多摩爺の「時のつれづれ(皐月の21)」
危機を嘲笑する愉快犯
今週から予約が始まった、防衛省が主管で行われる、
新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターでの予約をめぐって、
架空の市町村コードや、接種番号を使っても予約が受付できることが分かったとして、
一部の大手メディアが・・・ システムの不備を、ネットやメディアで指摘し嘲笑した。
そもそも、このシステムの利用に必要となる接種券は、住民票を管理する行政が発行しており、
防衛省は、接種券に記載された個人情報を知り得る立場になく、
マイナンバー等の照合キーは記載されていない。
よって、予約に必要な「市町村コード、接種券番号、生年月日」に
整合性が取れているか否かは確認できず、
実際の接種会場に本人がやってきて、接種券と本人確認書類でチェックしなければ、
正しいかどうかの判定はできない。
そういった意味では・・・ 確かにシステムの不備だと言っても良いだろう。
とはいえ、予約に使われた三つのコードの整合性を取るには、
大規模接種センターの予約システムから、
各市町村が接種を管理するシステムに照会をかける必要がでてくるため、
照会に要するレスポンスタイムを考慮すれば、予約そのものに遅滞をきたすことは必然で、
処理時間が増えるリスクとタイムロスが増え・・・ イライラ感の増幅に拍車をかけてしまうだろう。
緊急時であり、スピードを重視した結果がこれだから・・・ ある意味で仕方ないとも思えるが、
もし、こういった不備を防ぐために、個人情報が予め行政から防衛省に提供されていたら、
それはそれで、大手メディアは大騒ぎするだろうし、
性善説に頼らざる得なかったのは妥協の産物だったと思われる。
怪我の功名と言う例えが、適切かどうかは分からないが、
他の行政システムとの連携がないことは、他国からのハッキングなどがあっても、
個人情報が洩れる心配が少なく、アナログだが・・・ 案外、結果オーライだったのかもしれない。
もし・・・ 接種券番号ではなく、
この国の国民ひとり一人に付与されているマイナンバーを活用していたら、
市町村コードも、接種券番号も、生年月日も、
必要な情報は全てマイナンバーの下に集約されているので不要となるし、
予約の受付日時をオープンにするだけで事足りるはずだが、
悲しいかな・・・ 個人情報のシステム化(国や行政による管理)を嫌う左派系の政党によって、
マイナンバーの活用範囲が限られており、こういった天下国家の一大事なのに、
それを活用することができないでいる。
今回のことで、一部の大手メディアがやってしまった大問題は・・・ 三つある。
一つ目は、システムの基本的な設計方針について、防衛省に確認し、
オープンにする許可を得ることなく、システム上の不備としてネットや、
報道番組に不要な情報を晒して、嘲笑したことだろう。
これによって防衛省は、電話等の問い合わせ(苦情)に対応する必要も出て来ており、
信用の失墜に加えて、国防を司るに省庁に・・・ 不要な仕事を増やすことになってしまった。
二つ目は、そのシステム上の不備を、ネットやメディアで拡散させたことにより、
いたずらの予約を入れることによって、運用の邪魔をする愉快犯に、
タイムリーな情報を与えてしまったことであり、いずれ分かる不備とはいえ、
三カ月だけ運用で役目を終える、簡易な予約システムだったにも拘わらず、
愉快犯対策として、余分なメンテナンスコスト(税金)が必要となったことだろう。
三つ目は、ふざけて入れてしまった予約を、あとからキャンセルしたとはいうものの、
その時、その日時を予約したかった高齢者がいたかもしれず、
予約の変更を余儀なくさせてしまったことだろう。
ハッキリ言おう・・・ なんて、奴らだ。
緊急事態宣言下の有事において、テロ行為の手助けとも取られかねない情報を発信し、
そのメンテナンスに税金を無駄遣いさせて、
ワクチンを求めている人々に対し、偽計業務妨害を助長している。
この国の大手メディアは、新型コロナウイルスの収束に興味がないのだろうか?
これじゃ・・・ 世間を混乱させて、楽しんでるだけの愉快犯である。
ワクチン接種そのものが、後手を踏んでいることは事実だから、
システムの不備を指摘されたぐらいで・・・ 「逆切れするな。」と言う声もあるだろう。
とはいえ、申し訳ないが、愉快犯からそれを云われたくはない。
現場はワクチン接種の本格的始動に向けて、緊張感をもって一つ一つの工程を確認し、
前に進めようとしている。
頑張ってくれている人たちの足を引っ張り、危機を嘲笑する愉快犯が、
まさか、この国を代表する大手メディアだったとは、
あまりにも残念すぎるし・・・ ガッカリと言わざる得ない。
メディアとして、システムの不備を伝えることは、大事な仕事なのかもしれないが、
一方で、批判をするだけではなく・・・ 「正しく利用しよう!」と呼びかけることも、
メディアに課せられた、大事な仕事の一つであり、役割だと思うが、間違っているだろうか?
大事な仕事であればこそ、洩れることなく、ミスすることなく、遂行して欲しいと願ってやまない。
コメントを頂戴しありがとうございました。
素人の思い込みがあったかもしれません。
大変失礼しました。
私が思ったのは、行政が持つシステムも同時並行で運用されていると思ったので、
オンラインで提供中の防衛省システムと、オンラインで提供中の首都圏や関西圏の行政が複数のシステム(1対N)を繋いで、
照会業務を実施するのは困難であり、輻輳や遅延を招くと考えました。
もしそれが可能なら、事前に情報を入手しておくしかないと考え、
そうなると首都圏と関西圏に住む高齢者の個人情報に関わることを防衛省が把握してしまうことになり兼ねず、
これはこれで問題にならないかと思いました。
共用キーのデータベースを構築すれば、対応できるとは・・・ 恥ずかしながら、頭が回っていませんでした。
素人の思い込みで知ったかぶりをしてしまい、恥ずかしい限りです。
ご指摘いただきありがとうございました。
今後ともご指導いただければ幸甚です。
何時も卓見に満ちたブログを、学びながら拝見させて頂いています。
今回のコメントも、おっしゃる通りと思っていますが、かつてコンピュータシステム開発に
関わった者の一人として、一つだけ気になったことをコメントさせて頂きます。
コメント中に「予約に必要な”市町村コード、接種券番号、生年月日”に整合性が
取れているか否かは確認できないことが当然」との見解が示されていましたが、
これはシステムとしては、最低限のチェック項目でありデータ入力のキーとなるものです。
個人情報に触れることなく「市町村コード、接種券番号」でユニークとなるはずですので
このチェックは必須と考えます。
しかも、このデータは首都圏の共用キーデータベースを構築し、キーデータアクセス
することにより可能と考えます(開発工数は大幅には増えません)。
照会に要するレスポンスタイムもキーデータのみの照合ですので、大幅にアクセスタイムが
増加するとはないと考えます。
防衛省は「速度優先で行ったが、不備は改修する」とのアナウンスがありましたが、
私は、システムとしての最低限のチェック項目として外してはならない項目と考えています。
結果的に混乱をきたすことが十分に予測できたことですので・・・。
今回の件は、報道と防衛省の双方に感情的な行き違いの要素があり、
「ワクチン接種を円滑に遂行する」との観点で協力し合う関係の構築が必要と考えます。