「犠牲をいとわぬ覚悟」
趙萌は「朝政を正したいという陛下の願いを、いかに実現するか真剣に考えました」と劉玄に話す。礼儀によけば覇者は皇后を立てます、韓夫人と趙夫人が比肩する現状を正して、徳を備えた皇后に後宮を任せるべきかと、と。群雄や赤媚軍が隙を狙っている、戦乱で荒れた長安を再興して民を安じてから立后しようと答える劉玄。劉玄が「だが決して趙姫をないがしろにはせぬ」と言い、趙萌は感謝して下がる。その後、すぐに朱鮪が来る。
「劉秀は過珊彤を妻に迎え真定王を取り込むと、王郎への反撃を開始しました」と伝える朱鮪。劉玄は「劉秀は想像以上に曲者だったか。命令だ。使者を送って隴西の隗囂を収集させ、謝躬と馬武に南方から邯鄲を攻めさせよ」と言う。朱鮪が「つまり劉秀と恊働して王郎を倒すと?」と聞く。劉玄は「劉秀は朕の配下だ。援軍を出すのは当然であろう」と返す。
夜。不機嫌な顔をしている趙姫に劉玄が理由を聞く。「劉秀は薄情な男です。陰さんを都に引きとめるべきでした」と言う趙姫。劉玄は「劉秀は麗華を利用していたのだ。だから再三、警告したと言うのに。劉秀はより協力な後ろ盾となる女子を娶るため麗華を捨てたのだ」と言う。
趙姫が麗華を思いやると、麗華が選んだ道だ、と言う劉玄。趙姫は「私にとってあの2人は憧れでした。今となっては“妻を娶らば陰麗華”など虚言ですね」と言う。
「劉秀は深謀遠慮に富む男だ。目的を果たすためなら何でもする」と劉玄は話す。趙姫は「いつか陛下は私を疎ましく思うやも。その時は、直接、言ってください」とお願いする。「愚かなことを。愛するそなたを疎むはずがない」と言う劉玄。
韓姫は次々と新たな側室を選んでいた。趙姫は「陛下が心変わりすれば私は用済みです」と言う。劉玄が「朕が劉秀と同類だと?」聞く。趙姫は首を横に振り「でも私には陛下の心をとらえ続ける自信がないのです」と答える。
劉玄は「まだ分からぬのか?そなたは韓姫よりはるかに大切な存在。太平の世が来たら相応の地位を与えよう」と言う。涙を流しながら「地位はいりません」と言う趙姫。「皇后になりたくは?」と劉玄が言っても韓姫は首を横に振り「数々の経験から悟りました。男の人はやむを得ず妻や妾を娶らねばならぬ時があると。私が住む長秋殿は宮中で最上の宮殿。陛下の寵愛の証しです。それだけで満足しています」と言う。それゆえ私は地位や身分など望まない、ずっと陛下のそばにいて皇子を産むことができたら満足だと。劉玄は「安心せよ、そなたを慈しむ」と言って趙姫を抱き締める。
蔡少公の針治療で麗華の脚が回復してくる。「数カ月かけて元通りに歩けるよう治療しよう」と言う蔡少公。そんな話しをしている時に、慌てた様子の尉遅峻が駆けて来る。
「大変です。信都が落城して将領の家族が人質に」と話す尉遅峻。劉秀は主力部隊を率いて北上し、柏人城を攻撃中だった。その留守を狙われ、城内にいた豪族・馬寵が守衛を殺して王郎軍を信都に迎え入れたと尉遅峻は言う。都は戦わずして落ち、任光や耿純、李忠、邳彤の家族たちが人質になっていると。
家族を失えば将領たちは戦意を喪失する、結果的に河北の平定は不可能になるだろう、と蔡少公は言う。
将領たちの家族がすべて人質になったことを劉秀に伝えた馮異は「しかも敵は檄文を飛ばしました。我々が投降しなければ人質は皆殺しだとか」と話す。劉秀は急いで信都に戻り人質を救おうと考える。しかし任光が「我々は大局を重んじるべきだ。家族を構っていては、これまでの苦労が水の泡だぞ」と言うと、耿純も撤退してはならないと言い、みんなも賛同する。皆の忠義心に感謝する劉秀。しかし家族を失う苦しみを知っている劉秀は「必ずや皆の家族を救い出す」と言う。
劉秀は留まって柏人城を攻め続けることにし、任光と李忠を信都に遣わすことにする。
麗華は尉遅峻から、任光や耿光、邳彤や李忠たちが降伏を拒み、馬寵の弟・馬忠を殺したと聞く。人質を救わなければ劉秀に帰属した民に申し訳が立たないと思った麗華は、陰家の間者を動かそうと考える。しかし尉遅峻は「絶対になりません。間者は一介の民にすぎず、主な任務は伝令です。顔をさらして戦うには向きません。また500人にも満たなぬゆえ、邯鄲の大軍と相対すれば絶滅するでしょう」と大反対する。
任光と李忠は信都に戻る途中、王郎軍の攻撃を受けて身動きが取れなくなってしまう。鄧禹に説得され、劉秀は劉揚の元に劉植を使いとして行かせる。
