つらつら日暮らし

今日は「目の愛護デー」(令和3年度版)

今日、10月10日は、様々な記念日が重なっているらしいのだが、以前は「体育の日」でもあった。しかし、その日は東京五輪2020開催に因んで「スポーツの日」と改まり、しかも、今年は7月の東京五輪開催に使ってしまったので、終了済み。そうなると、他に使えそうな日は?ということで、見てみると「目の愛護デー」がある。

一 一
〇 〇


このように、10・10を巧く並べ直すと、人の目の周辺に似ている、というのが決めた理由であるとされるが、経緯については以下のサイトをご覧いただくと良いと思う。

10月10日は目の愛護デー(参天製薬)

ということで、「目の愛護デー」に因んで、何らかの記事を書きたいと思っているのだが、「目」について、例えば漢語の仏典だとこれを「眼睛」と表記する。要するに、我々の黒目(もちろん、黒でなくても良い。当方も、厳密な意味で黒いわけではない。黒みがかった焦げ茶色か。この辺も、厳密に考え出すと、人種の違いなどの問題になってしまうので要注意)と白目全体を表現したものである。

その言葉で見ていくと、興味深い表現が目に入る。

 仏、慈氏に告ぐ、「若し諸もろの菩薩、一一の戒を持すれば、能く是の如きの無量功徳を得ん。乃至、愛命する所を捨てて仏の禁戒を欠犯することを得ざれ。
 応に此の戒を持すること眼睛を護るが如く、此の戒を守り慎むこと賢瓶を護るが如くすべし。五欲の利斧を以て斬壊せざるが故なり。微小戒を護すること五逆罪の如くすれば、軽重等護心、金剛の若し。貢高我慢を起こすことを得ざれ、此の戒を持すると雖も清浄なるは是の如し。比するに無始より造る所の悪業、大千界所有の微塵の如くなり。此れ戒善を持するは、比するに彼の悪業、一微塵の如し。
 既に知ること是の如し、云何が持戒して我慢を生ぜんや」。
    『大乗理趣六波羅蜜多経』巻5、原漢文


まず、これは文字通り大乗経典であるが、その菩薩の六波羅蜜の実践の中で、持戒について論じられた箇所である。

冒頭の「慈氏」というのは弥勒菩薩のことである。よって、世尊が弥勒に対して、上記の教えを示しているのである。内容を簡単に申し上げれば、菩薩が一々の戒を守れば、無量の功徳を得るというのである。そして、何か自分で把われることを捨てて、ただ仏の禁戒を守るべきだというのである。

そして、仏の禁戒の守り方としては、「眼睛」を守るように大切にすべきだというのである。実は、今日は「目の愛護デー」なので、「眼睛を守るべき」という文脈を探したが、「眼睛を守るように、他を守るべき」という喩えが多いようで、こういう文章を紹介しているのである。

つまり、我々にとって大切な眼を守るように、仏陀の禁戒を守るべきだというのである。

そこで、続きの文章であるが、賢瓶というのはいわゆる薬や水などを入れる瓶のことで、やはり壊れやすいので大切にすべきだというものである。そして、眼や瓶については、五欲が斧のようになって持戒を破壊してしまうので、それから守るべきだという喩えである。

その後、面白い喩えがあって、微少戒を守るときに、五逆罪を犯さないようにすれば、良いという。これは、「軽重等護心」という考え方で、戒律の軽重を定めずに、どれも守るべきことを指す。その時、金剛のように堅く戒律を護るという。

ところで、戒律の守り方として気を付けるべきは、調子に乗って我慢を立てることが無いようにすべきだということである。これは、自分が戒律を守っていると自負することをいう。だが、これもまた、過ちであり、戒律を守ることは謙虚にすべきであり、それを上記の一節では「清浄」だとしている。

我々が、何時始まったともしれないこの人生(輪廻思想に依拠する)悪しき行いは無数に存在しており、その内ごく一部を戒律で護ったところで、本当に一部に過ぎないのである。よって、どうして調子に乗ることが出来ようか、ともなる。

よって、戒律を守ることは、自分の眼を守るように行うべきなのである。そして、自分の眼を守ることは、調子に乗って行うことではないから、普段通り行えば良いのである。そもそも仏教の戒律は、ただの生活態度なのであるから。

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