多摩爺の「時のつれづれ(皐月の6)」
為政者は正直であるべき
5月8日の夜、厚生労働大臣が記者会見し、一つの方針変更を示した。
新型コロナウイルスの感染確認のために行われていたPCR検査について、
これまで目安は「37.5度以上の発熱が4日以上続く。」、
「強いだるさや息苦しさがある。」のいずれかに該当する場合、
保健所に設置された「帰国者・接触者相談センター」に相談するとされていた。
これからは「息苦しさ、強いだるさ、高熱などの強い症状のいずれかがある。」、
「高齢者や基礎疾患がある人で、発熱やせきなどの比較的軽い風邪症状がある。」、
「比較的軽い風邪が続く。」の3項目を設定し、
一つでも該当すればすぐに相談するようにするとした。
ただし、味覚や嗅覚の障害については、専門家間の合意がないとして明記されてはいない。
実に良いことだと思う。
ただ一つ、皮肉を言わせてもらうと・・・ 会見した大臣のコメントだろう。
「目安ということが、相談とか、あるいは受診の一つの基準のように捉えられていた。」
「我々から見れば誤解でありますけれど・・・ 」と、
あくまで基準ではなく、目安のつもりだったと発言している。
さらに「幾度となく、通知を出させていただいたり、
相談や受診に弾力的に対応していただいた。」と付け加えた。
「おいおい、それはないだろう。」
目安であろうと、基準であろうと、そんなことはどうでも良い。
さらに、いままでの運用に文句がないわけじゃないが、皆が待ち望んでいた方向に舵を切るんだから、
あとは正直に・・・ 応えれば良い。
初期の段階が大変だったことは皆が知っている。
始まりはクルーズ船や、チャーター機で、いきなり4,000名もの検査を首都圏で抱えてしまった。
その後、法律で指定感染症になったことから、患者全員を入院させなくちゃならなくなり、
病床数に不安が出てくると、次第に検査を希望する者が増え、
保健所スタッフが検査以外の電話応対、検体運搬、濃厚接触者の追跡に手を取られてしまい、
医療現場の前工程(保健所)が、既に崩壊寸前に陥っていたことぐらい・・・ 皆が知っている。
しかし、彼ら(保健所スタッフ)は、けっして泣き言を言わず、
後工程の医療現場のことを憂慮して仕事をしていた。
ある保健所の幹部は、医療崩壊に不安を感じ、
あえて検査数を調整したと口を滑らせ非難を浴びてしまった。
マスコミは、そんな状況に薄々気づきながらも、
彼ら(保健所スタッフ)を擁護するどころか非難を繰り返していた。
そういった状況のなか、感染者数はあっという間に増え続け現在に至っている。
その時、皆が思っていのは「医療崩壊だけは、なんとしても避けなければならない。」だった。
だから・・・ PCR検査の条件が厳しくても、仕方がないことだと皆が思っていた。
そのPCR検査方針が・・・ 改善されたのである。
保健所のスタッフが増員され、民間への検査委託などが軌道に乗ったことから、
キャパシティーが増えたのである。
だからこそ、大臣にはこう言って欲しかった。
「いままでは、保健所崩壊や、医療崩壊の懸念があり、
PCR検査の数を伸ばすことができず申し訳なかった。」
「やっと、なんとか体制が整い、期待に応えられる目途がついたので、
条件を緩和して、明日からしっかりと対応します。」
それだけ言って、頭を下げれば良かったのに、
現場が勘違いしてたなんて言い方するから、反発を買ってしまう。
正直に喋ったら、何か不都合でもあるのだろうか?
訴訟問題に発展するような、なにかがあるのだろうか?
そこのところは一般庶民には分からないが・・・ 為政者は結果が全て、正直であってほしい。
テレビでは、PCR検査を早く受けていたら、
死ななくても済んだかもしれないというコメンテーターもいた。
そうかもしれない・・・ 本当にそうかもしれないが、残念ながら覆水盆に返らずであり、
大変残念で、薄情かもしれないが、亡くなった人は生き返らないし、
当時の状況がそういう状況だったと思わざる得ない。
政府がなにをやっても反対の野党や、コメンテーターはなんでも批判に結び付けるが、
保健所が崩壊しかけてたことぐらい、皆は薄々気づいていたんじゃなかろうか。
未知のウイルスである。
なにが正解か分からないし、なにをやっても後手になるのは致し方ない。
予め正解なんてありえない。
2~3日経ったら「喉元過ぎれば熱さ忘れる。」っていうし、
目安だろうと基準であろうと、どうでも良くなるかもしれない。
たとえ割り切れない部分はあったとしても、世の中って・・・ 残念ながら、そんなもんである。
だからこそ為政者は誠実であってほしいし、一生懸命であってほしいし、正直であってほしい。
最前線で日夜を問わず、体を張って頑張ってる現場を守ってほしい。
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