偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

NHKドラマ『半径5メートル』にステマ疑惑。

2021年05月05日 19時05分19秒 | ◎ツッコミ思案neo

 深夜、偶然見かけたドラマ『半径5メートル』。運よくというべきかそれが初回だった。週刊誌の編集部という男社会の中でもがく女性記者というありがちな設定。
 芸能部で失態をして生活情報班にとばされるという、これまたありがちな設定。でも失態の内容、何コレ?張り込み中に「無線機」を落としてスピーカーからもれた音声を対象者に気づかれるという。
 そもそも落とす落とさない以前にこんな常にスピーカーホン状態の通信手段を使うかね?ジャック・バウワーでなくともハンズフリー&骨電動イヤホン兼用マイクだろ。
 ただ問題はそこぢゃない。
 生活班にとばされて最初に扱う案件が、「おでんおじさん」。ある主婦がおでんパックをスーパーで買っていたら、知らないおじさんに
「子供には手作りの料理をくわせろ」
と説教されたとかなんとか。たしかにそんなようなハナシあったけど、あれおでんだったか?少なくとも「おでんの具」を手作りしろなんておやじはいないと思うぞ。っていうか「おでんのタネ屋」こそ消えゆく古き良き昭和の風景の一部だ。つみれぐらいならわかるが、いまだかつて「おでん」がおふくろの味だったことはこの国ではないだろう。現実にはありえない「悪者」の捏造。
ただいちばんの問題はそこじゃない。
「おでんおじさん」の元投稿をした主婦にコンタクトをとって取材するんだが、彼女の旦那というのが食べ物にうるさくてレシートをチェックされるという。息子に何食べさせたかを聞かれ、妻が時間がなかったので仕方なくパックの筑前煮を買ったというと
「保存料は?添加物は?」と問われる。
「見てなかった」と返すと
「フツー見るだろ」と問い詰められる。
取材でそのやりとりを語る際に、
「息子にはそんな男になってほしくない」
と声高に言う。
え?
 出来合いの食材を買うのは仕方ないにしても、子供が口にする食物なのだからせめて添加物は気にしろよな
 …のどこがダメ?
 っていうか、添加物は女性の権利や地位とは関係ない。この文脈だと添加物を問題視するやつぁフェミニズムの敵だという間違った考え方を与えかねない。ウラを気にかけるのがサイコだというのならアレルゲンのチェックとかもしなくていいとでも?
 ある添加物と戦う主婦のブログを見たら彼女は逆に旦那や子供たちからめんどくさがられているそうだ。

 日本人はワビサビの文化といいながら目に見えないものや直接的でないものには鈍感だ。放射能とかね。コロナも即死案件ではないので比較的危機感が薄いかも。あと先述の食の安全を考える主婦ブロガーのように社会運動的なものをする方を新興宗教の信者のような目でみがち。
 
「病気にならない生き方」の新谷弘実センセーによれば、アメリカよりも日本のほうが使える添加物が多いのだとか。これには「数え方の問題で一概にはいえない」というつっこみもあるが、例えば日本で売られているコーラはカリフォルニア州では売る事ができない。なぜなら、ある発がん性物質が同州の定める基準をオーバーしているから。アメリカも元々は日本と同じだったが、子供が口にするものだからと問題視されたのだとか。

 アメリカといえば発がん性の誉れ高いタール系着色料「赤色40号」は黒船で来航し開国を迫ったペリーよろしく、1978年、日本の市場開放を迫った米国の圧力に屈して認可された。外圧といえば輸入フルーツに使われるポストハーベストといわれる農薬もそう。対米自動車輸出との引き換えで認可された。よく輸入果実に「防かび剤を使用してます」って書いてあるでしょ。アメリカ本国ではそんな毒入りオレンジや毒入りグレープフルーツは食べてない。

 さて、そんなわけでパパの立場で子供が口にする添加物摂取を気にかけるのは男尊女卑でもなんでもない。コンビニで保存料不使用が流行ったのは、それこそお母さま方が気にかけるようになったからだそうで、親の購買傾向自体がある種の投票行動に等しい効果を発揮する好例。だからゼロは無理でもなるべく、少ないもの。あるいは少し研究してみて、優先順位を自分なりにきめてみるといいと思う。そうすると企業のほうもよせてくるはずだから。

 だからこのドラマのあの雑なセリフまわしは、そうしたお母さま方の積み上げてきた成果を踏みにじる行為といえる。

 あとネットでみなさんのドラマ感想を見ていて、あ、これも誤解してるなと思ったんだがレトルト食品には保存料は入っていないから。法律的に。缶詰もキホン的には保存料は入ってない。
 でもこうした誤解を生むのもこのドラマのミスリードの結果かもしれない。あ、ミスリードのスペルはmissleadね。最近、流行りの「誤解を招く」ってやつ。misreadと勘違いしてんぢゃねーか?という使い方の人をちょいちょい見かけるので念のため。

 この脚本家のセンセーは受賞歴もある大したお方らしいから、凡ミスなんかぢゃなく、食品業界とグルなのかもね。前半の無線機というムリヤリな設定から察するに、まずは結果ありきでご都合主義的に構築していくタイプらしい。ということは食品添加物の正当性を主張するためにサイコ夫には食品添加物を攻撃してもらおう…ってな運びだったんだろうか?
 ぜんぜんサイコじゃないんだけどね。誤解を恐れず言うならこうした食物への繊細さはむしろ「母性」に発揮してほしい。アレルギーだけでなく化学物質過敏症なんてのもあるし、子供のアルミニウムの過剰摂取問題も見過ごせない。単純にポテチ一袋くっちまったら塩分オーバーしちゃうように
大人向け前提の味付けにはトラップがいっぱいある。わかりやすく若年性の成人病にでもなれば気付くが、たとえば心の病に影響した場合はなかなか気づきにくい問題だ。
 このセンセーはお子様がいらっしゃったことはあるのだろうか?とふと想像してみたが、いたとしても高級品ばかり食してたからもともとの経験として添加物なんて気にしたこともないのかも。

 欧米では毎年「ガン死」は減少傾向にあるのに、日本は先進国の中で唯一、ガン死が増え続けていて、その原因は検診受診の少なさと食物だといわれている。

 実はコロナ禍での五輪開催は海外では非難されていることや、福島県産品に関してアメリカも韓国と同レベルの輸入規制をしていることや、大ヒットした「脳トレ」は実は脳トレに効果がないと欧米では10年も前に研究で明らかになっている事実など、日本では報道されないことは多い。先述のコーラの件もそうだ。

 一方で「大事なことはすべてマンガから学んだ」などと本気で言う、大学生や社会人がいるこのサブカルちゃん大国では、「ドラマの誘導」もバカにならない。ドラマがあまり面白くないことはせめてもの救いだが、NHKでやっていることや人気俳優が出ていることで、みんなが見て影響されやしないかが心配でたまらない。
 
最後にジャーナリストの中居あさ子さんの言葉を付記しておく。

「ある食品添加物が認可されるには、「有用性」を上回る「経済性」という裏事情が少なからずあるということも心しておく必要がある。

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