2021年3月21日のブログ「もうやめた!これで最後にしよう!!」で Cling on Tuner というチューニング・メーターを紹介しました。磁石を利用し、ヘッド裏の糸巻き金属部などに吸着するユニークな製品です。
しばらく使ってみて、このチューナーの欠点が見えてきましたので、紹介しておきましょう。内容を先に述べますと、このチューナー、チューニング時の6弦に対する応答がすこぶる悪いのです。
今回は比較のために、KORG MagnetuneとD'Addario PW-CT-21を一緒につけてチューニングを試してみました。その結果を以下に紹介します。
🌠6弦Eに対する応答が悪い
【写真1】6弦Eの応答テスト。モズライト’65 CARに付けています。KORGとD'Addarioは一発で応答しますが、Cling On MS1Rは応答しません。チューニングが合うと画面が赤から緑色に変わるはずですが、赤いままでメーターも振れていません。ハーモニクスでやったり、何回も強めに弦を弾くと応答することもありますが、一発ではほぼダメ。これじゃあ困ります。
【写真2】5〜1弦は問題なく一発で応答してくれます。6弦だけ応答が悪いのです。
【写真3】他のギター(モズライト'64 SB)でもやってみましたが、やっぱり6弦の応答が悪い!
【写真4】もう一台、モズライト・コンボ赤 '67でもやってみましたが、こちらもダメ!
🌟結論
こう6弦に対する応答が悪いと、正直、怖くて使う気になれません。ライブのステージ上だったら、どうでしょう!「お前どうしたんだ〜!」と投げつけたくなるでしょう!
販売元のヤマハに「6弦の応答が悪い」と点検・修理を依頼してみました。想像通り、点検の結果、同様の症状は確認できませんでした、と返事がきました。ヤマハのギターで、静かな環境で試したのでしょうか?往復の送料を損しました。
クリップ式チューナーが発売されて久しい今日、性能も格段に向上しました。よほどひどいギターでもない限り、6弦のチューニング応答が悪いというのは、今やチューナーとして失格でしょう。ステージ上やその前のチューニング作業に不安を抱かせ、焦らせるような代物は強い味方とはいえません。
メーカーもユーザーの声に真摯に耳を傾けるべきです。KORGやD'Addarioではちゃんと反応しているのに、自社販売の商品が反応しないなら、どこかに欠陥があるかと疑い、改善策を図るべきです。われわれに必要なのは、6弦から1弦まで瞬時にちゃんとチューニングできるチューナーです。
Cling on Tuner、磁石を使ったアイデアは賞賛ものですが、肝心のチューニング応答精度において、残念ながらKORGやD'Addarioに負けているといわざるを得ません。これはとても重要なポイントと考えますので、今回みなさんにお知らせした次第です。ご参考までに。