援軍を出したくない劉揚は、病と偽り劉植と会わない。
困った劉植は夜更けに過珊彤と会い、劉秀が今後、命の保証がないこと、挟撃を恐れた大司馬がやむを得ず真定王に派兵の要請をしたが病と称し会ってもらえないことを話す。派兵をするよう、真定王に頼んでほしいと言われ「わかったわ」と過珊彤は引き受け、劉植はその場を後にする。
過珊彤の侍女・瑛絡は「お嬢様に冷たい男のためにそこまでする価値が?」と言う。「かつて夫は命懸けで私を助けてくれた。私に情を感じている証拠よ。難局に面しながら妻に明かさず独力で立ち向かうのは、私を苦しませないため。周囲にはそれが冷たく映るだけだわ」と言い返す過珊彤。夫のためなら何を犠牲にしても構わないと。
劉秀の配下の家族を救いたい麗華は、気持ちが焦ってしまう。そんな麗華に冷静な判断をさせるため、蔡少公は碁を打とうと誘う。
碁を打ちながら「王朝の興亡や民の存亡を決定づけるのは1つの原理だ。生きとし生ける者は基盤に置かれた碁石のようで、1手打てば将来が大きく変わる」と言う蔡少公。「囲碁の場合は1つ手を間違ったとしても挽回できます。でも人命は戻りません」と麗華が返すと、蔡少公はうなずき「私と子陵はそれを理解しているゆえ世を捨てた。学識があるのに隠居生活を送るのは、己が凡人で大任を負えぬと悟っているからだ。重責を担う偉人が下す決定は万民の生死を左右する。決断するには知恵と覚悟が必要だ。時には残酷な選択を迫られる場合もあろう」と言う。
蔡少公は、大局を重んじることができる者は限られる、例えば劉秀は過氏を娶りお前は身を引いた、2人とも民を思うゆえにより多くの命を守れる道を選んだのだ、たとえ己の感情や尊厳を犠牲にするとしてもな、と話し、麗華に「身を引いて後悔したか?」と聞く。麗華は「いいえ。自分は構いません。でも無辜の民を巻き添えには…」と答える。「つらくともお前が決断を下すのだ。将たる者、覚悟を持たねば」と蔡少公が言う。しばし考えた麗華は「決心しました」と告げる。
「私と子陵が計画した通りに動いて」と麗華は尉遅峻に話す。尉遅峻は「正体が明らかになった間者は二度と使えなくなります。旦那様がようやく育てた集団ですよ」と説得しようとする。しかし麗華は「分かってる。でも私の決定に従いなさい。人馬を集めて可能な限り人質を救い出して。ただし無理強いはしないで」と言う。
麗華は子陵に劉秀の筆跡で書いた文を馬武に届けてほしいと頼む。「お安いご用だ」と言う子陵。
過珊彤が来ても劉揚は会おうとしない。
「不孝をお許しください。伯父上に見捨てられたら夫は命がありません。私は毒を仰ぎ黄泉の国で夫を待ちます。伯父上、来世で会いましょう」と言うと、器を手に持ち飲もうとする過珊彤。瑛絡は屋敷に向い「お嬢様を毒死させるつもり?見殺せば死罪になるわよ」と大声で叫ぶ。ようやく出てくる劉揚。
過珊彤は「夫は過家の一員です。援軍を出して助けてください」と頼む。劉揚は「助けてやりたいが私には何もできぬのだ。それにしても劉秀はこらえ性がない。私の配下を危険にさらせと言うのか?」と言う。再び器を手に持ち「伯父上を脅したくはありません。私を娘同然に育ててくれたからです。なれど女子は嫁いだのちは夫に従うもの。ようやく想い人に嫁いだのにこんなに早く…別れが…。伯父上が派兵せねば夫を失います」と毒を飲もうとする過珊彤。止めた劉揚は「私は脅迫されるのが何より嫌いなのだ。想い人に嫁いだだと?あの男の想い人は陰麗華だけだ」と怒鳴りつける。
過珊彤が涙を流しながら毒を飲み始めたところに、過主が駆けてくる。器を振り払う過主。過珊彤は「伯父上、私の最期の望みです。どうか聞き入れてください。命を駆けてお願いします」と劉揚に頼み、過主も「珊彤のために援軍を」と口添えする。劉揚が「家族として責任は果たすつもりだ」と言うと、吐血しながら感謝した過珊彤は倒れてしまう。
毒が少量だったため、解毒できた過珊彤は命が助かる。
過主は「本当に派兵なさるので?」と劉揚に聞く。劉揚は「その場しのぎに言った方便にすぎぬ。承諾せねば珊彤は命を絶っていただろう。王郎は決死の覚悟で劉秀に挑んでいる。あれほどの大軍では私が派兵しても勝算はない。人質を救えぬどころか配下を無駄死にさせるだけだ」と答える。大局を重んじるなら人質は捨てるべきだ、と。劉秀の性格では決断を下せないと言う過主。劉揚は「どんな決断を下そうと勝手だ。だが援軍は出さぬ」と言うと行ってしまう。
