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【加古爺のつれづれ一行詩集 第30回】

2023-02-16 07:50:00 | 日記

今日は立春。風もなく、穏やかな一日でした。まだまだ寒い日が続くでしょうが、春はそこまで来ています。

第28回では「阿弥陀如来坐像(八寸)」の【光背の用材(元木)】のみを紹介させていただきました。

用材は幅(横の最長部)18cm、高さ(縦)25cm、厚さ(最大部)3cm 程の大きさがあり、木曾檜の一枚板ではなく、

寄木で作られています。

 

さて、光背とは仏身から発する光明をかたどった、 仏像の背後にある飾りのことで、御光・後光(ごこう)とも呼ばれます。

仏教美術における光背は、インド仏教では頭部の背後にある頭光(ずこう) に始まり、仏教が東伝するにつれ、頭と身体のそ

れぞれに光背を表す「二重円光」があらわれ、中国仏教や日本仏教において様々な形状が発達しました。 日本では身体部の背

後の光背を身光(しんこう)と呼び、その後これらを合わせ、身体全体を覆う挙身光(きょうしんこう・ こしんこう)が表現

されるようになりました。

光背の分類のうち、形状によるものでは、 光を輪で表した円光(輪光)、二重の輪で表した二重円光、それらの円光から放射

状に線が放たれている放射光、宝珠の形をした宝珠光、蓮華の花びらを表した舟形光背(舟後光)などがあります。

また、文様による分類では、 挙身光(光縁部)の表面に唐草と架空の五弁花の植物とを組み合わせた空想的な文様を表した

光背、 飛天が配されている飛天光背、多数の化仏を配置した千仏光背、雲がたなびく様子を表した瑞雲光背、水が細かに飛

び散って煙のように見える様子を表した水煙光背、不動明王のように炎を表した火焔光背などがあります。

今回制作するのは「舟形雲透かし光背(瑞雲光背の一つ)」です。

             【参考図:飛天光背】

【光背の制作】

① 頭光背と背光背を残し、蓮弁のように内側を丸鑿や丸刀を使って船底形に削っていきます。外側も削って膨らみをもたせま

す。途中、厚みを確認しながら、左右のゆがみがなく、緩やかなカーブを描いているか、調整しながら凹ませていきます。

② 大方の削り作業が終わったら、縦に中央線を書き入れ、頭光・身光・受花の輪郭を書き入れます。輪郭に沿い、三角鑿、三

角刀を使って溝を造っていきます。

③ 全体の輪郭の縁を少し残し、身光・頭光の溝に向かって、ゆるやかに舟形に掘り下げていきます。すると、頭光・身光・受

花が浮き出たようになります。

                           【表】

                           【裏】

④ 透かし彫りの模様は、デッサンした紙を貼り付けて彫っていきますが、全体がかなり薄くなっているため、力の入れ具合が

難しいです。切り抜いた裏側も順次面を取り、雲の輪郭を整えます。

                           【表】

                           【裏】

⑤ 雲の輪郭の切り抜きが終わったら、雲の整形に入ります。外側をむっくりと丸め、内側も、丸刀の丸みを利用して柔らかな

曲線を出していきます。

⑥ 雲の部分が仕上がったら、頭光・身光・受花の段差を彫り出しながら、受花、身光、頭光の順に細かく仕上げていきます。

⑦ 最後に、「蓮華座」(第27回参照)の蓮肉上部に枘(ほぞ)穴を空け、光背を立てます。この時、光背が少し前傾気味に

立つように、枘(ほぞ)穴を調整します。

⑧ 完成した台座・光背一式の蓮台に本体を合わせ、いよいよ「阿弥陀如来坐像」の完成です。

  〇 祈り込め  彫りて 出(い)でたる  私のほとけ 

  〇 亡き娘  導師となりて  拝刀す  阿弥陀如来が  ここにぞおわす

  〇 名号(みょうごう)を  唱えて温(ぬく)し  南無阿弥陀仏 

訪問感謝。最後までお読みいただき、ありがとうございました。          それではまた次回に!      合掌


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