住田功一のブログ

メディアについて考えること、ゼミ生と考えること……などをつづります

「スマホで見る阪神淡路大震災~災害映像がつむぐ未来への教訓」を手にとって

2021-01-16 17:52:46 | メディア関連

阪神・淡路大震災に関心のある人の間で
いま話題になっている書籍、
「スマホで見る阪神淡路大震災~災害映像がつむぐ未来への教訓」
(西日本出版社刊)を入手しました。

どこが注目かと云うと、
▽朝日放送が震災映像を去年公開した。
▽それを解説書としてまとめた。
▽QRコードをつけてスマホで
 クリップ映像を見られるようにした。
という点です、

2020年1月、大阪のラジオ・テレビ兼営の
老舗放送局のABC朝日放送(今はホールディングス化)が、
ウェブサイト「激動の記録1995 取材映像アーカイブ」で
取材映像の一部の一般公開を始めました。
https://www.asahi.co.jp/hanshin_awaji-1995/

地震が発生した1995年1月17日から、
六甲ライナーが全面復旧した8月23日までの
約半年間に撮影された映像の「まとめ素材」の
約38時間分を取材日と取材場所に分割。
約2000のクリップに分けて、
Googleマップ上に公開しました。

放送局の映像は「社会の財産」やー!
というのがこの局のスピリットなのです。

 簡単に言いますけど、
 著作権どうすんの?
 加工して悪用されたらどうすんの?
 写っている人から文句来ないの?
 ちょっとだけやったらいいけど網羅的には…。
 などといろんな「大人の事情」を
 先回りして考えてしうまうと
 こうしたことに率先して
 手を上げないのが放送局(員)だったりするんですけど。 
 (あくまで個人的な感想です)
 それをやってしまうのがすごい。

これだけでも、
放送業界では注目だったんですが、
ネット公開に尽力し
さらに書籍にして社会に送り出すことに取り組んだのが
同社報道記者の木戸崇之さん。
震災直後の1995年4月に入社といいます。

震災取材に少しでも関わった者として、
こうした局や記者の活動には
本当に脱帽です。

みなさんも、ぜひ
書店で手にとって、ネットで注文して
読んでください。

 貴重な被災地の動画がたくさんあります。

 なかでも必見は、地震発生の瞬間の
 生放送のスタジオの同録映像。
 映像が途絶えてスタジオが騒然として、
 さらに音声のみの手探りで放送を続ける様子も
 すべて公開されています。
 この時間帯、当時のNHKは放送開始前です。
 おそらく、この日の
 我が国、テレビ生放送中の揺れの
 唯一の記録だと思われます。

なお、映像に写り込んでいる人や家族から
映像の公開をやめてほしいという声は
いまのところ1件もないということです。


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ちなみに、朝日放送は、毎日放送に次いで
大阪で2番目にラジオ放送を開始(1951年)。
放送開始45年になる『パネルクイズ アタック25』や
『ポツンと一軒家』、アニメ『プリキュアシリーズ』、
時代劇『必殺シリーズ』の制作局です。

しかも
テレビ開局当初(OTV大阪テレビ)は
富士山頂からテレビ中継(1958年)したり、
文字多重放送で新しい方式を開発したりと、
放送史でも進取の精神をもつ民放局なのです。
ネットのURLが「asahi.co.jp」というのを見てもわかりますね。
朝日新聞より先に、このドメインをおさえているんだから。

そして、この本を刊行した出版社にも敬服。
西日本出版社は、
旅の本が多いようにお見受けしますが
福祉や歴史などユニークなところにもスポットを当てて
本を出してる出版社です。