正定寺の閑栖  (しょうじょうじのかんせい)

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菩提の種をまく

2013年11月28日 | 日記
この季節になると軽トラ一杯に「大根」をお寺に供養する
おばあさんをを思い出します。

大根の種をまいて育てるのはおばあさんです。
その大根畑から形の良いものだけを運ぶようにお孫さんに伝え、
毎年この時期にお孫さんが大根を届けてくれていました。

それは長い間続けられ、その大根はタクアンとなって年中行事の
檀信徒のお接待に使われていました。

おばあさんは平成3年の11月18日87才で亡くなりました。

この年の大根もおばあさんが育てたもので、最後の大根も
お孫さんが運んでくれました。

おばあさんが良く口癖にしていた言葉が
「他人様に差し上げるものは立派なものでなければいけない」でした。

お寺に届く大根はそれはそれは見事な大根でした。

自宅の軒先には、形の悪い大根が下がっていたと
近所の檀家さんから聞いた事があります。

要らないものを差し上げるのでは無く、自分の大切なものを差し上げる事が
施しなのかも知れません。

見返りを求めないから「心も品物」もきれいなのでしょう。

清らかな気持ちで施す、私もなかなかできません。

施すものは品物に限りません。
言葉であったり笑顔であったり、
お坊さんの読経や法話もお布施です。

お寺に差し出す金品だけがお布施ではありません。

「今日彼岸菩提の種を蒔く日かな」という言葉があります。

そして菩提の種はこんな風に育つのかも知れません





今では大根の代わりに、時間を作ってはお孫さん夫婦がお寺で手を合わせ
年中行事にはきっと手伝ってくれます。

仏さまのご縁を育てるための種まきは「今でしょ」なのかも
知れません。