峠を越えリンモ村へ
朝、ブラックコーヒーを頂いて、品の良いお婆さんに見送られて宿をでる。今日は「足痛」に悩む1日となった。けれど、この先の峠から初めて「エベレスト」を見る事が出来る。(写真左の浮雲の右、右に雪煙を棚引かせているのがエベレスト。さながらパイプを吹かすエベレストの様。)エベレストの見える峠で、昼食を楽しみたい。「トレッキングショプ」の看板が掛かる店で、『生卵二個とビスケット』を買う。110円。風は強いが快晴の中、3時間半で峠に着く。卵を茹で、コーヒーをいれ『貧しいが正直者の昼食』を作る。エベレストを望む景観が、さらなるおかずとなった。
ルクラ~カトマンズの航空便は、強風でもう何日も欠航している。不思議なくらい今日は、人に会わない。峠からは緩い降り道になった。足の痛みがぶり返し、たまらず茶店に入りミルクティーを注文。十分休んで出るが、さらに右足小指外側が痛みだし「踏んだり蹴ったり」の様相と相成った。ザックからナイフを出し、枝を拾って削りダブルストックを作る。ストックに頼りながら、峠から下る。いくらか楽だ。峠を下りきり、吊り橋を渡り、続けて30分登ると、道幅のある「街道」に合流した。このリンモ村から南に6時間下った街に、カトマンズからの自動車道が来ている。その街は、エベレスト方面の村々の補給基地になっているので、この「街道」にロバ隊やポーターが多数行き来している。先ほどまで人に全く会わなかったが、ここからは賑やかになって来た。まで2時であったが、一番手前のロッジにはいる。これが又「ナイスロッジ」であった。炉が勢い良く燃える台所で、10人程のポーターが昼食を食べていた。私も炉の傍に腰を下ろし「ロキシー、ラーメン、卵焼き」を頼んだ。『今、オーストラリア人の荷物を運んでいるが、日本の客は最高だ!』と、一人のポーターが話しかけてきた。
台所で料理を作り客を接待していたのは、17才の青。やがて、23才の兄と21才の姉も帰って来た。23才の兄が言う。『家は11人家族で、前にある家に住んでいる。林檎園もやっている。シーズンには多数のゲストで忙しい。自分はガイドもする。』理知的で逞しい男であった。たった一人の泊まり客である私の為に、居間のストーブを焚いてくれた。外は震えるほどに寒いのに、居間とベッドルームは快適な暖かさ。窓から見える夜空には満天に星が輝いている。この環境で一泊100円である。薪の暖かさと、満点の星と、ロキシーの酔いに包まれて幸せな眠りに就く。一週間くらい滞在したい。◎今日の経費、宿支払985円、卵2個&ビスケット110円、茶店30円、合計1125円
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