多摩爺の「時のつれづれ(卯月の37)
Jアラートってなんだ?
木曜日の朝、8時ちょっと前だった。
突然、黒いテレビ画面に切り替わり・・・ そこに記されていた文字は、
午前8時ごろに、北海道周辺にミサイルが落下するとあった。
ついに半島がミサイルを撃ち込んできたらしい・・・ 凍り付くような文字だったので、
テレビ画面と睨めっこしながら、画面の厳しい文字が次なる情報に変わるまでの約30分、
いままでに経験したことがないような、力みと緊張感のなかで、
食い入るように・・・ テレビ画面を見入っていた。
さて、Jアラート(全国瞬時警報システム)って・・・ いったい、なんなんだろう。
弾道ミサイル攻撃に関する情報や、緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、
人工衛星や、地上に張り巡らされた通信回線を使って、都道府県(市区町村)に送信し、
市町村の防災行政無線(同報系)等を自動起動させ、人手を介さず瞬時に伝達するシステムである。
なお、弾道ミサイル攻撃に関する情報などの・・・ 国民保護に関する情報は、
防衛省から必要最小限、最低限の情報に限って、内閣官房を経て発出されていることから、
防衛省はあくまでも情報源であって、国民に向けての発出元は内閣官房なんだが、
これを知らず、防衛省と内閣官房の関係を勘違いしている人が、メディア関係者にはけっこういる。
特にワイドショーのMCや、コメンテーターが、さも知ったげに話をしていたが、
後日、防衛省OBの話を聞けば・・・ 「どうかな?」と思うような発言も多々あるから、
この国の防衛省ができることと、できないことを整理して、
しっかり学んでいただかないと・・・ とんでもないミスリードをしてしまうと思ってしまった。
その一つとして、こういった事態が起こると、いつも問題視され、不満の声が上がるのは、
Jアラートで発信された情報が、国民が求めている情報よりも、
遙かに簡素で、しかも単発で、遅れ気味の発出になってることではなかろうか?
私もその程度だったから・・・ 国民の安全と、国土の防衛を任務とし、
情報を持っている防衛省から、内閣官房を経ずに、
タイムリーに発出すべきとの声が上がるのも・・・ ある意味、致し方ないと思っていた。
しかし、防衛省OBの方の解説によれば、
この国にはシビリアンコントロール(文民統制)という、軍の独走を抑止する仕組みが働いていて、
防衛省サイド(自衛隊)が単独で、避難指示が出せないらしいのだ。
さらには、防衛省から内閣官房に渡る情報は、軍事情報であることから厳秘であり、
メディアや他の省庁に触れさせるわけには行かないので、
情報が必要最低限で、尚且つ最小限とされいるているらしい。
これらの仕組みを知っていれば、
内閣官房を経ずにタイムリーな情報を出せなんて、
公共の電波で、軽々にもの申すような、恥ずかしいコメントはしないだろう。
改めて学んだのは、あれが必要最小限の情報であって、
国民がいくらこれ以上の情報を求めても、出すことができないことになっているのである。
結果的に今回発出されたJアラートは、午前8時ごろに、北海道周辺にミサイルが落下するとして、
避難を呼びかけたものの・・・ その後、可能性がなくなったとして情報を訂正している。
このことについて総理は、国民の安全を最優先する観点から発出したものであり、
Jアラートの役割を考えれば・・・ この判断は適切であったと語った。
一方で野党の幹部は、情報が錯綜したことで、公共交通機関に大きな影響が出ており、
確実性や、信憑性がなくなると、オオカミ少年となって、信頼を無くすとの前置きをしてから、
後から言い訳しなくても済むように、
念のため発出した警報であって・・・ 国民生活を考えてないと非難している。
どちらのコメントに与するかは・・・ 考える余地もない。
改めて、Jアラートっていったいなんなんだ・・・ と、問うてみたい。
多くの国民は、文字を見て情報を確認しているから、切迫感が感じられないように見えるが、
サイレンだったら・・・ どうだっただろう?
ウクライナ報道で、散々目にしてきた、
人々がシェルターに避難するようなサイレンだったら、どうだっただろうか?
今回発出されたJアラートは・・・ 明らかに空襲警報であり、
政府が国民に向けて発出した、直ちに命を守る行動を取ってくれとの警報であり、
けっして結果だけを見て、軽んじてはいけないことだと思うが、如何なものだろうか?
