中夏の上堂、
前半夏の間三三、
後半夏の後三三。
安居の清衆、直下に罷参すれば、阿呵呵、笑倒す西天の老瞿曇。
『仏国禅師語録』
これは、鎌倉時代に来日した中国僧・無学祖元禅師(1226~1286)の言葉である。日本にいた時に発せられた上堂語である。内容は、中夏なので、いわゆる6月1日に行ったものだけれども、まずは、前半の45日間については「三三」と述べた。これが分かりにくいのだが、「三」の重なりで無限を示すという見解もあり、よって、安居前半の無限の時間が過ぎ、そして、後半もまた無限の時間が訪れるとしているのだろう。
よって、その中間であるこの日に、安居の清浄大海衆が罷參(大悟)すれば、阿呵呵と、インドの老釈尊も笑い転げるだろう、と述べている。
問題はこの「直下に罷參」であるが、意外とヒントとなる文脈は無い。ただ、当方ではこれを、前後の中間にある、まさにこの日を指していると考えた。つまり、何にも依拠すること無く、或いは中道としての大悟に至ることを指すのではなかろうか。
どちらにしても、無学禅師が大悟に価値を置き、学人をそこに向かわせていたことを確認出来たのである。
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