古内一絵著『十六夜荘ノート』あらすじ・ネタバレ感想。
人の人生も月のように満ち欠けがある。
順調に出世街道を進んでいたはずの姪孫の今と、戦後を家族の為に生き抜いた大伯母の過去の物語が交互に描かれている。
人の人生も月のように満ち欠けがある。
順調に出世街道を進んでいたはずの姪孫の今と、戦後を家族の為に生き抜いた大伯母の過去の物語が交互に描かれている。
『十六夜荘ノート』
■著者:古内一絵
■発行:株式会社ポプラ社
■発行:株式会社ポプラ社
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『十六夜荘ノート』あらすじ・ネタバレ感想
『十六夜荘ノート』あらすじ
大手マーケティング会社の社員・大崎雄哉(おおさき・ゆうや)は、その辣腕ぶりが認められ3年前にグループ長に抜擢された最年少管理職である。
スピーディーに利益を追求していく雄哉には自分と同じ事ができない周囲の人間が凡庸に思えてならず、部下や同僚に対して厳しい態度をとってしまいがちだ。
そんな雄哉に大伯母の代理人を名乗る人物から携帯に連絡が入る。
スピーディーに利益を追求していく雄哉には自分と同じ事ができない周囲の人間が凡庸に思えてならず、部下や同僚に対して厳しい態度をとってしまいがちだ。
そんな雄哉に大伯母の代理人を名乗る人物から携帯に連絡が入る。
税理士兼遺言執行人の石原栄治(いしはら・えいじ)は黒スーツに黒マント、黒い山高帽に黒ステッキとどう見ても怪しい。
大伯母・笠原玉青(かさはら・たまお)はロンドンで大学教授をしていたインテリであるが雄哉は会った記憶もない。
90歳で亡くなった大伯母は生涯独身であった為、姉妹である雄哉の祖母・雪江(ゆきえ)が本来の相続人だった。
しかし、祖母は亡くなっており、その娘で雄哉の母の瑠璃子(るりこ)も雄哉が3歳の時に亡くなっている。
玉青はほぼ全ての財産を寄附していたが、目黒区の御幸が丘にある不動産を残しており、雄哉がその代襲相続人だ。
大伯母・笠原玉青(かさはら・たまお)はロンドンで大学教授をしていたインテリであるが雄哉は会った記憶もない。
90歳で亡くなった大伯母は生涯独身であった為、姉妹である雄哉の祖母・雪江(ゆきえ)が本来の相続人だった。
しかし、祖母は亡くなっており、その娘で雄哉の母の瑠璃子(るりこ)も雄哉が3歳の時に亡くなっている。
玉青はほぼ全ての財産を寄附していたが、目黒区の御幸が丘にある不動産を残しており、雄哉がその代襲相続人だ。
雄哉が相続した『十六夜荘』という洋館には、雄哉が最も嫌う社会性がなさそうな住人が4人も住んでいた。
雄哉は3ヶ月以内の立ち退きを勧告する。
ところが、雄哉以外にもう一人相続権を持つ者がいることが判明する。
もう一人の相続人・蔡宇煌とは何者なのか。
さらに、順風満帆に思われた雄哉の会社員人生が破綻してしまう。
働かない新人・三田(みた)を叱責したら会社に出勤しなくなった。
三田はメインバンクの会長のひ孫で雄哉からパワハラを受けたと言い……。
雄哉は3ヶ月以内の立ち退きを勧告する。
ところが、雄哉以外にもう一人相続権を持つ者がいることが判明する。
もう一人の相続人・蔡宇煌とは何者なのか。
さらに、順風満帆に思われた雄哉の会社員人生が破綻してしまう。
働かない新人・三田(みた)を叱責したら会社に出勤しなくなった。
三田はメインバンクの会長のひ孫で雄哉からパワハラを受けたと言い……。
『十六夜荘ノート』ネタバレ感想
大崎雄哉はとにかく仕事ができる。
できすぎてできない人の気持ちとか、その人に丁度良いタイミングとか、そんなものは分からないし理解する気もない。
結果を出しているから出世もできた。
でも、そういう人って知らない所で他人から悪い感情を向けられているものだ。
本人にしてみたら自分はちゃんとしてるのに何が悪いって感じなんだろうが。
できすぎてできない人の気持ちとか、その人に丁度良いタイミングとか、そんなものは分からないし理解する気もない。
結果を出しているから出世もできた。
でも、そういう人って知らない所で他人から悪い感情を向けられているものだ。
本人にしてみたら自分はちゃんとしてるのに何が悪いって感じなんだろうが。
雄哉は社内の噂話など全く興味が無い。
それがアダとなった。
