青灰(あおはい)という色がある。
青灰色(せいかいしょく)とも。
基本、音読みよりも訓読みの言葉が好きなので、
青灰(あおはい)でいきます。
青みを帯びた灰色。
灰色がかった青。
そんなような色だ。
日本の伝統色の、気が遠くなるような数と、その命名の豊かさには、
感動とか感銘とかいう言葉では表わしきれない感情を抱く。
敬意や誇りに近いもの。
それはともかく、青灰。
薄曇りの空の色。
いまにも降ってきそうな、雨をたたえている雲と空。
そういう、胸が疼くような空を見ると、「ああ、青灰の空だ」と思う。
そういう色だ。
そしてアオサギは、そういう色をしている。
アオサギ。
この鳥を「蒼」と呼んでいるのは日本とオランダなど数か国くらいなもので、
学名をはじめとして世界中のほとんの国で「灰色の鷺」と呼んでいる。
まあたしかに灰色かも。
でも、灰色と断言できない微妙な色あいに心がざわめく。
かつて日本では、「白でも黒でもない中間的な淡い色」を「蒼」と称していたとかで、
この国でこの鳥が「蒼鷺」と呼ばれたのはごく自然なことだったらしい。
どことなく青みがかった灰色の羽毛。
その青灰の羽毛と、白い羽毛との絶妙なグラデーション。
翼を広げるとびっくりするほど大きい。
長い首にある模様と、頭部の飾り羽も印象的。
顔は正直、怖い(とわたしは思う。)
なので少し離れて、
美しい姿、その佇まいを眺めるタイプの野鳥かなーと思います。
ときどき、ドーラたちカルガモ親子に会いに行くのですが、
やっぱりカメラマンが大勢いるので、近づきません。
そしてそんな喧噪を離れると、たいてい1羽のアオサギと出会う。
おそらくいつも同じ個体。
いつもはおはよーとか、元気~?とか、なに考えてるの?とか勝手に話しかけて
しばらく眺めるくらいなのだけれど、
たまには写真を撮ってみようという気になって、カメラを向けました。
激しい流れの傍らに、悠然と佇む姿が印象的だったので。
庭の隅に植わっているブルーベリーがなかなか熟しません。
こういう微妙に色づいているときの果実もきれいだなって思います。
でも早く食べたいし。
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