身分格差なども見どころ。
これが阪本順治監督作品というのは意外だったけど、“低い視座から、しかも汚いところから社会を眺める映画ならやれるかもしれないと思いました”というコメントに納得、監督発のオリジナル脚本による時代劇というのも貴重かも。
これがカラーでなくてよかったと内心思ったけど、何度かカラーになる瞬間がまた美しくて、まるでおきくの心情にも思えて、作品名は“恋するおきく”でもよかったかも。
☆あらすじ☆
江戸時代末期、厳しい現実にくじけそうになりながらも心を通わせることを諦めない若者たちの姿を、墨絵のように美しいモノクロ映像で描き出す。武家育ちである22歳のおきくは、現在は寺子屋で子どもたちに読み書きを教えながら、父と2人で貧乏長屋に暮らしていた。ある雨の日、彼女は厠のひさしの下で雨宿りをしていた紙屑拾いの中次と下肥買いの矢亮と出会う。つらい人生を懸命に生きる3人は次第に心を通わせていくが、おきくはある悲惨な事件に巻き込まれ、喉を切られて声を失ってしまう。
※映画.comより
キャスト
黒木華
寛一郎
池松壮亮
眞木蔵人
佐藤浩市
石橋蓮司
監督
阪本順治
89分
G
TOHOシネマズシャンテ2 19:10〜観客50人程/201席