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つらつら日暮らし

白黒ハッキリ付けましょう(フロイス日記3)

フロイス日記2】に引き続いて、ルイス・フロイス師による東西比較文化論『ヨーロッパ文化と日本文化』(岩波文庫、岡田章雄訳注)を読んでいきます。この本によって、当時の日本の文化や習俗が色々と明らかになり、拙僧的には一文を読んでは楽しみ、また一文を読んでは驚いております。決して厚い本ではないのですが、後の日本人による日本人論よりも思い込みが少ないように思われ、非常に勉強にもなります。

さて、そんなフロイス師の報告に、次のようなことがありましたので、ちょっと考えてみたいと思います。

第1章-30 われわれは喪に黒色を用いる。日本人は白色を用いる。

一瞬、アレッと思ってしまいました。何故ならば、現代の日本では基本的に喪服は黒だからです。されど、フロイス師は白だというのでどういうことかと思っておりましたら、当時葬儀の席に於いて女性は白無垢を着ていたそうです。男性も黒一色ではなく褐色の質素な着物を身に付けていたということで、本来白が楽しい感じの意味し、黒が死を連想させるヨーロッパに生きたフロイス師は、疑問に感じたようなのです。

と思っておりましたら、拙僧の寺がある田舎でも、一部こういった葬儀に白色の着物を着る習慣が残っておりまして、葬儀には行列を組んで死者を見送るのですが、これにわざと白い布で作った飾りを付けたり、白い裃を着たりするのです。或いは、この白い着物とは、穢れを払う着物として考えられていました。

そのようなわけで、“黒い喪服を着た未亡人”という或る特殊なフェティシズムを連想してしまうイメージは当時にはありませんでしたので悪しからず。ところで、黒色の衣類が喪服になったというのは、拙僧、中国の春秋戦国時代に春秋五覇の一人であった晋の文公の息子が、戦場に喪服(白)で到着し、このまま戦うのは悪いから墨で黒く染めたことから始まっていると思ってました。でも、なんか思い違いをしているかもしれません。

なお、宇多田ヒカルさんが『COLORS』という曲の中で「黒い服は死者に祈るときにだけ着るの~♪」と歌ってますが、これは結局の所、西洋的習俗であります。むぅ、やはりUtadaは帰国子女か。。。

コメント一覧

tenjin95
再コメントありがとうございます。
> non さん



遺族の方は、おそらくお金さえ払ってしまえば全て(喪主挨拶くらいはありますけど)やってくれる現代の葬儀社は、やはり捨てがたいと思います。それに、拙僧のように何度も出る立場から言わせていただきますと、ステレオタイプの法要なので、もっと自分達でやったら?なんて思うのですが、最近では喪主の方が坊さんとまともに話せない、コミュニケーションが出来ない人も増えてますので、その間に入る葬儀社は必要なんでしょうね。



なお、一つだけ文句を言わせていただければ、田舎であまり葬儀社が口を出してこない場所なら、コチラのペースで法要が出来るのですが、都市部では、法要の時間や、説法の有無まで決められてしまうので、正直拙僧のような者には遣りづらいです。。。
non
なるほど~
そう言えば以前は近所の人が総出で炊き出ししてました。葬式は自宅でふすまをはずして会場を作ったものです。今は葬儀屋+葬儀場が主流ですね。葬儀屋さんの進行・方針に従って式をする方が楽ですもんね。以前の葬式では故人を惜しむ暇もないほど忙しそうでしたから。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> non さん



そうですね。結構「長い風習」だと思っていたものが、最近の流行りでしかないものはたくさんありますね。葬儀も昔は共同体だけで執り行ってましたからそれぞれに古い方法をのこしておりましたが、葬儀屋さんが入ってくるにしたがい画一化が図られ、無くなってしまった風習もありますね。
non
ふと思い出しました
http://ringofthelink.seesaa.net/
私は小学2年生の頃父方の祖父を亡くしたんですが、葬儀の時黒い喪服の上から白いタオルサイズの布を肩から羽織って(?)いる人が何人もいて、父も羽織っていたので父に聞いた事があります。

でも父もあまりよく分かってなかったようで、「しーっ」と静かにするよう言われて結局疑問のまま終わってしまいました。



そして今から10年ほど前母方の祖母を、3年前に母方の祖父を亡くしたんですが、もう誰も白い布を羽織っていません。もしかすると、その白い布は昔の風習の名残りだったんでしょうか?そうだとしたら、葬儀にも時代を感じます。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> ハリーさん



いやはや、もしそんな女性が好みだったら、年間○○件の葬儀をこなす拙僧は大変なことになりそうです。やはり平常心ですよ。南無~・・・



それから、ご指摘のように色とりどりにするという風習もあるようです。現に、当時の男性は、白を着ていたわけではないということですので。むしろ、女性だけでもそういった穢れから払う必要があった理由を考えますと、やはり生まれ変わりの問題かもしれませんね。。。なお、Utadaは、或るコンサートで黒服着てましたから、嘘?!いや、まさかあのコンサート自体が供養だったとか
ハリー
思わず・・・
http://harryhk.exblog.jp/
「黒い喪服を着た未亡人」の話に思わず笑ってしまいました。

tenjinの好みってここら辺なのかなぁって想像してしまいました(笑)



日本では、喪は色がないということが重要で、黒に限定している話ではないということでしょうか?でも、色とりどりにする風習もあったような・・・。確かな記憶ではないのですが。

今年の秋冬の流行カラーは黒だそうです。だから、宇多田ヒカルの言っていることは嘘かもしれないですね(笑)
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