ネモフィラ。祈りのような、その青
風にふわりと揺れる花びらが可憐なネモフィラ。
その青はどこか独特な色あいで、
祈りにも似た切実な気持ちを呼び起こす。
子供のころ、一面に青い花が咲くお花畑を見た。
記憶のなかのその青い花はまさしくネモフィラなんだけど、たぶん違う花。
花びらの裏側が白で、風を受けると花がうつむいて、裏側が見えた。
風に吹かれて順に、追いかけるように、一面のお花畑が青から白に変わっていく。
風がやむと青に戻る。
そのくり返しがとても神聖な感じで、半ば呆然と見惚れた。
ネモフィラを見ると、その光景を思い出す。
両親に聞いても覚えていなくて、
あれがどこだったのか、なんの花だったのかわからない。
きっといま、ひたち海浜公園のネモフィラが美しく咲いている頃だろう。
コロナ禍の休園で誰も見られない。
ひと気のないネモフィラの丘... まさしく絶景だろうなぁ。
庭に植えたネモフィラもわりときれいで
じっと見ていると、青に引き込まれそうな、青に染まりそうな気がする。
そして気づくと、祈っている。
カミュの『ペスト』が売上No1になったりして
巷ではパンデミック系の小説や映画やドラマが人気みたい。
何年か前、『ザ・ラストシップ』というドラマを観ていた。
突如発生した新型ウイルスが世界中に広まって、人類が壊滅しかけるなか、唯一その難を逃れた一隻のアメリカ海軍駆逐艦。
その乗員たちと、ワクチン開発の密命を帯びて同乗していたウイルス学者とが、滅びかけた人類を救うべく孤軍奮闘するミリタリー・パンデミック巨編。
マイケル・ベイ製作総指揮のシリアス系な海軍アクション・ドラマだった。
こんなことになって以来、
そのドラマの駆逐艦艦長や乗員、ウイルス学者の活躍を、ときどき思い出す。
映画やドラマなら頼りになるリーダーがいて、天才的な学者or医師がいて、
ワクチンもしくは治療薬を開発してめでたしめでたしみたいな結末になるけど、
現実は違う。
医療現場のひとりひとりの従事者の皆さんが一生懸命、
地道に献身的に働いてくださることで、多くの命が救われている。
物資も人材も不足するなか、患者は増加一方で、本当に大変な思いをされているに違いない。
家でじっとしていると、なにしてるんだろう、こんなことしてていいの?と思う。
医療従事者の皆さんはいまも命がけで戦っているのに。
でも無力なわたしにはなにもできない。
いや、外出しないで感染拡大防止に努め、患者を一人でも減らすことが
自分にできる唯一の協力なんだと思いなおす。
感謝しながら、祈りながら、うちで過ごそう。
がんばろう日本
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