ちょっと噂で聞いていて気になってた【出世花】を偶然見つけて即買いしました
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【あらすじ】
「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善(よ)き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶と共に
妻敵討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎が寺の住職に遺した言葉である。
しかし、源九郎の骸と魂は三昧聖によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。
「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。
本の帯にあるように江戸時代版「おくりびと」
昨年、映画の「おくりびと」はモントリオール国際映画祭で注目を集め、アカデミー賞でも話題になったので
知ってる人も多いのでは。
題材となった「納棺夫日記」では、実際の物語的な部分は少なく、半分くらいは宗教観が書かれていたので
読み解くのが難しかった。
その点「出世花」は完全に物語を短編でまとめられているので、分かりやすいです。
おくりびとでは納棺師が主人公でしたが、こちらは湯灌を行う人の話。
現在の葬儀では亡くなった方を移動浴槽で洗い清める湯灌も一般的になってきているようです。
死者を洗い清め、死化粧を施し、帷子を着せ荼毘に付されるまでの準備を行う三昧聖となり、
様々な体験をして人としての成長を遂げていきます。
それぞれのエピソードは当然「死」がメインとなっていますが、人の情、親兄弟の想い、友情や慕情が
散りばめられ、思わず感嘆のため息がもれます。
職業柄人から蔑まれたり、忌み嫌われたりするのですが、自分の大切な人の旅支度を丁寧にしてもらえ、
感謝する人もいる。
私は↓この部分がとても好きです。
「ありがたいこと、この手で清められて、乳母も心穏やかにお浄土に旅立てたことでしょう。
ほんに得がたい手よ。」
ふみの低く囁く声が、お縁の耳に届く。それはお縁の心を強く揺さぶり、胸のうちに黴のように
繁殖し始めていたくらい感情を一瞬で焼き尽くす強い輝きを放つ炎となった。
内容も素敵ですが、言葉の表現方法に魅せられました。
他の作品も読んでみたくなりました
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