多摩爺の「時のつれづれ(霜月の7)」
IOC会長の思惑
プライベートジェットに乗り、11月15日から3泊4日の日程で、
IOCのトーマス・バッハ会長がやってきた。
世界の各国で、新型コロナウイルスの感染拡大が治まらず、
欧州の各国ではロックダウンを発令されてる真っ最中に、
オリンピック・パラリンピックの実施可否については話さないと明言までして、
東京までやってくるとは、このタイミングで、東京から世界に向けて、
どうしても、発信しなければならない・・・ メッセージがあると思われる。
16日は、朝から精力的に要人と会い、気になるコメントを残した。
午前中には菅総理、午後からは小池都知事に会い、
コロナ禍で1年延期された「東京2020」の開催を、フルコミットメント(確約)すると、
夕刻からJOCの森会長と会った後、記者会見に臨んだ。
記者会見で明らかにされた、
どうしても東京から世界に向けて発信しなければならなかったメッセージとは、
大会の成功のために必要なだけの、新型コロナウイルスワクチンを確保してくれれば、
その調達コストを、IOCが負担するというものだった。
記者会見でのメッセージを要約すれば、
開幕まで約9カ月あり、その時までには医学的な展開があるはずで、
より高度な、迅速な検査方法が確立しており、新型コロナ対策の円滑化に役立つと前置きし、
9カ月後には、おそらくワクチンが開発されていて、使用が可能になっているはずだから、
可能な限り、海外から日本を訪れる人に接種してもらいたい。
また、そうなるように・・・ NOC(各国・地域オリンピック委員会)などが支援し、
勇気づけてもらいたいし、訪日前には接種するように、働きかけてもらいたいとした。
さらには、開催準備だけでなく、日本の国民を尊敬するがゆえに、
(開催国に迷惑をかけないよう)そうしたこと(ワクチン接種要望)を求めていくとも補足している。
よって・・・ 日本の方々にも(大会を開催することは)大丈夫だと思ってほしいし、
大会への参加者だけを守るために、ワクチン接種をするのではなく、
国民を守るためにすることだと結んでいる。
会見をニュースで見た限りでは、
なにやら、ありがたいメッセージのような気がしないでもないが、
ワクチン確保の具体策については、なにも言及しておらず、
IOCは金は出すが、必要な数量をかき集めるための汗は日本が掻け、
というようにも聞こえてくる。
政府や都知事、JOCは、いまのところ・・・ このメッセージについて、
なにも言及してはいないが・・・ 諸刃に剣となりかねない、ちょっと気がかりな、
大きな問題が秘められていることに気が付いてしまった。
IOC会長の思惑を考えてみよう。
もちろん日本政府や東京都は、オリンピック・パラリンピックを本気でやる気があるのかどうか?
その本気度を確認せねばならないが、
日本政府や東京都よりも、IOCサイドの方に開催したい意向が強いと思っている。
東京2020が、仮に中止にでもなれば、
その半年後に、新型コロナウイルスの震源地(中国)で行われる、
北京2022(冬季オリンピック・パラリンピック大会)の実施に、
多大な影響がでてしまうかもしれない。
それでなくても、世界の多くの人権団体から、北京2022の再考を求められているIOCである。
ワクチンが出来ていながら、2大会連続で中止になれぱ、
財政的にも、プライド的にもIOCは堪えられないだろう。
ことがワクチンだけに、今回のメッセージを受けて、
ダボハゼのように、すぐさま食いつく国はないと思うが、
しばらく(年末年始のころ)すると・・・ 北京2022の再考や、
コロナ禍でボイコットを恐れる中国は、自国で現在開発中のワクチンが完成したとアピールし、
東京2020への提供を・・・ 破格の値段で申し出てくると思うがどうだろう?
中国からしたら、東京2020に参加する、万単位の選手や関係者に、
自国で開発したワクチンが打てれば、そのデータは、各国選手団の動向を把握する必要もなく、
各国のメディアに任せていれば、そのままアピールが可能であり、
北京2022が普通に開催できれば、
結果として新型コロナウイルスの震源地だったという汚名も返上できる。
そんな、オマケまでついてくるんだから、
中国は必ずといって良いぐらい、手を挙げてくるだろう。
さらに・・・ ドーピング問題があって、国としてオリンピックへの参加が厳しいロシアも、
間髪入れず追随するだろう。
ひょっとしたら、無償でも良いからと、ワクチンの提供を申し出る可能性もあるかもしれない。
東京2020の選手団に、どこの国のワクチンを提供するのか、
その選択権は、我が国にあるものの、
破格の値段になれば、お金が絡むだけに・・・ IOCだって黙ってはいない。
おそらくだが・・・ 時間差で、中国とロシアがワクチン提供に手を挙げるてくることは、
都知事とJOC会長は分からないが、
おそらくIOC会長と、菅総理は織り込み済みなんじゃなかろうか?
ひょっとしたらIOC会長は、中国から内々に打診されているかもしれない。
しかし、そうなると・・・ アメリカやイギリスで現在開発されている、
ワクチンの価格に影響がでてくる可能性がでてくるだろう。
一度値崩れが起きてしまうと、途上国への提供という課題もあって、
その価格が元に戻ることは無くなるので、
いま世界の金融市場で、高騰し始めた株価が、暴落する可能性だって否定できなくなり、
大変な事態が起こるかもしれない。
まさか・・・ アメリカやイギリスのメーカーが、
価格に見合わないからといって、生産調整をすることはないと思うが、
気がつけば、短期的には損してでも恩を売り、数年後にはチャッカリ実利を得ている、
中国お得意の中長期戦略に、まんまと嵌められていたなんてことも・・・ 十分に有り得る話だ。
とはいえ・・・ 値崩れが起きると、途上国へワクチンが行き渡りやすくなり、
全てがマイナスになるわけではないが、本来なら途上国に行く予定だったワクチンが、
一時的に各国のオリンピック協会へ、荷札が書き換えられることから、
その間に途上国では、亡くならないでも済む可能性があった命が、
失われてしまうことだって起こり得る。
そう捉えれば・・・ IOC会長のメッセージは、朗報であることには間違いないが、
株価や倫理的な諸問題も含めて、全ての負担はIOCではなく、
我が国が背負うということも忘れてはならない。
ここんとこ、アメリカでのワクチン開発が急ピッチで進み、
期待は日に日に大きく膨らんできてはいるが、現・社会主義と、元・社会主義の二つ大国が、
隙を狙って虎視眈々と・・・ 仕掛けるタイミングを伺っている。
政争(コロナ後の主導権争い)に、東京2020が利用されることは、如何なものかと思いもするが、
ワクチン開発は、世界が悲願の特効薬だけに、
IOC会長の秘めたる政治力に・・・ しばらくは、目が離せなくなってきた。
海千山千のオッサン(IOC会長)が、我が国の本気度を確認するためだけに、
プライベートジェットまで飛ばすか、なんて思ったもんで、あれこれ妄想を膨らませてみたら、
あながち、あり得ない話でもないと思えるから、ちょっとドキドキしないでもない。
「信長の野望」に対抗して、
「バッハの野望(東京2020)」なんてゲームソフトができれば面白いし、
「あつまれどうぶつの森」に、対抗できるかもしれないと思うが、どんなもんだろうか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます