杉田劇場から

2005年2月5日にオープンした磯子区民文化センター杉田劇場のスタッフが綴るブログ。公演案内の他に美味しい情報も♪

杉田は稲荷ずしの消費量が横浜一かも

2018-07-14 | 美味しい地域情報

 邸内社やお稲荷さん(稲荷社)が多い杉田だからというわけではないが、この町にはお稲荷さん(稲荷ずし)を売る店が目立つ。ざっと見たところで、「味一」、「ながら」、「美好」といったところが老舗だろうか。それに続くのが「むつや」、「初浜」で、さらには回転ずしの「磯っ子」での店頭売りや、チェーン店「茂蔵」や「いいなゼスト」でも売っている。もちろんスーパーマーケット「スズキヤ」の弁当コーナーにも置いてある。どの店も個性があって美味しいのだが、私のお気に入りは京急杉田駅裏にある「初浜」。
 教えてもらわなければ、ここが稲荷ずし屋さんだとはなかなか気がつかないだろうね。だいたい看板が出ていない。この店を一人で切り盛りしているお婆さんに聞くと、以前は入口の上についていたのだが、だんだん壊れて危なくなってきたので取り外してしまったという。

 だれが書いたのか分からない竹さん(お婆さんの名前)の似顔絵と、その名を冠した「竹さん五目いなり」の文字。長いこと風雨にさらされて、ビニールの覆いも役に立たなくなってきているようだ。
 
 店に入ると、できたての稲荷ずしを前に、竹さんはいろいろと話をしてくれる。毎週2回、午前4時半に起床し、歩いて南部市場まで買い出しに行っているという。そこで買ってきた材料を使って、毎日、朝から仕込みをしてお稲荷さんを作っているのである。

 一個100円の竹さん五目いなり。他店では70、80円で売っているところがほとんどなのだが、少し高めの設定は「五目」という中身。

 お稲荷さんを開封してみた。寿司飯と一緒に混ぜ込まれているのは、椎茸、ニンジン、ゴボウ。さらにご飯の中には麦も少しだけ投入されている。
 竹さんの話では、「寿司飯に麦を混ぜるなんておかしい」という人もいたそうだが、健康のためにはこれがいいのだとか。
 濃い味、強い味に慣らされている人にとっては薄味と感じるかもしれない。しかし、これは滋味深い味わいといえるかも。美味しいね。

 右は明太子の「ふくや」から贈られた誕生祝の色紙。誕生日の新聞も一緒にプレゼントされたそうだ。

 それがこの新聞。日付をみてビックリ! なんと昭和11年4月24日である。ということは82歳! この年齢で週2回、歩いて南部市場まで往復しているというのだからすごい。

 10年前に稲荷ずし店をオープンしたときにファンから贈られたという飾り。大事に掲げられている。
 稲荷ずしをやる前はすぐ近くで飲食店をやっていたし、それ以前は新杉田駅横のバスターミナルの場所でも店を出していたというから、食べ物店としての歴史は相当なもの。

 何回か通っているうちに顔を覚えてもらえるようになり、この日は16種類の豆を使ったお茶を一杯ご馳走になった。「これも健康にいいよ」と竹さん。だから週2回の徒歩買い出しも元気にできているんだろうね。

 杉田は坂の多い町である。新杉田駅から京急杉田駅に向かって商店街プラムロードを歩いて行くと、微妙に傾斜があることが分かる。京急線を超えたあたりからは、あちこちに本格的な坂道が現れる。
 そんな町だから買い物に困っている単身高齢者も多い。買い物袋を提げて坂道を登るのはつらいからね。
 そこで竹さんは惣菜も作って配達もしているという。すごいなぁ……パチパチ
 上の写真は何回目かの時におすそ分けしていただいたポテサラ♪ 昔懐かしい味わいだった。

 ワラビと人参を煮たもの。まさに82歳のお婆さんがつくった昭和の惣菜だ。これは高齢者にも喜ばれる一品だろうね。

 と、まあこんなお店なのだが、いつ行っても優しさにあふれた対応に心が和む。お店の入口はかなり低い。なので、入るときは気を付けているが、出る時にそのことを忘れて頭をぶつける人もいるはず。
 そんなことを心配して、必ず「頭ぶつけないでね」と声をかけてくれるのだ。
 「あと何年できるかなぁ」なんておっしゃっているが、まだまだ元気、杉田に行った際には毎回、寄りたいと思う。

 そうそう、竹さんは「杉田劇場」で行われるコンサートにも行っているという。それもジャズだかポピュラーだってさ。
 話を聞くのがますます楽しくなってくるよね。

【2018年7月14日の記事】



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