時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

Jアラートってなんだ?

2023年04月15日 | 時のつれづれ・卯月 

多摩爺の「時のつれづれ(卯月の37)
Jアラートってなんだ?

木曜日の朝、8時ちょっと前だった。
突然、黒いテレビ画面に切り替わり・・・ そこに記されていた文字は、
午前8時ごろに、北海道周辺にミサイルが落下するとあった。

ついに半島がミサイルを撃ち込んできたらしい・・・ 凍り付くような文字だったので、
テレビ画面と睨めっこしながら、画面の厳しい文字が次なる情報に変わるまでの約30分、
いままでに経験したことがないような、力みと緊張感のなかで、
食い入るように・・・ テレビ画面を見入っていた。

さて、Jアラート(全国瞬時警報システム)って・・・ いったい、なんなんだろう。
弾道ミサイル攻撃に関する情報や、緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、
人工衛星や、地上に張り巡らされた通信回線を使って、都道府県(市区町村)に送信し、
市町村の防災行政無線(同報系)等を自動起動させ、人手を介さず瞬時に伝達するシステムである。

なお、弾道ミサイル攻撃に関する情報などの・・・ 国民保護に関する情報は、
防衛省から必要最小限、最低限の情報に限って、内閣官房を経て発出されていることから、
防衛省はあくまでも情報源であって、国民に向けての発出元は内閣官房なんだが、
これを知らず、防衛省と内閣官房の関係を勘違いしている人が、メディア関係者にはけっこういる。

特にワイドショーのMCや、コメンテーターが、さも知ったげに話をしていたが、
後日、防衛省OBの話を聞けば・・・ 「どうかな?」と思うような発言も多々あるから、
この国の防衛省ができることと、できないことを整理して、
しっかり学んでいただかないと・・・ とんでもないミスリードをしてしまうと思ってしまった。

その一つとして、こういった事態が起こると、いつも問題視され、不満の声が上がるのは、
Jアラートで発信された情報が、国民が求めている情報よりも、
遙かに簡素で、しかも単発で、遅れ気味の発出になってることではなかろうか?

私もその程度だったから・・・ 国民の安全と、国土の防衛を任務とし、
情報を持っている防衛省から、内閣官房を経ずに、
タイムリーに発出すべきとの声が上がるのも・・・ ある意味、致し方ないと思っていた。

しかし、防衛省OBの方の解説によれば、
この国にはシビリアンコントロール(文民統制)という、軍の独走を抑止する仕組みが働いていて、
防衛省サイド(自衛隊)が単独で、避難指示が出せないらしいのだ。

さらには、防衛省から内閣官房に渡る情報は、軍事情報であることから厳秘であり、
メディアや他の省庁に触れさせるわけには行かないので、
情報が必要最低限で、尚且つ最小限とされいるているらしい。

これらの仕組みを知っていれば、
内閣官房を経ずにタイムリーな情報を出せなんて、
公共の電波で、軽々にもの申すような、恥ずかしいコメントはしないだろう。

改めて学んだのは、あれが必要最小限の情報であって、
国民がいくらこれ以上の情報を求めても、出すことができないことになっているのである。

結果的に今回発出されたJアラートは、午前8時ごろに、北海道周辺にミサイルが落下するとして、
避難を呼びかけたものの・・・ その後、可能性がなくなったとして情報を訂正している。

このことについて総理は、国民の安全を最優先する観点から発出したものであり、
Jアラートの役割を考えれば・・・ この判断は適切であったと語った。

一方で野党の幹部は、情報が錯綜したことで、公共交通機関に大きな影響が出ており、
確実性や、信憑性がなくなると、オオカミ少年となって、信頼を無くすとの前置きをしてから、
後から言い訳しなくても済むように、
念のため発出した警報であって・・・ 国民生活を考えてないと非難している。

どちらのコメントに与するかは・・・ 考える余地もない。
改めて、Jアラートっていったいなんなんだ・・・ と、問うてみたい。

多くの国民は、文字を見て情報を確認しているから、切迫感が感じられないように見えるが、
サイレンだったら・・・ どうだっただろう?
ウクライナ報道で、散々目にしてきた、
人々がシェルターに避難するようなサイレンだったら、どうだっただろうか?

今回発出されたJアラートは・・・ 明らかに空襲警報であり、
政府が国民に向けて発出した、直ちに命を守る行動を取ってくれとの警報であり、
けっして結果だけを見て、軽んじてはいけないことだと思うが、如何なものだろうか?

