「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」を鑑賞してきた。
丸1年延期となってしまったので、まさに待ちに待ったという感じだ。
リメイク映画としても(結果的に)6年ぶりで、その分期待が高まっている部分もあった。
以下、思いつくままに感想を書いてみる。
一応、ネタバレ注意。
(ブログからドラえもん映画の感想を書くのは初めて…ブログを有効活用しているなぁと感じる所存である。)
最初に全体を評価すると、とても良かった、かなりうまくまとまっていた、期待を裏切らない内容になっていたと思う。
僕が観に行ったのは2週目なので、他の人の感想を(ネタバレにならない程度に)見る機会もそれなりにあり、また予告などを見ても、今回はかなりアレンジ多めで別物感が強いのかなと思っていた。
実際にも、アレンジやオリジナル要素は多く序盤から終盤まで見たことのないシーンは結構あったのだが、大まかな流れは変わっていなかったし原作通りの部分も少なくなく丁寧に作り込まれていたので、その良さは損なわれていなかった。全体として、オリジナル要素と原作要素のバランスが非常に良く双方のリンクも上手かった。
ほか、各登場人物の心情描写がより掘り下げられ深みが増していたこと、アレンジによりそれぞれのキャラがより立つようになっていたこと、ビジュアル面でも圧巻なシーンが多々あったことなど、良いと思った部分は枚挙にいとまがない。
パピは出立ちやキャラクターデザインなどを見ると原作や旧映画と比べて大人びた印象を受けるが、寧ろ本作ではロコロコの台詞にも象徴される通りその中に見え隠れする「年頃の男の子」としての側面が印象的で、より感情移入しやすくなっていたと思う。「少年大統領」という部分は原作や旧映画では少し忘れがちだったこともあり、少し意外性もあったがそこをクローズアップしたのはさすがだ。それでいてやはり演説のシーンなど決めるところは決めるあたりかっこいいし、純粋にその内容も心に響いた。あそこも原作にあるシーンをアレンジ&膨らませたものだが、映画のテーマを明確に認識させる意味でも見事だった。
ロコロコも原作や旧映画の時点で大好きなキャラだが今回もコメディリリーフとして大いに楽しませてもらった。梶裕貴さんはなかなかのハマり役だ。骨で黙らせるくだりも度々繰り返されるギャグとして良いアクセントになっていた。そしてやはり、単なるギャグキャラにとどまらないのも魅力だ。
ピイナは本作のオリジナルキャラ。その意味で本作を象徴するキャラクターともいえる。物語中でも重要な位置にはいたものの所謂メインゲストキャラではなかったが、逆にそのくらいの匙加減がちょうど良かったと思う。先述の通りパピのキャラクターの掘り下げやより感情移入させるための存在として非常に効果的だったし、ピイナ自身も女性としてヒロインとして、好感の持てるキャラクターだった。
ゲスト出演はピイナの松岡茉優氏とギルモア役の香川照之氏、そしてミルクボーイの2人。ギルモアは本業の声優と比較しても遜色ない声と演技で素晴らしかった。言われなければ気づかなかっただろう。ほかの3人も、声質的にちょっと気になる部分はあったが、演技は自然だったので、殆ど違和感はなかった。実はミルクボーイはどのキャラを演じているか鑑賞前にちゃんと覚えていなかったのだが、実際観るとわりとわかりやすかった。
個人的にかなり気になっていたのがオープニング。「宝島」と同じ布陣だった前作はある意味案の定といった感じだったが、本作でもOPにあたる部分はあったものの「歌」としては存在せず、本編と地続きの映像に専用BGMとクレジットが重ねられていた。今後もこのスタイルで、TV主題歌が映画でもOPとして流れる可能性は低いんじゃないだろうか。
映画でも、テレ朝チャンネルでも、映像ソフトでも(これは自分では未確認、伝聞情報のみ)使用されない現TV主題歌…いかなる扱いなのかが、わかってきた気がする。
そして次回作だ。あの映像だとやはり、「雲の王国」リメイクか!?と思ってしまった。最近ドンジャラ村のホイもあったことだし。しかし本当に雲の王国ならもっとそれを思わせる事物がありそうだし、代わりに飛行船などが目立っていたのも気になる。「雲」や「天空」をモチーフにしたオリジナル作品と考えた方が良さそうだ。
本作は結果的に鑑賞まで1年近く待つことになってしまったが、それほど待つだけの価値は十二分にある作品だった。原作期読者として原作の新たな映像としても、新作ドラえもん映画としても楽しめたので、リメイクとしてひとつの理想の形が示されたように思う。個人的には、アレンジも多くありつつ原作の雰囲気や魅力もほぼそのままなことが気に入った。多くの人に勧められる映画だった。
今後にも期待したい。
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