多摩爺の「時のつれづれ(霜月の44)」
ハング・パーラメント
政権選択の総選挙が終って2週間が経った。
政権与党が過半数割れしたものの、野党第一党が比較第一党になったわけでもないことから、
明日招集される特別国会で行われる、次の総理を決める首班指名選挙にむけて、
少数政党の取り込みを巡る攻防戦が・・・ ここ数日、メディアを賑わせていた。
このように議院内閣制の立法府において、いずれの政党も過半数に至ってない状況を、
ハング・パーラメント(宙づり議会)と云うらしい。
選挙制度が比例代表制であったり、特定の地域政党が強い欧州では良くあるとのことらしいが、
都度都度、連立を組んで政権運営にあたっているので、
いまこの国で起こっているように、キャスティングボードを握った少数政党が連立に加わわらず、
議会が招集されるのは・・・ 珍しいことらしい。
それにつけても、政策の中身やその影響について、深掘りすることをしなかったメディアが、
手のひらを返したかのように・・・ 103万円の壁について取り上げ始めている。
大変申し訳ないが、こういったことは選挙期間中に、各党の政策を比較するなり、図解するなりして、
詳しく説明していただければ、ありがたかったんだが・・・ ご都合主義も甚だしい。
また議席を増やして、今後の国会対応に注目が集まるはずだった野党第一党の周辺から、
あっという間にテレビカメラが引いてしまい、孤立させてしまったことも解せない。
トップ自ら政策そっちのけで、あれほど「裏、裏、裏」と連呼して議席を増やし、
メディアもそれに相乗りして、面白おかしく報道していたんだから、
政治とカネの落としどころについて・・・ いつまでに、なにがどうなりそうなのか、
その戦略を追いかけ続けなきゃ、納得できないんだけど・・・ これもまたご都合主義だと思う。
政権交代を掲げて戦った総選挙で、野党第一党が比較第一党にならなかった主たる要因は、
この国をどこに導くのか、あるべき方向性はどこにあるのか、そういった政策論争をしないで、
政治とカネの問題に関わった候補者に、ダーティーなレッテルを貼り続け、
ただひたすらに・・・ 落選運動を展開したことだったのではなかろうか?
その結果として議席を増やしたものの、特別国会で行われる総理大臣を選ぶ首班指名選挙において、
野党第一党の代表への投票を、少数野党の各党に呼びかけたが、
基本政策の違いや、過去のしがらみ、来夏の参院選を睨んだ思惑などもあって同意が得られず、
耳を傾けたのは共産党だけというんだから・・・ これはちょっと恥ずかしいし、みっともなかった。
それはそれとしてもう一つ、明日から始まる国会運営で、見落としてはならないのは、
予算委員会や憲法審査会などの主要ポスト(委員長、会長)を野党が得たことではなかろうか?
これまでは、政権与党が数の力で審議を押し切り、採決に持ち込むことができたが、
今国会からは・・・ それができなくなったのである。
政権を担う与党としては、大きな痛手になったが・・・ 一方でそれは、
いままでは、各論賛成でも総論反対で、最後の最後は反対すれば良かった野党第一党は、
対案を示して、丁寧な議論を深めなきゃならないといった、
目指している政権交代に向けて・・・ 大きな責任を負うことになったのである。
例えば、法務委員長を野党が得たことによって、選択的夫婦別姓の議論は大きく前に進むだろうし、
政治改革特別委員長を野党が得たことによって、政治とカネの問題に決着がつくだろうが、
一方で予算委員長を野党が得たことによって、外交安全保障などの喫緊の課題が停滞する恐れがあり、
憲法審査会長を野党が得たことによって、憲法改正議論がストップしてしまう可能性もでてきた。
先週投開票が行われたアメリカ大統領選挙で、厄介な元職が返り咲いたことを踏まえれば、
本来なら、安定した政権で対応して、やっとなんとかなりそうだが、
それもこれも民意だから・・・ 愚痴を云っても始まらないし、
野党第一党の対応にも注目が集まることから、まずは相手方の出方待ちというところだろう。
まずは江戸時代後期に、救民を掲げて決起した大塩平八郎の持論でもあった、
「民疲弊すれば国荒廃し、民豊かになれば国栄える。」に習い、
キャスティングボードを錦の御旗にして、103万円の壁にチャレンジした、
少数野党の意気込みにベクトルを合わせつつ、政権与党の踏ん張りに期待するしかないだろう。
ただ、キャスティングボードを握った政党に、くれぐれも勘違いしてほしくないのは、
錦の御旗を振りかざす場面は、天下国家という視点で捉えた・・・ 対決より解決の場であって、
持論をゴリ押しするために、政権の喉元に匕首を突きつけることではないので、
この姿勢だけは、正論を貫き通してほしいと願ってやまない。
おそらく、政権の維持に拘る与党は、驚くほど控えめな対応で妥協してくると思われるが、
ここで注目しなきゃならないのは・・・ 批判に終始していた野党第一党が、
伸ばした議席を背景に、対案を出して天下国家の議論に参戦できるか否かであり、
さらに各種委員会や審査会において、党利党略を超えた運営が出来るか否かではかろうか?
今国会のポイントは、常日頃から野党第一党が言っていた「真っ当な政治」だと思っているが、
それがいま、そっくりそのまま・・・ 野党第一党が問われていることに、
野党第一党は気がついているだろうか?
天に唾することを厭わない、ブーメランがお得意の政党だけに、そこにも注目せねばならないだろう。
首班指名がメインとなる特別国会の会期は短く、その後は国際会議やアメリカ訪問などを挟んで、
臨時国会になるのか、通常国会になるのか、国会のスケジュールは分からないが、
補正予算や、政治とカネ問題などの審議が本格化すると思われる。
与党が過半数割れした国会は・・・ いったい、どのような光景になるのだろうか?
くれぐれも、くれぐれも、期待外れにならないことを願ってやまない。
追伸
今週の半ばから、天気と相談しながら・・・ 10日程度、実家に帰省して、
母のご機嫌伺いと、断捨離の手伝いをしてこようと思っており、
フォロワーさんのブログには、タイミングを見てお邪魔する予定ではありますが、
当ブログの更新は・・・ 2週間程度お休みさせていただきます。
法務委員長を野党が得たことによって、選択的夫婦別姓の議論が大きく進むだろう。ブログに綴ってくださってうれしいです!ずっと望んでいる1人なので。😌
ありがとうございます。
やぐちゆみこ
思いは人それぞれあると思いますが、
多くの人々が支持し、期待していることにストップをかける理由はないと思います。
議論が必要なら、ぐずぐずせずに論点を整理して議論し、法制化に着手すべきですね。
ありがとうございます。
安全運転で行ってきます。