タビーの仕事

　家族が仕事に出掛け、また私も今日はお仕事に行かなければならない日だ。

タビーがベランダから顔を出して切なげな声で鳴く。すご〜く後髪を引かれる。

「タビー、お仕事にいってくるよ。」

「…。」

「タビーもお仕事頑張ってよ。」

「！？」

「タビーのお仕事はお留守番だよ。おうちを守る大事なお仕事だよ。お願いします。」

毎回こんな感じで私は出掛ける。

初めてタビーにお留守番を頼んだ時、「タビー君のお仕事だよ。」と言ったら、はっとした顔をした。だからたぶん、今頃は粛々と職務を遂行しているに違いない。

　がんばれ、タビー！

猫は魔物か？ 2

　母が可愛がっていたグレコは生まれつき肝臓が悪かった。よく動物病院のお世話になった。

　ある日、母が膝が痛いと言い病院で診てもらうと膝に水が溜まっていると言われた。注射が嫌いな母は薬を飲むことになった。それから1ヶ月後、母の膝は治った。

その頃グレコのお腹が腫れているようだったので動物病院へ連れて行くとグレコのお腹に水が溜まっている、と言われた。これは危ないかもしれない、と。

通院と投薬の結果、1ヶ月後には治った。

すると今度は、母の膝に水が溜まり…。

約1ヶ月交代で母の膝とグレコのお腹に水が溜まるということが半年ほどあった。

　私たちは、グレコが母を助けてくれたと思っている。

　猫は「魔物」ではない。

猫は神様のお使い、かな？　だと良いな…

タビー君は「ナニモノ」でもかまわないよ。大好きだから。

猫は魔物か？

　タマは何匹かいるタビーの先輩猫だ。卒業して久しい。父が唯一可愛がった猫だ。引越しを1ヶ月後に控えていたが交通事故で亡くなった。

　タマが亡くなって2ヶ月ほどした頃のことだ。　家路を急ぐ夜、車を走らせてその現場を通りかかった時のことだ。

車の右足の辺りに空間ができて、猫が乗り込んで来た。　「タマ」だ！

数秒の出来事だった。すぐに空間もタマも消えてしまった。

「タマちゃん、一緒におうちへ帰ろう。」タマに私は語りかけた。

きっと家族のもとへ帰りたかったんだよね。　

　不思議だなぁとは思ったが、怖くはなかった。もちろん祟りなど無い。だって家族だもん。

　

迷子札

　最近タビーは、わずかな隙をついて脱走する事が増えた。外に興味を持つのは順調に育っている証拠だと思いたい。

しかし、外は楽しいかもしれないが危険もいっぱいある。

　昔飼っていた保護猫は家の外へは決して出ようとしなかった。怖い思いをたくさんしたに違いない。

　今タビーは外に出ても玄関先でゴロゴロするか、家の回りをうろつくだけで済んでいる。　が、どこかへ行ってしまった時、帰りたくても帰れなくなった時、誰かに保護され連絡先がわかれば一報をもらえるかもしれない。そんな思いを込めて迷子札を買ってみた。布製でアイロンで付けるタイプだ。

　タビー、涼しくなったらおかあさんとお散歩しよう。