オット殿のうまい仕切りに乗せられて連れて行かれた住宅展示場。
そこで紹介されたのは某HMのYさん。
Yさんの第一印象はなんだか分厚い手帳を持った、ザ営業マン
Yさんの目の奥には自分の会社のブランド力や商品(お家)、プレゼンには絶対の自信が
感じられる。
(きっとオット殿の段取りの良さはYさんの入れ知恵があったのではないかなと)
たっぷりの光でゲストを迎える、吹き抜けの開放的なエントランス
掘りごたつ形式のお洒落なリビング
お料理をしながら家族と団らんできるアイランド型のキッチン
壁面にテレビが埋め込まれ、ゆったりとくつろげるバスルーム
機能的でたくさん収納できるウォークインクローゼット
と展示場はザ昭和の生活スタイルの私達の生活とはかけ離れた異空間。
ここは外国なのかしら、はたまたテレビドラマの世界なのかしらと・・・
展示場の最新設備や近未来的な生活風景の案内をしながら、ドン引きしてる私に
Yさんはさぞかし肝を冷やしたことでしょう
ダイニングとリビングの区別もつかないような、カタカナに滅法弱い私に若い人向けの
プレゼンはYさんの完全に誤算で大失敗の巻です。
YさんによるとここのHMで家を建てる年齢層は私達よりかなり上の世帯が多く、
私の年齢を聞いて、最新設備のプレゼンを練ってきたらしい
世の中の奥様はそんな感じなのかしらね。
焦ったYさんはじっくり腰を据えての打合せへと戦略を変え、全く関心を示さない私に対峙し
あれこれと手を変え品を変えで私の琴線に触れる部分を探り出したのだ。
人見知りを自認する私は初めましての人と長い時間一緒に居たくないし
色々と探られてもそう易々とこちらの胸の内は見せられないし
正直もう疲れたし(←コレが一番かも)で早く退去したかったのに
結局なんやかんやと顔合わせは長々とかかってしまい、気が付けば陽はとっくに傾き
窓からの景色は夜景へと変わっていた。
映画を見るエネルギーをすべてYさんに吸い取られ抜け殻のようになってしまった私は
何をする気力もなく、Yさんと出会ってしまったことでこれから何かが大きく変わって
しまいそうな漫然とした不安を抱え、疲弊しきった顔で助手席に乗り込むしかなかった。
私から無言の負のオーラを感じ取ったオット殿は運転しながら、
「タイミング的にはいいと思うんだよね」 と
疲労感半端ない私への言い訳なのか、
己への喝なのか
それとも両方なのか私に聞こえるよな聞こえないよな音量で呟いていたのでした。