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雑感録

When I’m sixty-four(39)

山のこと
 若い頃は山登りが好きだった。それも、重装備の本格登山は根性なしの僕には厳しいので、3000m級の山で、装備は極力軽くして(一眼レフカメラと交換レンズに飲み物と非常食程度)、頂上近くまでロープウェイやクルマで行けて、最後のフィニッシュだけ自分の足で登ればいいところ(そのくらいは歩かなきゃ達成感がない)。最初に登ったのは中央アルプスの木曽駒ヶ岳(2956m)で、ここはロープウェイで頂上付近の千畳敷カールまで行けて、おまけにそこがホテルになってるので、ここに1泊してから登ることができる。会社の先輩と登ったのはまだ7月上旬で、雪渓が残っている。滑落すれば300mぐらい落ちるんじゃないかという雪渓にはまってビビってしまった先輩を宿に残して、頂上の馬の背〜カールのてっぺんの宝剣岳(2931m)まで縦走(というほどでもないけど)してきたのだ。
 
※木曽駒ヶ岳より御嶽山を望む(写真左) 千畳敷カールより宝剣岳を仰ぐ(写真右/いずれもプリント写真をスキャン)

 これで味を占めた僕は、次は会社の後輩と乗鞍岳(3026m)に挑戦。ここもクルマで上り詰めた駐車場エリアにいくつか山小屋があって、濃霧のなか服がグショグショになりながら(途中の山小屋でポンチョを買ったけど)、頂上まで登ってきた。

※濃霧の乗鞍岳山頂。(これもプリント写真をスキャン)

 北海道を放浪中は大雪山系の黒岳(1984m)から旭岳(2291m)に縦走したかったんだけど、直前のヒッチハイク&徒歩でいぼ痔になった僕は、縦走を断念。黒岳と旭岳をそれぞれロープウェイで上り下りするだけにした(旭岳側からはもしかしたら計画しただけで、登らなかったのかも)。ちなみに黒岳ではらエゾリスが道案内してくれるかのように僕の前をチョロチョロしてて感激したものだけど、ロープウェイの下の駅を降りたらリスを放し飼いにしてたようでリスがわんさかいて、感激して損したと思った。しかし、登った時期が9月下旬で、山は低木がすっかり紅葉してて、おまけにその日は初雪が降るという感動的な光景を目の当たりにできたのは、ずいぶんラッキーだった。
 タウン誌の仕事をしだしてからは、九州タウン誌ネットワークの仕事で多良岳(996m)の写真を撮らなきゃいけなくなって、わずか1時間で頂上まで登って写真を撮って降りてくるという荒技をやってのけた。しかし、標高の低い山はどこまで登っても森を抜けないので、やはり登るなら3000m級の山がいい。
 そして、僕にとっての最後の登山は、福岡に住むようになってからの篠栗町の若杉山(681m)。そのころは「オッショイ!福岡の神社がおもしろい」の制作中で、福岡は「西の飯盛山(飯盛神社上宮)のイザナミと東の若杉山(太祖宮上宮)のイザナギに守られた街」という仮説に基づいて、若杉山の山頂にある太祖宮上宮の写真を撮ろうと登った山だ(ちなみに飯盛神社上宮にはクルマで簡単にのぼることができる)。しかし、そのころには慢性腎不全の末期的症状で、ひどい頭痛と吐き気に悩まされながらも、地図に書いてある駐車場の売店から徒歩15分というのを信じて、今の自分の体調でも倍の30分もあれば登れるだろうと思って歩き出した。ところが、歩けど歩けど深い杉の森の中のコンクリートの細い急斜面で、杖を突きながら45分は登っただろうか。ようやく観音堂や地蔵堂、昔の売店跡なんかが見えてきて、やっと霊山らしい雰囲気が出てきた。そのいちばん奥に、目的だった太祖宮上宮はあった。帰りは奥の院に続く「はさみ岩」の鎖場を通ってきたけど、奥の院までは行かずに帰ってきた。
 
※写真左は若杉山山頂の太祖宮上宮、右は近くの木の洞に刻まれた観音像(ともにクリックで拡大。別ウィンドーが開きます)。
※TOPの画像:木曽駒ヶ岳より富士山を望む。


(つづく)

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