お寺の小僧
お寺の小僧、声を出して書物を読んでいた。
「慈円和尚の書」
すると庭先のほうで何者かの気配が、この山寺には時々鹿が迷い込む。鹿かと思い障子を開けると、見慣れぬ女子が立っていた。
「おぬしは誰ぞや?」
返事はない。
「腹でも減ったか?でもここには大した食い物はない。でもお供え物の饅頭があったかも知れん。とってこよう」
帰ってきたが見慣れぬ女子はもう いなかった。
「うまいぞ。食わんのか? うまいぞ、一つ食べたが、まだ一つある。どうだ、食ってしまうぞ」
その後も何度か現れては いなくなった。
「慈円和尚の書を読むたびにあの女子が現れた。さすれば慈円姫、というのかもしれぬ」
小僧は短冊に、『慈円姫』と書いた。
小僧は大きくなり、寺から戻され、景虎という武将となった。
霧の八幡原
信濃 川中島、八幡原は深い霧の中、越後の長尾景虎は敵陣に突入。晴信の前に現れる。
「晴信、おぬしの悪行決して許されるものではない。成敗致す、覚悟せい。」
剣を掲げ馬を走らせる途中、不意の雷鳴が轟き景虎を直撃、馬もろとも崩れ落ち気を失う。
甲斐の武田晴信、呆気にとられるも、近習の者に指示。近習の者、景虎に駆け寄り、トドメを刺そうとする。
「前々から戯けとは思っとったが、景虎こりゃ思うとった以上の大戯けじゃわい。」
英国のレディ・J(ジェイ)・グレイはロンドン塔に幽閉されていた。
そして、その時が近づいていた。運命を受け入れる気持ちは出来ているが、時に不安定にもなる。
若くまだ さまざまな事も知りたい。そして、そんな中、時に意識は時空を彷徨う事もあるのだろう。
異なる世界のロビンは川中島を見物中。ジェイ・グレイがやってきた。
「やあ、ジェイ・グレイだね、僕の腕前を見に来たのだろう、うんうんわかる。
では、あの者(近習の者)に当ててみせよう。」
幾つもの矢が飛んでいく。そして幾つかの矢は当たりそうになる。近習の者、矢に気づき打ち払おうとするが矢は ただ、すり抜けていく。
その間、意識が戻った景虎の剣は近習の者を突き刺す。晴信の前には既に多くの兵が立ち塞がっていた。
「晴信、悪運だけは強いようだな、だが次は外さぬ、それまでおとなしく待っておれ。」
景虎は馬に乗り去っていった。走り去る景虎が見えなくなると晴信は言った、
「悪運が強いのは、お前の方だろ。戯けが。」
荒唐無稽な話
越後の春日山城に景虎は戻った。留守居の爺は駆け寄り言った。
「お屋形様、ご無事でなによりに御座います」
「爺、我は英国へ参る」
爺は唐突の話に面喰い、すぐには言葉がでてこなかった。
「お、お、お屋形様、英国とは いったい何事で御座いましょう。英国、とは、はて・・・・・・」
「英国とは南蛮あたりの国じゃ」
「南蛮? これはまたどうして? 行くと申しましても幾月いや幾年もかかると聞いております。そもそも、疫病、遭難、海賊も多く命を落とすもの数知れずと聞いております。いったい何故で御座います」
「英国の慈円姫を助けねばならぬ、この度の合戦の折助けられたのじゃ、慈円姫に。そう馬から落ちてオボロゲな意識の中、確かに慈円姫がみえた、そして その共の者が矢を放ってくれた。だが、思うに、どうやら慈円姫に危機が迫っているようだ」
「お屋形様、大変失礼ではありますが、あまりに荒唐無稽な話にしか聞こえませぬ。南蛮の姫が何故にそんなところに居りましょう」
「爺には解るまいな」
数日後、景虎の書置き。
『爺へ、暫く高野山にて修行します。探さないでください』
「オノレぇえー、かげとらサマああ。勝手すぎるんだよー」
景虎、高野山にて ひたすら行を積む。
お寺の小僧、声を出して書物を読んでいた。
「慈円和尚の書」
すると庭先のほうで何者かの気配が、この山寺には時々鹿が迷い込む。鹿かと思い障子を開けると、見慣れぬ女子が立っていた。
「おぬしは誰ぞや?」
返事はない。
「腹でも減ったか?でもここには大した食い物はない。でもお供え物の饅頭があったかも知れん。とってこよう」
帰ってきたが見慣れぬ女子はもう いなかった。
「うまいぞ。食わんのか? うまいぞ、一つ食べたが、まだ一つある。どうだ、食ってしまうぞ」
その後も何度か現れては いなくなった。
「慈円和尚の書を読むたびにあの女子が現れた。さすれば慈円姫、というのかもしれぬ」
小僧は短冊に、『慈円姫』と書いた。
小僧は大きくなり、寺から戻され、景虎という武将となった。
霧の八幡原
