苔濃ゆき石の仏を訪ぬれば山に埋もれし堂宇にあかり
何もせずただ何もせずこの午後を一人酒酌む友の命日
歯が痛い血圧高い耳が鳴るまだまだ若い六十と五
震災の御魂しずめる大の字のお山に立てば霜柱見ゆ
浪々の浮世の春や守衛所の傍の草むら大犬陰嚢