偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

ロシアは悪くない2~プーチンよりいヤバいぜ、ゼレンスキー

2022年05月05日 17時23分43秒 | ◎ツッコミ思案neo
別に
「ゼレンスキーって男はとんだ食わせもんですよ」
などと直接的に言わなくてもいい。
ただ歴史的事実を羅列してくれるだけでいいのに。
国際政治に詳しいはずのセンモンカの方々
「真実」の断片をかろうじて触れてくれることもあるんだが
「もちろん悪いのはロシアですよ」
みたいなフレーズを、過剰なまでにはさんで
競歩なみにかけぬけるんで、
結局、結論は「悪の帝国ロシア」
司会者も悪いよね
あるコメンテーターが
「アメリカだって過去に中東や中米とかで、散々やってきて、決して清いカラダではないんだよ」
と当然のことを語ったのに、なんかまるでスベったみたいに受け流してたっけ。

あの池上彰さんならどうよ?
文春の連載で
解決のカギは「ミンスク合意」
な~んてタイトル…
お、さすがと思ってよんだら
ボカしてボカして
これじゃ、ゼロ知識人が読むと、ロシアがいっぽう的に不履行だったみたいじゃん。
別に今後の方針についてとかではなく
過去に起こった事実についてのお知らせだけで
みなさんなんでそんなに腰がひけてんの?
そんな中でも攻めてたのは大前研一センセイ
でも何?
この"ロシア脳"と"アメリカ脳"って?
センセイ曰く、日本のメディアは"アメリカ脳"でものを見てたから真実が見えない
"ロシア脳"で見てみよう…って、まるで腹話術人形にしゃべらせるような
まどろっこしい間接的手法
大前研一さんらしく、直接的に言いきってよ
ここは"ロシア脳"と"アメリカ脳"ではなく
"日本脳"をしっかりともとう!
でしょ。
で、大前先生が読者に何をお知らせしてくれたかといえば
ロシアが侵略されてきた歴史、とか
「ミンスク合意」をすっぽかしたのは
他ならぬゼレンスキー
で、そればかりか、下がってしまった支持率を奪回するためにNATOやEU加入の方針を打ち出してプーチンをさらに挑発してしまったこと
などなど
あとは
そもそも昨今けしからんと叫ばれてる
「武力による一方的な現状変更」

「独立国の主権侵害」
伝統的にアメリカの得意技だったってこと。
最近の有名な例だと「イラク戦争」
(街中でイラク募金なんてしてなかったよね。)

↓これらの地名に"米軍"を足してググればアメリカの侵略のレキシがうようよ出てくるはず。
アフガニスタン
ドミニカ
二カラグア
グアテマラ
グレナダ
パナマ

思えばベトナム戦争のときも「ソンミ村の虐殺」とか「枯葉剤」とか米軍の悪行は"雑学"として語られてきたけど、それで反米になるやつなんていなかった。
結論はむしろ、なんだかんだいってもアメリカかっけぇ…だっりしてた。
DA PUMPのUASなんてその思考回路家の象徴みたいな曲だ。
ISSAくんが沖縄の方だってのがさらに象徴的。
この日本語で重宝される万能ワードである
「なんだかんだ」
はいくら因数分解しても中身はわからない。
はじめっからそんなもんないからだ。

大前さんは「アメリカ脳」っていうけど、
アメリカ人だってちゃんと真実を見てる人はいる

アメリカはシカゴ大の国際政治学者であられる
ジョン・ミアシャイマー教授
アメリカの国際政治学には大きく分けると
リアリスト派とリベラル派の2大勢力があり
彼はリアリスト派の重鎮だそう。
2014年に権威ある専門誌「フォーリンアフェア」に
彼の
「なぜウクライナ危機は西側のせいといえるのか」
と題した論文が掲載された↓
Why the Ukraine Crisis Is the West’s Fault
The liberal delusions that provoked Putin.