信濃 川中島、八幡原は深い霧の中、越後の長尾景虎は敵陣に突入。晴信の前に現れる。
「晴信、おぬしの悪行決して許されるものではない。成敗致す、覚悟せい。」
剣を掲げ馬を走らせる途中、不意の雷鳴が轟き景虎を直撃、馬もろとも崩れ落ち気を失う。
甲斐の武田晴信、呆気にとられるも、近習の者に指示。近習の者、景虎に駆け寄り、トドメを刺そうとする。
「前々から戯けとは思っとったが、景虎こりゃ思うとった以上の大戯けじゃわい。」
英国のレディ・J(ジェイ)・グレイはロンドン塔に幽閉されていた。
そして、その時が近づいていた。運命を受け入れる気持ちは出来ているが、時に不安定にもなる。
若くまだ さまざまな事も知りたい。そして、そんな中、時に意識は時空を彷徨う事もあるのだろう。
異なる世界のロビンは川中島を見物中。ジェイ・グレイがやってきた。
「やあ、ジェイ・グレイだね、僕の腕前を見に来たのだろう、うんうんわかる。
では、あの者(近習の者)に当ててみせよう。」
幾つもの矢が飛んでいく。そして幾つかの矢は当たりそうになる。近習の者、矢に気づき打ち払おうとするが矢は ただ、すり抜けていく。
その間、意識が戻った景虎の剣は近習の者を突き刺す。晴信の前には既に多くの兵が立ち塞がっていた。
「晴信、悪運だけは強いようだな、だが次は外さぬ、それまでおとなしく待っておれ。」
景虎は馬に乗り去っていった。走り去る景虎が見えなくなると晴信は言った、
「悪運が強いのは、お前の方だろ。戯けが。」
荒唐無稽な話
越後の春日山城に景虎は戻った。留守居の爺は駆け寄り言った。
「お屋形様、ご無事でなによりに御座います」
「爺、我は英国へ参る」
爺は唐突の話に面喰い、すぐには言葉がでてこなかった。
「お、お、お屋形様、英国とは いったい何事で御座いましょう。英国、とは、はて・・・・・・」
「英国とは南蛮あたりの国じゃ」
「南蛮? これはまたどうして? 行くと申しましても幾月いや幾年もかかると聞いております。そもそも、疫病、遭難、海賊も多く命を落とすもの数知れずと聞いております。いったい何故で御座います」
「英国の慈円姫を助けねばならぬ、この度の合戦の折助けられたのじゃ、慈円姫に。そう馬から落ちてオボロゲな意識の中、確かに慈円姫がみえた、そして その共の者が矢を放ってくれた。だが、思うに、どうやら慈円姫に危機が迫っているようだ」
「お屋形様、大変失礼ではありますが、あまりに荒唐無稽な話にしか聞こえませぬ。南蛮の姫が何故にそんなところに居りましょう」
「爺には解るまいな」
数日後、景虎の書置き。
『爺へ、暫く高野山にて修行します。探さないでください』
「オノレぇえー、かげとらサマああ。勝手すぎるんだよー」
景虎、高野山にて ひたすら行を積む。
「ジェイ・グレイ」が小説のタイトルです
歴史フィクションです。歴史的出来事や人物を題材としていますが、ほぼフィクションで、登場人物も多くは架空の人物です。タイムスリップありです。小説を読もう様のサイトに掲載しています
随分前の学生時代、ドラローシュの絵画「The Execution of Lady Jane Grey」を新聞の絵画紹介欄で初めてみた。新聞ではあったがカラー刷りで、その迫力は圧倒的だったと思う。当時、今よりも歴史は殆ど知らず。欧州の事等も学校で習ったくらいだ。それさえあまり頭に入ってなかったろう。その時既に自分は、Jane Grey より幾つか年上だった。
その絵は大きく印象に残った。それにまつわる物語を書きたいとも思ったが文才もなく、そのまま時は過ぎていった。ネットに素人でも投稿できる小説サイトが出来て、やっと近頃書いてみることにしました。
(あらすじです)
まだ17歳の若きレディ・ジェイ・グレイは英国の政争に巻き込まれ、死刑の宣告を受ける。刑を受けるまでの数ヶ月の間、ロンドン塔の粗末な一室に幽閉される。そこでジェイ・グレイは時空を超え旅をする。
江戸時代、長尾景虎公の遠い末裔と云われる長尾虎之助は長崎で抜け荷(密貿易)の密偵をしていた。しかしそれが知られ、命を狙われる。そして家族と仲間を殺害されてしまう。そこに現れたのが……。
(投稿サイト)
初めまして
素人ですが小説らしきものを、小説投稿サイトに書いています。
よろしければのぞいてみて下さい。
その小説投稿サイトではガラケーでは見れない為、ガラケーの知人約1名に見てもらおうと、こちらに上げさせて頂こうと思ったのですが、皆さまも宜しく願います。
投稿サイト