本日1月29日は、テレサ・テンさんのお誕生日です。
生きていれば、今年で満72歳になられるのですね。
改めて、生前のテレサ・テンさんの姿を思い浮かべながら、お誕生日を祝したいと思います。
ところで、テレサ・テンさんの中国語の代表曲に『甜蜜蜜(ティエンミイミイ)』があります。
日本でこの曲を聴くことはほとんどないと思いますが、中国語圏では大変有名な曲です。
「甜蜜」で恋人や新婚さんの仲睦まじい様子を表す言葉とのことです。
日本語でも、「蜜のように甘い」関係と言えば、恋人同士を連想しますが、「ティエンミイミイ」という音も相まって、何とも可愛らしい曲で、テレサも優しい甘美な声で歌っています。
さて、その『甜蜜蜜』に関してですが、先日の1月22日(水)にNHKのEテレで放送された『中国語!ナビ』の中で、『甜蜜蜜』を映像の中のテレサと一緒に歌う学びがありました。
その時に、テレサの昔のコンサートの様子が放映されていました。
以前もこのブログで書かせていただいたことがありましたが、その中でテレサは、盲目の少女に寄り添いながら『甜蜜蜜』を歌い、彼女が一緒に歌えるようになるまで、その場を離れませんでした。
時に涙を流しながら少女を抱きしめたり、そのテレサの一挙手一投足から彼女がどれほど慈悲深い人であるかが感じられ、見ていて心が温かくなりました。
そんな慈悲深い側面を持っているテレサ・テンさんだからこそ、なお一層その歌声が輝きを増してくるように感じます。
よく『三つ子の魂百まで』ということが言われますが、テレサの場合も例外ではありません。
彼女が幼い頃のエピソードを一つご紹介します。
テレサは兄たちと一緒に遊んでいたのですが、そのうち兄たちは、テレサのことをほったらかしにして、自分たちだけで遊ぶようになっていました。
その様子を父親に見つかり、「幼いテレサをほったらかしにするとは何事か!」と、お兄さんたちはすごい剣幕でお父さんに叱られたそうです。
それを見ていたテレサは、兄たちと一緒に涙を流しながら父親に謝ったという話が伝わっています。
兄たちがお父さんに怒られているのを見ているのが、テレサにとってはとても辛かったのでしょう。
人の苦しみを我がことのように感じる感性が、テレサには物心ついた頃から、すでに備わっていたのですね。
その後、もう少し成長してからもこんなエピソードがあります。
10代の頃からすでにアジアの大スターだったテレサでしたが、当時そのマネージャー的な働きをしていたのが、お母さんでした。
ですから、本来は家庭にいて家事をするべきお母さんが、いつもテレサの傍にいて、身の回りのお世話をしていたのでした。
当然、兄弟たちは淋しい思いもしたでしょうし、家事も自分たちでせざるを得なかったと思います。
アジアの歌姫となったテレサは、お母さんを独占したことを大変申し訳なく思い、兄弟たちにそれぞれ家を建ててあげたそうです。
本当に、こんな妹がいたらどんなにありがたいことでしょうか。
ありがたすぎますね。
相手の気持ちにどこまでも寄り添い、慈愛を注ごうとするテレサ・テンさんの素晴らしい人間性が現れている逸話だと思います。
最近何かと忙しくしていることもあり、先日の『中国語!ナビ』で、私は久しぶりにテレサ・テンさんの歌声を聴いたのですが、以前にも増して、あの優しく甘美な歌声にすっかり魅了されてしまいました。
テレサ・テンさんのお誕生日に際して、改めて彼女が同時代に生まれ、歌手として日本で歌ってくれたことに、心よりの感謝をささげたいと思います。
※参考資料
・『中国語!ナビ』 NHK Eテレ(2025年1月22日放送)
・中国語で歌おう!まるごとテレサ・テン編 ファンキー末吉・古川典代共著 株式会社アルク発行