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職場 の トラブル 相談室 ①

〇 システム本番稼働1カ月前で休めない、余る有給休暇を買い取ってほしい。

Q.IT企業のエンジニアです。来月4月にシステムの本番稼働を控えています。当社では、毎年4月1日に新たな有給休暇が付与されます。そのときに、余った有給休暇のうち3日分が時効で消滅してしまいます。忙しい時期だと重々承知していますが、消滅するのはもったいないです。有給休暇の申請をしたところ、上司から「休暇が取れる状況じゃないよ、プロジェクトのことも考えてくれ」と言われました。取れないのなら、せめて休暇を買い取ってほしいです。

有給休暇を消化するという意識が、世の中に浸透してきたと思います。筆者がIT企業に勤めていたころは、有給休暇の消滅まで意識している同僚は少なかった記憶があります。筆者も同僚たちも、毎年有給休暇を余らせていました。

時代は変わりました。企業に対して有給休暇の取得を促進するよう、国はアピールしています。新たな有給休暇が付与される時期は4月や10月が多い上、期末はなにかと忙しくなります。エンジニアの人たちへは、有給休暇を残しておこうと思わず、プロジェクト進捗に余裕がある時期に、早い段階で取得しておくことをお勧めします。

原則、有給休暇の買い取りはできない。

会社が有給休暇を買い取ることは原則禁止されています。買い取りを認めると、有給休暇を取得する権利を阻害することになりかねません。取得予定の有給休暇を買い取るから、休暇は認めなくてよいとする会社が現れないようにするためです。

買い取ってもらえるのなら有給休暇を使わずにためておこうという従業員も出てくるでしょう。そうなると、有給休暇取得推進の妨げになるかもしれません。

国は、有給休暇の取得促進に力を入れています。企業に有給休暇を取得しやすい労働環境を整備するように通知しています。

原則禁止ということで、例外はあります。2つのケースがあり、1つは退職時の未消化分の有給休暇買い取りです。

退職時、事情によっては有給休暇を買い取る会社があります。例えば、会社が退職までの間に仕事の引き継ぎを望む場合です。退職まで有給休暇で休む従業員がいたとして、会社が「有給休暇を買い取るので引き継ぎのため出勤してくれないか」といった相談をすることになります。

買い取り可能というだけのことで、会社に買い取る義務はありませんので、誤解しないようにしてください。

有給休暇の消滅時効は2年。

買い取りのもう1つのケースは、時効で消える有給休暇を買い取ることです。

まず、有給休暇の付与とはどういうものか説明します。会社は、正社員やパートタイム労働者といった身分に関係なく、従業員に有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。

有給休暇の付与は、所定労働日数の80%以上勤務していることが条件です。対象期間に欠勤が20%を超えていた場合は、付与されません。所定労働日数が少ないパートタイム労働者については、その日数に応じて比例付与されます。

初回は、入社して6カ月後に10日与えられます。以降は1年ごとに増えて最大20日まで付与されます。入社して6年半で20日となります。

新卒採用を含め4月に入社する従業員が多いです。4月を起点とすると、初回が10月1日に付与となる会社が多くなります。ただ、これは、法令上の話です。大手IT企業では6カ月を待たずして、4月に最大の20日を付与している会社もあります。そんな会社に勤めるITエンジニアにとっては喜ばしいことです。

与えられた有給休暇は2年で時効消滅します。現実的には、買い取りの社内制度をオープンにして用意している企業はまれではないでしょうか。筆者と付き合いのある企業にはありません。

質問者はシステム稼働本番前でとても忙しいとのこと。稼働前後でシステムトラブルが発生する可能性もあります。「休んでほしくない」と上司が言う気持ちは理解できます。

質問者は、消滅する有給休暇の買い取りについては、会社に制度がなければあきらめるしかなさそうです。半日休暇や時間単位での有給休暇も含めて、取得できないか上司と話し合ってください。

次年度からは、早めに休暇を消化できるように計画的に取得してください。


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