未曾有の地震から今日で一年。
朝からずっとテレビで去年の今日の出来事を見続けた。
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あの日、会社には上司が不在で事務所に居たのは女子3人。
大きな揺れを感じ、取りあえず外へと出た私達は異様な音に恐怖心を掻き立てられた。
その音は道路の向かい側に建築中のマンションから発生していた。
宙吊りの鉄筋が既に組み上がっている鉄筋にぶつかる「ガンガン」と言うもの凄い大きな音。
この音が鳴っている間はまだ揺れが収まっていないことを意味していた。
あの大きな揺れにも関わらず、揺れた向きが幸いしたのか事務所内では何一つ倒れたり、落ちたりが
なかった。
事務所に戻り仕事を再開しようとした矢先に再度大きな揺れを感じた。
また外へと避難した私達が「ガンガン」響き渡る音に恐怖を覚えながら揺れが収まるのを待っていると、
通りがかりの人から駅前は地面と建物の間に段差が入ったり、お店の品物が全部落ちて大変なことに
なっていると教えられた。
そうこうしているうちに本社からぞくぞくと社員がこちらへと避難してきた。
本社ビルは揺れが大きく、キャビネットが倒れたり、パソコンが落ちたりと足の踏み場がない状態に
なってしまっているらしい。
こちらではなんの被害も無いことに驚かれたが、私達も本社の被害の大きさに驚いた。
自宅や実家へ電話をかけ無事は確認できたのだが、上司不在の中これからどうすれば良いのかと
思案に暮れた。
とりあえず自宅の遠い人一人を先に帰らせ、徒歩でも帰れる二人で事務所に残った。
電話が通じず、上司とは連絡がとれないまま・・・
取れないものは仕方ないと腹をくくり定時より少し早めに帰路に着いた。
普段人があまり歩いていない会社の前の大通りを事務所の中に居ても人がわさわさ移動しているのが
分かる程、大勢の人が歩いていた。
それは今までに見たことのない異様な光景。
みんなが不安な顔をし、繋がらない携帯を片手に何度も発信を繰り返しながら黙々と歩く姿は不安感を
増長させる。
公衆電話の前には長蛇の列。
自転車屋の前にも長蛇の列。
でも、ちらっと店内を覗いたらほとんど商品は無くなってしまっていた。
自宅の前に活動中のオット殿の所へ寄り、顔を見た瞬間は腰が抜けるかと思うくらいホッとした。
帰宅した私を出迎えたのは、ひっくり返った食器棚と、床に散乱した本たち。
なかなか帰宅できないオット殿を恨めしく思いつつ一人での片付け作業。
テレビから流れてくる悲惨な現状に胸をしめつけられつつ、帰宅困難者になってしまった妹の身を案じ
地震を人一倍怖がる友達に送信できないメールを何度も何度も送り続けた。
深夜帰宅したオット殿はいつでも出動できるようにとパジャマには着替えず横たわり、私はその横で
次々と舞い込むニュースを見続けたのだった。
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一年前のことなのに鮮明に思い出せるあの日のこと。
ずっと忘れられない、忘れちゃいけないのだろう。
もっともっと大変な思いをした人たちがたくさんいるのだから
ドラマ仕立てだったり、ドキュメンタリーだったりのテレビを延々と一日中見てた。
当時を思い出したり、東北に住む同級生達の現状に思いを馳せたりしつつ。
いつの間にか流れ落ちる涙を拭いながら。
夜になったらこすり過ぎたせいか瞼が腫れてしまった。