www.foreignaffairs.com

そもそもロシアは歴史上、侵略するより、される方が多かった。
そのうちの大きな三つはナポレオンのフランスとドイツ帝国、ナチスドイツ。
 だから今回の戦争のことで、フランスのマクロン大統領がプーチン大統領に対して仲介役を買って出てみたりドイツのショルツ首相が電話会談をしたりなんてあったけど、ロシアにしてみれば一番説得力のない二国。
「おまいら、どの口が言っとんねん」みたいな。
最近のニュースなどでしばしば、NATOの東方拡大について「プーチンは裏切られたと主張に対して、アメリカは外交文書を交わしたわけではないといっている」という説明がよくされてたけど、ウラをかえせば、たしかにそういうハナシそのものはあったということ。
あれぇ?そんなこと言ってましたぁ?でも契約書はつくってないですよねぇ
…な~んていうのは悪徳業者が庶民をだまくらかす時のやり口といっしょだ。

それでも「戦争はあかんやろ」ってことにはなるのかもしらんが、前出のミアシャイマー論文に過去100年で3度もの侵略を受けてきた国のトラウマ的記憶について表現したくだりがある。↓
Putin’s actions should be easy to comprehend. A huge expanse of 0at land that Napoleonic France, imperial Germany, and Nazi Germany all crossed to strike at Russia itself, Ukraine serves as a buffer state of enormous strategic importance to Russia.
(プーチンの行動は理解しやすいはずです。ナポレオンのフランス、ドイツ帝国、ナチスドイツといったすべての侵略国がロシア侵攻の際に横断した広大な土地であるウクライナは、ロシアにとって非常に戦略的に重要な国として緩衝地帯としての役割を果たしてきたのですから。)

そして↓
Washington may not like Moscow’s position, but it should understand the logic behind it. This is Geopolitics 101: great powers are always sensitive to potential threats near their home territory.
(ワシントンとモスクワのちがいはあれど、理屈は理解できるかと思います。これが地政学のいろはです。大国というのは隣国の潜在的な脅威に敏感なものです。)

つまりこういうことです。↓
Imagine the outrage in Washington if China built an impressive military alliance and tried to include Canada and Mexico in it.
(想像してみてください。中国が軍事同盟を構築し、それにカナダとメキシコを加入させたなんて場合のアメリカの怒り心頭っぷりを。)

このImgine~の描きかたはジョン・レノンの歌詞、Imagine there's nocountries(想像してごらんよ、国境なんてないってさ)にひっかけたんだろうか…
 つまりアメリカがロシアと同じ立場に立たされたら、アメリカだって黙っちゃいないだろう…みたいな。

 こういう地政学的な脅威は国土が海にかこまれた日本人にはわかりにくいかもしれない。
 地政学といえば3月18日にNHK Eテレで「世界10代ウクライナ通信」という番組があったんだけど、これは日本を含む世界各国の10代がリモートでウクライナ危機について意見交換し合う企画で、なかでも台湾の17歳ステイシーちゃんはともすれば台湾もウクライナのようになってしまいかねないという緊迫した状況にもかかわらず冷静な分析をしていた。
 結果としては皆と同じように「プーチンNo、戦争No」なんだけど、地政学的観点でいえばプーチンがビビるのもムリはないよねというようなことを淡々と語っていたのが印象的だった。日本の無責任なコメンテーターにも見習ってほしいものだ。
大前氏によれば↓
 そもそもプーチン大統領はウクライナを併合しようとしていたわけではない。「ミンスク合意」の履行を求めていたのである。
 「ミンスク合意」とは、2014年にロシア系住民が多いドネツク州とルガンスク州で勃発し、前述の両「共和国」が2州の一部を実効支配するに至った紛争をめぐる停戦合意だ。2015年にベラルーシの首都ミンスクで開かれたロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4か国による首脳会談で停戦協定に署名した。その内容は、①ウクライナと親露派分離勢力双方の武器使用停止、②ウクライナからの外国部隊撤退、③「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」への自治権付与­---などである。
 ところが、2019年に就任したゼレンスキー大統領は「ミンスク合意」を履行しなかった。しかも、支持率が当初の80%から30%に急落したため、挽回策としてEU(欧州連合)や米欧の軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)への加盟を画策した。その結果、プーチン大統領の堪忍袋の緒が切れたのである。(週刊ポスト2022/4/8)