噂に興味が無いから三田という働かないコネ入社の新人がどんな背景を持っている人物か知らなかった。
仕事相手との打ち合わせに遅刻してきた三田を叱ることが悪いはずがない。
でも、三田のバックが大きすぎて正論を口にする雄哉を会社は守ってくれない。
どんなに仕事ができても一社員である以上、会社の歯車でしかない現実に雄哉は打ちひしがれる。
それがアダとなった。
噂に興味が無いから三田という働かないコネ入社の新人がどんな背景を持っている人物か知らなかった。
仕事相手との打ち合わせに遅刻してきた三田を叱ることが悪いはずがない。
でも、三田のバックが大きすぎて正論を口にする雄哉を会社は守ってくれない。
どんなに仕事ができても一社員である以上、会社の歯車でしかない現実に雄哉は打ちひしがれる。
雄哉は、都内の一等地にある『十六夜荘』を相続できることを喜ぶが、そこはシェアハウスになっており雄哉的には受け付けないタイプの人が4人も住んでいた。
リノベーションするか建て直すかすればそれなりに収益を生む。
大伯母の笠原玉青(かさはら・たまお)のことは全然知らないが、利益を生む物件には興味津々とは随分図々しい。
リノベーションするか建て直すかすればそれなりに収益を生む。
大伯母の笠原玉青(かさはら・たまお)のことは全然知らないが、利益を生む物件には興味津々とは随分図々しい。
大伯母の玉青は、雄哉の祖母・雪江(ゆきえ)の腹違いの姉で、元々華族出身だったが親戚からよく思われておらず、雄哉も玉青に関してはろくな話を聞かなかった。
それでも何度か十六夜荘を訪れるうちに、雄哉は会ったことがない大伯母のことが知りたくなってしまう。
そして、社会性がないと思っている4人の住人に対しても1㎜の隙も無い拒絶という態度だったのが和らいでいく。
それでも何度か十六夜荘を訪れるうちに、雄哉は会ったことがない大伯母のことが知りたくなってしまう。
そして、社会性がないと思っている4人の住人に対しても1㎜の隙も無い拒絶という態度だったのが和らいでいく。
バックパッカーのオッサン・桂木真一郎(かつらぎ・しんいちろう)は、4人の住人の中でも特に雄哉が嫌いなタイプだった。
桂木は301ページで雄哉に
「あのさぁ、雄哉君。人も月と同じで、満ちてくときもあれば、欠けてくときだってあるのよ」
と語りかける。
「そりゃあ、世間は光の当たっているものや、勢いのあるものしか認めない傾向はあるけどさ。満ち欠けがあるのが自然なのよ。人も国も社会も仕事も、恋愛もね。完璧な状態だけ追い続けてたら、おかしくなっちゃうよ」
この頃、同僚に裏切られ無職だった雄哉には桂木の言葉が響いたんじゃないかと思う。
桂木は301ページで雄哉に
「あのさぁ、雄哉君。人も月と同じで、満ちてくときもあれば、欠けてくときだってあるのよ」
と語りかける。
「そりゃあ、世間は光の当たっているものや、勢いのあるものしか認めない傾向はあるけどさ。満ち欠けがあるのが自然なのよ。人も国も社会も仕事も、恋愛もね。完璧な状態だけ追い続けてたら、おかしくなっちゃうよ」
この頃、同僚に裏切られ無職だった雄哉には桂木の言葉が響いたんじゃないかと思う。
華族出身のお嬢様で親戚から散々悪口を言われる変人女、そんな玉青は実は苦労して戦後を生き抜いた人だった。
戦争で男がいなくなり、家族は女ばかりで使用人の面倒もみなくてはならない。
終戦後、並の働き方ではそんなことはできないから玉青は肝が据わっている。
私は、その逞しさを真似ようとは思わないし憧れもしない。
今のところ真似る必要が無い状態であることには感謝したい。
戦争で男がいなくなり、家族は女ばかりで使用人の面倒もみなくてはならない。
終戦後、並の働き方ではそんなことはできないから玉青は肝が据わっている。
私は、その逞しさを真似ようとは思わないし憧れもしない。
今のところ真似る必要が無い状態であることには感謝したい。
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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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