オオカミ少年と言われようと、なんと言われようと、危険を察知すれば情報を出す。
それって・・・ 当たり前のことであり、
これからも、事ある毎にJアラートは発出され、事ある毎に訂正を繰り返されるだろう。
それに対して、イチャモン付けるのは自由だが、
私は「結果オーライ」で・・・ 「本当に良かったね。」だったと思っている。
オオカミ少年は・・・ ウソを積み重ねたことによって、信用を失ったが、
Jアラートを発信する内閣官房や、情報提供をする防衛省は・・・ 常に本気であり、
ギリギリの判断を下していることが、どこか他所に置かれてないだろうか?
非難をするために粗を探して、面白おかしく揶揄しても・・・ 事態は改善しないだろう。
それでも、くど過ぎるとか・・・ オオカミ少年と同じだと言うのであれば、
内閣官房に提供する情報の精度を上げるため、防衛システムの高度化を求めるということであって、
強いては防衛予算を増やせと言ってるに等しいと思うが・・・ 如何なものだろう?
防衛予算の増大には反対しておいて・・・ ああ言えば、こう言うはないだろう。
なにが言いたいのか、文句言いたいだけなのか、
総理は国民の安全を最優先すると言ったが、野党は国民の生活を考えてないとした。
安全も生活も大事なことだが、それもこれも命あっての物種である。
Jアラートから出された情報が、間違いでないことを信じたいし、疑いたくもないが、
時として・・・ 「情報が外れて良かった。」と思うことがあっても、良いんじゃなかろうか?
特に今回のような、ネガティブな情報においては、
そうであって欲しいと願いたいのは・・・ 私だけではなかっただろう。
国民の安全を最優先して、ギリギリの判断を下した者を、
私は責めようとは思わないし、
ましてや・・・ オオカミ少年だなんて、揶揄する気持ちにもならない。
Jアラートって、発出するサイドがいくらギリギリの判断をしたとしても、
情報を受け取ったサイドが、どう捉えて、どんな行動をするのか、それが全てだから、
私は、いまのままで良いと思うが・・・ 如何なものだろうか?
また、極論だが・・・ 太った狂犬の挑発に、迎撃ミサイルを使ったらどうだとの声もある。
いかにも尤ものように思えるが、それでは売られた喧嘩を買って、相手の土俵の乗るのと同じだろう。
どこまで我慢するのかも・・・ 程度ものだと思いもするが、
そこには専守防衛という、超えられない大きな壁があると、理解するしかないだろう。
なお、本件はあくまでも個人的な思いであって、
このことについて議論するつもりはないので・・・ ご理解いただければありがたい。
追伸
軽々なことは言えないので・・・ 正直なところ、書くかどうか迷っていたが、
本音を言えば、8時を10分ぐらい過ぎたあたりで、
北海道への落下はないと思い・・・ 少しだけだが安堵していた。
なぜなら、本当に8時ごろに落下するのであれば、間違いなく迎撃するはずだし、
8時を10分も過ぎているにも拘わらず、
迎撃が成功したのか、失敗したのかの情報がないということは、
おそらく迎撃してないはずだから・・・ 北海道への落下は、たぶんないと思っていた。
こういったことは、予想屋じゃあるまいし、面白半分で記したくなかったので迷ったが、
すでに落下してないことが分ったので・・・ 遅れてしまったが、記すことさせてもらった。
貴重なコメントをいただき、ありがとうございました。
Jアラートの捉え方は、人それぞれなのでいろんな意見があって良いと思っています。
あくまでも私個人的には、事態を把握するシステムと、事態を早急に伝えるシステムは、有事に備えて分散しておき、
必要に応じて連携すべきとの考えで、それが縦割りと言えば、縦割りなんだと思いますが、
縦割りを解消して、戦艦大和を作ってしまうと、システム管理の側面で、どこかに綻びが出ると機能しなくなる恐れがあり、
むしろ危険が増すのではと思っています。
そういった意味で捉えると、Jアラートは単なる情報を伝えることに特化した空襲警報システムであり、
その先を求める方々からしたら物足りないでしょうが、個人的には立派にその機能を果たしていると思っています。
なお、これ以上の議論は望みませんので、ここまでにしておきましょう。
大変勉強になりました。