 おのれの支持率のために世界を混乱に陥れたというと、そもそもロシアを裏切ったNATOの東方拡張のきっかけもクリントン政権の、東欧系移民の票欲しさだった。ミアシャイマー論文によれば↓
To understand why the West, especially the United States, failed to understand that its Ukraine policy was laying the groundwork for a major clash with Russia, one must go back to the mid-1990s, when the Clinton administration began advocating NATO expansion. Pundits advanced a variety of arguments for and against enlargement, but there was no consensus on what to do. Most eastern European ?migr?s in the United States and their relatives, for example, strongly supported expansion, because they wanted NATO to protect such countries as Hungary and Poland. A few realists also favored the policy because they thought Russia still needed to be contained.
(西側、とりわけ米国のウクライナ政策がロシアとの衝突の原因になっていることを理解するにはNATO拡大をかかげたクリントン政権下の90年代までさかのぼらねばなりません。
 当時はNATO拡張の是非についての統一見解はなかったものの、たとえばハンガリーやポーランドのような国がNATOに守られるべきと考える東欧系の移民たちとごく少数のリアリスト派は拡大を支持しましたが、大半のリアリストは反対していました。)
とある。

 ロシアにとってのもうひとつの許せん!はウクライナのクーデターのこと。
2004年の大統領選挙で一度は親ロシア派ヤヌコーヴィチ氏が選ばれたものの、不正選挙だなんだと難癖をつけられ、あっという間に親欧米派ユシチェンコにとってかわられた。
The new government in Kiev was pro-Western and anti-Russian to the core, and it contained four high-ranking members  who could legitimately be labeled neofascists.
Although the full extent of U.S. involvement has not yet come to light, it is clear that Washington backed the coup

(キエフの新政府は、親欧米で反ロシア的であり、高官にはネオファシストと呼ばれるメンバーが含まれていました。米国の関与の全容はまだ明らかにされていませんが、ワシントンがクーデターを後押ししたことは明らかです。)

 この件では電話録音などもリークされた。アメリカによる他国の政権の転覆を狙った工作なんて、そもそもがお家芸のようなもの。
傀儡政権なんて言い方もよくされるけど、世界中にアメリカに育てられた「こどもたち」はいて、その中にはテロリストも多数いる。

 インドがロシアへの制裁に消極的なのは、多くの人は後進国がゆえの経済重視と思っているかもだが、それだけではないだろう。インドもまた植民地という名の被侵略国だった。欧米が正義だなんてとうてい思えないだろう。英国紳士って何だよ笑っちゃうぜってなもんだろう。
 それこそ彼らにして見れば「武力による一方的な現状変更は許されない」って、一体ぜんたいヘンタイ、どの口が言ってんだってハナシだろう。
 その点、欧米、特に米国にとって日本はヒジョーーーーーーーーーーに都合のヨロシイ国だろう。アメリカの空爆でたくさん人が死んでもミャンマーで人が死んでも一般国民は全く気にしないし、自国の入管で非人道的なことが日常化していてもきっと外国人のほうに問題があるとか勝手に解釈して受け流すのに、ウクライナでキレイな白人たちが酷い目にあってると知るや街頭募金まではじめちゃうんだから。

 日本のニュースでは、ロシアのいうところのナチ化に対抗するためとか、侵略ではなく迫害されている民の解放のためだという主張は100%フェイクだという扱いで一蹴だけど、ノー調査ノータイムで「即答即決の100」は言いすぎぢゃねーのか?
 たとえばアゾフ大隊のことを「先回り的」にとりあげ、ロシアはこうした些細な部分をあげつらってウクライナがナチ化されているなどとでっちあげる材料にするかもしれない…などといっていたが、そもそも政権発足時の高官にファシストがいるじゃん(先述の論文参照)。些末でもイレギュラーでもなんでもない、がっつりと中枢に。
 アゾフ大隊は米国議会も認定した白人至上主義のテロ組織なのに、日本の公安調査庁はなぜかテロ集団のリストから除外した。アメリカを追い越しちゃうなんて、なんてソンタク力が高い国民なんだろう!

