◯ 企業間取引デジタル化に政府支援期待。
EDI(電子受発注)システムの開発ベンダーなどで構成する「つなぐITコンソーシアム」がWebカンファレンスを開催した。同コンソーシアムは異なるEDIシステムの間で受発注データをやり取りができる「中小企業共通EDI(共通EDI)」の普及を目指している。人手不足に悩む中小を含む企業間取引をデジタル化するには、政府の関与による基盤整備や支援を期待する意見が相次いだ。
共通EDIは異なる受発注システムを使う企業間で受注や発注、納品などの取引に関わるデータをやり取りできる標準仕様だ。多くの企業は業務システムで発注データを作成しているものの、いまだに企業間の受発注にはメールやファクスを使っており、日本企業の業務効率を損なっている。
企業が共通EDIに対応した受発注システムを使うと、異なるEDIデータの違いを吸収・変換する「共通EDIプロバイダ」を介して、受発注や納品、請求・支払いにかかる業務時間を大幅に削減できる。共通EDIの仕様を策定しているITコーディネータ協会(ITCA)が認証済みの製品・サービスは2024年8月現在でインフォマートやオービックビジネスコンサルタントなど24社の32製品・サービスがある。
つなぐITコンソーシアムには約50の企業・団体が参画し、例年カンファレンスを開催している。2025年1月24日に開催した3回目のカンファレンスでは、共通EDIの最新仕様で「デジタルインボイス」に本格対応したと紹介した。デジタルインボイスは、異なる会計・経理システムの間でインボイス制度(適格請求書等保存方式)の請求書を送受信して、仕訳など経理の自動処理ができる。
共通EDIとデジタルインボイスに対応した新サービスも紹介された。ネットワークサービスなどを手掛けるミライコミュニケーションネットワーク(岐阜県大垣市)は2024年11月に「PeppoLink(ペポリンク)」の提供を始めた。納品・検収のデータからデジタルインボイスを発行や送信をしたり、見積もりから発注、納品から入金確認までの作業時間を短縮したりできるという。
「税理士から見たデジタルインボイスの課題と期待」と題して基調講演をした東京税理士会の磯部和郎氏は、企業や税理士にとって費用が障壁になって導入に踏み出せない状況があると指摘。その上で、使い勝手を試せるような「デジタルインボイスの受信用に無料で使える基盤が必要だ」と述べた。
また「共通EDIと会計システム連携仕様について」と題して特別講演したXBRL Japan顧問の三分一信之氏は「北欧の電子政府プロジェクトが参考になる」と述べた。政府が共通プラットフォームサービスを提供して、中小企業が導入に手間をかけなくてすむ仕組みが必要という。また、取引相手の本人確認やデータの改ざん防止が可能なトラストサービスの整備も不可欠だと指摘した。
ITコーディネータ協会で共通EDIを担当する野田和巳氏は、医療機関や薬局に対して診療・調剤報酬明細書(レセプト)のオンライン請求を原則義務化した例を引き合いに「トップダウンとボトムアップの支援」が必要と述べた。レセプトのオンライン化が成功した背景にはデータの標準化や、電子化しなければ報酬を受け取れないという強制力に加えて、導入に補助金を支給するという3つの要因があったと指摘した。