ありがとう

　今日、タビーを膝に抱いていると雷の音が聞こえた。怖がるかな？と思い見ていたが怖がる事もなく知らん顔をしていた。とても眠そうだ。

　タビーを迎えて約1年2ヶ月、大きくなったなぁ、と思う。大きな病気やケガもせず素直な良い子に育ってくれたと思う。

　今も昔も私が猫たちに教えてあげられることは少ない。教えてもらう事の方が多かった。

一つだけ、絶対に忘れないで欲しい事がある。どの猫たちにも教えていて、どの猫たちもちゃんと覚えていてくれているはず…。

「ありがとう」は宇宙一の美しい言葉なんだよ。これだけは忘れないでね。タビー。

ドライブ

　今朝、思い立ってタビーと鮎を食べに行った。車で1時半くらいの所にある道の駅だ。タビーを連れて店の中には入らないので道の駅にした。今日は小雨模様で車中の温度も高くはない。

タビーの水や皿などを積んだが、日帰りなのに荷物が多い。

　鮎を2匹買った。「鮎だよ。美味しいね。」とタビーとお話ししながら食べるはずだったのにタビーは食べない。

匂いを嗅いで食べたそうにしていたのに…。

行ったことのない所で気を張っていたせいで食欲を忘れてしまったのだろうか。

タビーがもしも犬だったら大喜びであっという間に食べてしまうだろう。

しかし、猫は犬のような食べっぷりはなかなかしない。

仕方なくまだ手をつけていない1匹は持ち帰り、タビーが食べるために塩のついた皮を剥いでしまった鮎は私が食べた。

　家に持ち帰った鮎は、タビーが前足でツンツンした後食べた。

　４時間ほどのドライブだった。車に乗るのは大丈夫だが初めての場所は警戒モード全開だ。

　まだまだだね、タビー。　おかあさんは今日行った所よりもずーっと遠くへタビーと一緒に行きたいんだよ。行ってくれるかなぁ？　いつか…。

訃報

　今朝携帯に知らない番号の電話があった。固定電話の市外局番は和歌山県だ。嫌な予感がした。出てみると私が母と慕う方の訃報だった。

　コロナが落ち着いたらタビーを連れて会いに行くつもりだったのに…。

今日のタビーは、私の気持ちを察しているのか、いつもより甘えてくる。

　お母さんは、奈良県の山奥の村で民宿を営んで多くの人から慕われていた。

動物好きで野良猫20匹近くを世話していたこともあった。お母さんの後を何匹もの猫が列を作って歩く様子を本に載せた人もいた。　94歳で安らかに亡くなられたそうだ。　

お母さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。　あの世でもきっとご活躍されるんでしょうね。

　タビー、コロナが落ち着いたらおかあさんのお母さんに会いに奈良県の山奥の村へ行くよ。

　今日は、タビーがいてくれて本当に良かった。

写真

　タビーは写真が嫌いだ。いや、嫌いだった。　カメラを向けると隠れてしまったり、顔を背けてしまったり。

眠った姿が可愛いからとカメラを向けると、顔を背けながらどこかへ行ってしまうのが常だった。

それが今ではまさかのカメラ目線か？　と思う時がある。

「タビー、写真撮っておじちゃんに見てもらおう。」

おじちゃんとはタビーの実家の友人Kのことだ。ダメかな…と思いながらもこう言いながらカメラを向けたところ、逃げもしないでちゃんとカメラを見てくれた。

「かっこ良く撮れたよ。きっとおじちゃんも喜んでくれるよ。」と言ってもタビーは知らん顔をしているが…。

　昔いた猫たちはカメラが嫌いで、嫌いで。あまりの嫌い過ぎでカメラのシャッターがおりない猫がいたなぁ。「写真を撮らせて下さい。」とお願いするとシャッターは下りたが撮れた写真は不機嫌な顔で今にもシャーッと言いそうなものだった。

　タビーが優しい猫で本当に良かった。

秘密のお散歩

　昨夜タビーがいなくなった。　私がお風呂に行っても、トイレに行っても、必ずと言ってよいくらいに着いてくるのに、来ない。　「タビー」と呼んでも来ない。　それどころか家の中にタビーの気配が無い。

ベランダから落ちたか、飛び降りたかに違いない。

骨折とかしてたらどうしよう！　慌てて玄関のドアを開け、「タビー」と呼んでみた。が、誰もいない。

祈るような気持ちで「タビー」ともう一度呼んだ。

　暗闇から何事も無かったかのようにすまし顔のタビーが現れた。

ほっとしたが、ここで慌てて大きな声を出してはいけない。こちらも何事も無かったかのように静かに声かけした。

「タビー、おかえり。」

タビーは嫌がることもなく自ら家に入った。　ここで私は騒いではいけない。あくまでも普通に、「タビー、ケガしてない？　痛いところはない？　おかあさんに教えて。」とタビーに言った。

タビーを膝の上に乗せて、あちこち撫で回してみたが異常はなかった。

　タビー、どんな冒険をして来たの？　

いつか、おかあさんに教えてね。