おかげさまで当院も10周年を迎え、野球を始めスポーツ関連の患者さんも延べ7000人以上になりました。
今後も、「鍼治療で野球を生涯スポーツに!」を目標に施術していきますので、よろしくお願い致します。
10年前の開業当時に比べて思うところは、ネットなどの影響で情報化社会になり、ケガや故障に対して
患者さんが敏感になりすぎている感じがします。
ここ最近では、メジャーリーグで活躍する日本人投手が、ことごとく手術を選択していることもあるのか
初診の患者さんから、「トミージョン手術を受けようと思うのですが、良い病院を紹介してくれませんか?」・・
電話でのやりとりの末に一度確認がてら来院していただくと、内側側副靱帯の単なる炎症程度で、
大体2~3回の治療で治ってしまうものがほとんど。やはりちょっと大袈裟な感じは否めません・・
まず肘関節の「内側の痛み」はなぜ発症するのかを考えてみると、解剖学的に肘関節の役割は、
屈曲&伸展 (いわゆる曲げ伸ばし)
回内&回外 (ドアノブなど内外にひねる) この2つだけです。
しかし、野球のスローイングで加速期に入ると外側が圧迫され、反対に内側に牽引力がかかるため、
通常では曲がらない方向にしなってきます。そしてリリース期からフォロー期にかけて、一度牽引されて
伸展した靱帯が、今度は勢いそのまま圧迫されます。
その繰り返しにより、内側側副靱帯の付着部である内側上果(ひじ内側のポコッと出ている骨)がストレスを受け
ジュニア期であれば、靱帯は大丈夫だが付着部位の成長軟骨が剥がれる (剥離骨折)
成人期であれば、付着部位は大丈夫だが靱帯が牽引&圧迫の張力に絶えられずに損傷する (靱帯損傷)
トミージョン手術は程度にもよりますが 損傷 → 部分断裂 → 完全断裂 の過程で、
部分断裂以上の障害で判断されます。
現在、肩ひじの痛みや違和感でお悩みでしたら、自身がどの程度なのか一度チェックしていきましょう。
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昨年10月に掲載した当院のFacebookページからの抜粋になりますが、
MLBが肩肘関節の障害予防のため、「ピッチスマート」というジュニア向けのサイトを立ち上げました。
良い試みと思う反面、日本の場合は、まず学童野球の指導者レベルを徹底化することが重要です。
何故なら成人で起きる障害はジュニア時代の再発がほとんどだからです。
ピッチスマートで現在指導している中学生レベルのガイドラインを確認すると
・ 年間100イニングを超えないこと
・ 年間120日(約4ヶ月間)は投げない日を作ること
・ 試合では95球までとすること...
・ 投手をやらないときに捕手をしないこと
・ ストレート及びチェンジアップの精度を磨いてからカーブ、スライダーに着手すること
などと記載されています。
果たして日本式の野球で遵守できるチームがあるのでしょうか?
患者さんたちから肩肘関節の障害についてさまざまな質問を受けます。
その発症の原因として「球数よりも、たった一球の強度の意味合いの方が強い」と説明しています。
簡単にいえば、しっかりとしたフォームであれば200球投げても大丈夫ですが、投球メカニックを無視した
フォームで「たった1球」思いっきり投げただけで損傷する確率が高くなります。
よって私的には個々の結合組織の状態や回復具合も踏まえた上で、
「ジュニア期における遠投は禁止」にするのが望ましいと考えています。
野球少年たちの障害予防の意味も含めて、Facebook や Twitter をやられている方は
シェアしていただけると嬉しいです。
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元読売巨人軍トレーニングコーチの鍼灸マッサージ治療室
佐伯鍼灸室 ・ SAEKI TRAINERS
肩ひじ関節、腰痛等 スポーツ障害の治療スペシャリスト
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