 とにかく、今回のウクライナ危機では右も左も反ロシアで一辺倒なところがなんだかキモチワルやらコワイやら。なにしろあの歴史修正主義者たちの王子さまだった安倍晋三さんまでも親ロシアだったということを粒だてられウヨに叩かれている。
 たしかにホンキで北方領土を返してもらえると思ってたんだとしたらそれこそ「お花畑」だけど、だったらつきはなしとけばよかったか?というとそうでもない。
 そんなことを言うヤツは地政学というものをわかってない。隣国とは、つかず離れずをいかにこちら側が優位にたちながらキープするかという外交テクニックが必要だ。
 敵基地攻撃能力なんて言ってるやつは、それこそ「逆お花畑」だ。たしかに防衛装備というモノに頼るのはラクだが、今やミサイルの発射拠点も移動式だったり潜水艦だったり、そもそも超音速ミサイルの迎撃は不可能だし、核兵器による抑止効果というのはツバ競り合いのママ実際には使わない(使えない)ことが大前提だったのが、今回のことでそれらが揺らいできた今となっては外交テクニックにたよるしかない。
 そんな中でキエフ→キーウなどの呼称変更は地味だがあとから重くのしかかってきそうな愚行だった。
 なぜ愚行かといえば全く必要なかったからだ。実際のウクライナの人々はロシア語もウクライナ語も話せるバイリンガルが多く、彼らはウクライナ語を話してるときはキーウというし、ロシア語のときはキエフと発音するので日本の変更について一般庶民の方々に感想をきいても日本人のすきなようにすればいい、が大半だという。そう、キエフはウクライナ語でもロシア語でもなく外来語の名詞という分類の日本語なのだ。だから今回のことについては学問の場でも伝統的に使われてきた用語を政治の判断で簡単に変えていいのかとギモンを呈する文学者もいた。
 今後、ロシアでましな政権が現れたとしても今回の「敵性語指定」というアクションが消せないタトゥーとしてネックになりかねない。
 そもそもあのグルジア→ジョージアの変更なんぞ現地撥音でさえない、単なる英語読みだ。

 地味だが実は重く重くきいてきそうなのが経済的影響だ。大前氏の文でリアルだったのは年金問題にふれたこと。ロシアは現在もすでに火の車な状況の年金を追加負担したくないからまた新たに併合はしないだろうという見立て。
 人は霞をくってるわけではないのでこうした考察は重要だ。今の世の中、「ただし空気抵抗はないものとします」みたいなものごとを単純化、矮小化した論が多い。
 今度のことでほら原発はやっぱり必要だなん言ってるヤツらはどういう思考回路なんだろう。原発があるというだけで、核兵器を持たない相手からも核攻撃と同じダメージを食らわせられる可能性があると再認識したというのがまともな考察だろう。おまけに日本は原発のテロ対策に不備があったと発覚していまだ未解決。

なんか、今回、また例によってゼレンスキー大統領のプレゼン力がすごいなんて日本中で持ち上げてるけど、そもそもが避けられた戦争だったんぢゃね?と思えてならない。だって2014年からは8年もあったんだぜ。

 彼が「戦争税」などと言い始めたときにはさすがに「おやおやおや?」ってかんじがしたが、まさか世界は受け入れたりしないよな。
 窮地におちいった民衆を見せられるとつっこみづらいけど、善良な市民をタテにしてるのはむしろゼレンスキー氏ではないのか?

ところでミアシャイマーに反論してる日本人がいるってよ
https://toyokeizai.net/articles/-/578952?page=1
ウクライナ戦争「アメリカが原因作った説」の真相
シカゴ大教授が非難、YouTube再生100万回以上

という東洋経済のweb記事でミアシャイマーに対する「反論」をしているということで見てみた
冒頭部分に
最後に筆者の反論も記したい
な~んて勇ましいので期待したら
違和感を覚える点もある
なんつってトーンダウンした表現
でなかみはといえば↓
大国が力尽くで小国の主権を侵害することが許されるようになれば、欧州だけでなく東アジアをはじめとするあちこちで国際秩序が崩れかねない。

…ぜんぜん反論になってないよぉ
しかもこれ大前さんの連載で一発粉砕
いや、それいぜんに国際政治にかかわるジャーナリストが書く内容じゃないよ

これがニホンのセンモンカってことかい
ミライクライよ

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