オオカミ少年と言われようと、なんと言われようと、危険を察知すれば情報を出す。
それって・・・ 当たり前のことであり、
これからも、事ある毎にJアラートは発出され、事ある毎に訂正を繰り返されるだろう。

それに対して、イチャモン付けるのは自由だが、
私は「結果オーライ」で・・・ 「本当に良かったね。」だったと思っている。

オオカミ少年は・・・ ウソを積み重ねたことによって、信用を失ったが、
Jアラートを発信する内閣官房や、情報提供をする防衛省は・・・ 常に本気であり、
ギリギリの判断を下していることが、どこか他所に置かれてないだろうか?
非難をするために粗を探して、面白おかしく揶揄しても・・・ 事態は改善しないだろう。

それでも、くど過ぎるとか・・・ オオカミ少年と同じだと言うのであれば、
内閣官房に提供する情報の精度を上げるため、防衛システムの高度化を求めるということであって、
強いては防衛予算を増やせと言ってるに等しいと思うが・・・ 如何なものだろう?

防衛予算の増大には反対しておいて・・・ ああ言えば、こう言うはないだろう。
なにが言いたいのか、文句言いたいだけなのか、
総理は国民の安全を最優先すると言ったが、野党は国民の生活を考えてないとした。
安全も生活も大事なことだが、それもこれも命あっての物種である。

Jアラートから出された情報が、間違いでないことを信じたいし、疑いたくもないが、
時として・・・ 「情報が外れて良かった。」と思うことがあっても、良いんじゃなかろうか?
特に今回のような、ネガティブな情報においては、
そうであって欲しいと願いたいのは・・・ 私だけではなかっただろう。

国民の安全を最優先して、ギリギリの判断を下した者を、
私は責めようとは思わないし、
ましてや・・・ オオカミ少年だなんて、揶揄する気持ちにもならない。

Jアラートって、発出するサイドがいくらギリギリの判断をしたとしても、
情報を受け取ったサイドが、どう捉えて、どんな行動をするのか、それが全てだから、
私は、いまのままで良いと思うが・・・ 如何なものだろうか?

また、極論だが・・・ 太った狂犬の挑発に、迎撃ミサイルを使ったらどうだとの声もある。
いかにも尤ものように思えるが、それでは売られた喧嘩を買って、相手の土俵の乗るのと同じだろう。
どこまで我慢するのかも・・・ 程度ものだと思いもするが、
そこには専守防衛という、超えられない大きな壁があると、理解するしかないだろう。

なお、本件はあくまでも個人的な思いであって、
このことについて議論するつもりはないので・・・ ご理解いただければありがたい。

追伸
軽々なことは言えないので・・・ 正直なところ、書くかどうか迷っていたが、
本音を言えば、8時を10分ぐらい過ぎたあたりで、
北海道への落下はないと思い・・・ 少しだけだが安堵していた。

なぜなら、本当に8時ごろに落下するのであれば、間違いなく迎撃するはずだし、
8時を10分も過ぎているにも拘わらず、
迎撃が成功したのか、失敗したのかの情報がないということは、
おそらく迎撃してないはずだから・・・ 北海道への落下は、たぶんないと思っていた。

こういったことは、予想屋じゃあるまいし、面白半分で記したくなかったので迷ったが、
すでに落下してないことが分ったので・・・ 遅れてしまったが、記すことさせてもらった。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 孫からアデノウイルスに感染 | トップ | 井戸水(地下水)について »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まろ)
2023-04-17 10:25:33
Jアラートは三菱系がインフラ受注したものですよね。小生現職の時、大規模災害時の情報伝達手段として機能追加を検討したのですが、縦割りと既得権の壁に潰されました。システムも古く有事を正確に安定して伝えるものとしては性能的に疑問のあるものですが、税金でできたモノなので大人の都合として苦々しく運用しているようです。主管側の体制と怪しいインフラはいずれメスが入るべきものと思ってます。
返信する
Unknown (多摩爺)
2023-04-17 12:12:42
まろさん、こんにちは

貴重なコメントをいただき、ありがとうございました。
Jアラートの捉え方は、人それぞれなのでいろんな意見があって良いと思っています。
あくまでも私個人的には、事態を把握するシステムと、事態を早急に伝えるシステムは、有事に備えて分散しておき、
必要に応じて連携すべきとの考えで、それが縦割りと言えば、縦割りなんだと思いますが、
縦割りを解消して、戦艦大和を作ってしまうと、システム管理の側面で、どこかに綻びが出ると機能しなくなる恐れがあり、
むしろ危険が増すのではと思っています。
そういった意味で捉えると、Jアラートは単なる情報を伝えることに特化した空襲警報システムであり、
その先を求める方々からしたら物足りないでしょうが、個人的には立派にその機能を果たしていると思っています。

なお、これ以上の議論は望みませんので、ここまでにしておきましょう。
大変勉強になりました。
返信する

コメントを投稿

時のつれづれ・卯月 」カテゴリの最新記事