過主は「珊彤を劉秀の元に戻すわけにはいかない」とつぶやく。
文を読んだ馬武は「俺も信都を案じている。だが謝躬に連絡しても援軍を出さぬどころか軽挙を禁じられた。俺には何もできない」と子陵に言う。「お前は劉玄の忠臣だが、本当に天下の民を案じているのは文淑だぞ。覚えているか?かつて文淑と鄧禹から命を救ってもらったはず。文淑を見殺しにするのか?」と言う子陵。
陰家の間者を犠牲にしてしまう麗華は自分を責める。「伯父上と母上は“命を大切にせよ”と。それなのに家族や愛する人を守るため、長年、戦って来た結果、私の手は血に染まっています。多くの人を救うため戦ってきたのに、義姉さんや縯兄さんなど家族を失いました。いまだに戦は続き、世の中は何も変わっていません」と麗華は蔡少公に話す。蔡少公は「古より天下を取るには犠牲が必要だった。天の道を信じるのだ。流れた血は無駄ではない。そう遠くないうちに心から民を思う覇者が現れるはずだ。その者は悪を一掃して太平の世をもたらすだろう」と言う。
「我慢も限界です」と言う麗華。蔡少公は「人生には困難が付き物だ。だからこそ尊くもある。お前の両親や家族、共に戦った仲間たちがお前を守っているぞ。もっと強くなれ」と励ます。生き延びて亡くなった者たちを喜ばせよ、と。麗華は涙を流しながら「苦しくとも、頑張って生きます」と言う。
真定王府。信都に戻り、劉秀に朗報を伝えようとする過珊彤。瑛絡は、体が回復したばかりで無理は禁物です、ここに居続けましょう、奥様の命令なのです、と止める。過珊彤は「母上?」と聞き返す。
過主は「派兵を控えて賢明でしたね」と劉揚に言う。「見る目がある者はすぐ気づくはずだ、王郎が劉子輿だというのは真っ赤な嘘だとな。更始漢朝も休裁を整えただけの偽王朝にすぎない。劉秀が河北を宣撫しているから存続しているだけだ。遅かれ早かれ滅びよう」と話す劉揚。そして劉揚は「劉秀と姻戚を結んでおいて本当によかった。珊彤は将来、皇后になるやもしれぬぞ」と笑う。過主は「では出兵すべきでは?将来の皇帝を見殺しにするつもりで?」と聞く。劉揚は「劉秀が皇帝になる定めなら天が守るだろう。凡人は手出しせずともよい」と言う。
「達観していますね」と言う過主。劉揚は「私が助けなければ、他の者が動く。義侠心に富む陰麗華は必ずや救出をもくろみ、新野で育てた500人の間者を信都に遣わすだろう。劉秀が皇帝になれば我々にとって陰家は厄介な存在になる。だから今のうちに潰して後憂を断つのだ」と話す。過主は「陰麗華が動いて陰家の間者が犠牲になれば、陰家は弱体化するはず。そうなれば後宮の主は珊彤ですね」と言う。そんな2人の会話を、部屋の外から過珊彤が聞いていた。
「どうして…あんまりだわ。夫が危ない」とつぶやくと、過珊彤は駆け出す。
門から「お嬢様」と言う声が聞こえ、過珊彤が外へ行ったことに気付く過主。過主はすぐに追うよう命じる。
信都牢獄。守りを固めるために増員されたと偽り、見張りと交代した尉遅峻たち。
人質を救出しようとするが、逃げる途中、子供の鳴き声で気付かれてしまう。尉遅峻と間者は敵と戦うことに。
次々と間者たちが殺されていく中、馬武が仲間を連れ助けに来る。
敵が逃げた後には、犠牲となった大勢の間者が。泣きながら叫ぶ尉遅峻。
ーつづくー
劉揚と過主がひどすぎる…。
手は貸さないくせに、いいとこ取りをしようとしているしヾ(`Д´*)ノ
過珊彤はいい子なの?
夫のためなら命を投げ出せるのは分かったけど、麗華という妻がいたことは知ってるよね?
そのことをどう思っているんだろう…。
馬武が助けに来てくれてよかった。
でも尉遅峻の叫びがつらい(;д;)
麗華もこのことを知ったら、もっと心を痛めるはず。
全然、お話とは関係ないけど、子陵の出番が思ったより多くて嬉しい(*´艸`*)
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劉秀のために必死になる女は、麗華だけではなくなりましたね……。公式によると、過珊彤は劉秀が結婚していたことを知らないみたいですよ(「嫁にめとらば~」は有名みたいですけどね)。この回は、女の勝負を見たような気がしました。
「秀兄さんは責任感が強いから、結婚した以上過珊彤をないがしろにすることはしないでしょう」と前に麗華が言っていたことを考えると、せつないですね~。