「風波亭に死す」
岳飛の口笛を聞きながら、岳飛との思い出を振り返る孝娥。
そんな中、秦檜が年越しの挨拶をするため岳飛に会いにくる。
秦檜が「岳殿」と声をかけると、口笛を吹いたまま顔をそむける岳飛。卓の上には秦檜が持ってきたご馳走と酒が置かれる。
秦檜は2つの器に酒を入れ、飲んでくれと岳飛に差し出す。口笛をやめた岳飛はその器を受け取り、匂いをかぐ。「2人で飲んだのはずいぶん前のことだ。覚えているか?」と言う秦檜。帰徳の小さな宿屋で“それぞれ文と武で貢献しよう。朝廷の中と外で宋のために力を尽くそう”と誓い合ったと。
「歳月が過ぎ去り、我々の道は分かれた。その結果が今の我々というわけだ」と秦檜が言う。岳飛は「私はあの頃と同じ岳飛だ。だが、お前はもうあの頃の秦檜ではない」と返すと器の酒を飲み干す。秦檜も酒を飲み「私は一度死んだも同然の男だ。五国城での苦しい日々に助けてくれる者は誰一人いなかった。あの時、知ったのだ“自分の力で生きるしかない”とな。自分だけを頼りに生還を果たした。より強く、より美しく、より高みにのし上がったのだ。私が成功した秘訣は何だか分かるか?たとえ他人を犠牲にしようと、自分の道を突き通す覚悟を決めたことだ」と言う。「私を潰そうと躍起だったのは、私が丞相の道を邪魔したためか。たかが私を片付けるために手こずらせたようだ」と言う岳飛。
秦檜は「いいか、名望があっても馬鹿正直では駄目だ。私とて苦しい思いをした。だがこの件には、今日、やっと決着がつく。飲もう、貴殿に捧げる。新年の祝福と、はなむけの気持ちを込めて」と言って酒を飲む。そして「お前の本音を聞かせてくれ。死を前にして怖くはないか?」と言う秦檜。笑うと「恐れるべきことなど何もない。だが丞相殿は違う。無実の私に罪を着せ命を取ろうとしている。私が朝廷に二心を持ったと証明するため、嘘の密告を強要し、偽の文や反詩までねつ造した。拷問で虚偽の自供を迫った。そのうえ江州に兵を送り込み、殺戮を繰り広げさせた。罪を重ねたその手は血で染まっている。人も寝静まった夜中には怖くないか?」と言い返し、岳飛も酒を飲む。
秦檜は甕を床に投げつける。別の甕を抱え、飲み始める岳飛。秦檜は「人は皆、私が岳飛を憎んでいると思っている。だが違う。感謝しているくらいだ。岳飛無くして秦檜はなかった、こう言ってもいい。今の私があるのは岳飛のおかげだ。後世に至るまでお前は英雄として語り継がれる。一方、私は永遠に罪過の汚名を残すだろう。だが、今この時、誰が勝者で誰が敗者かは明白だ。反論も無駄だぞ。今生ではお前は負け犬で、私こそが勝者なのだ」と言う。お前の運命は私が握った、私にとってはお前の存在などただの駒でしかないと。岳飛は静かに「お前だって陛下の駒だろう?」と言う。
「“謀反を企てた岳飛は賜死、岳雲、張憲には斬首を言い渡す”。万寿観使殿、さっさと署名するんだな」と岳飛に言う万俟离。筆を持ち書こうとした岳飛のもとに、高宗からの御酒が届く。御酒を見つめたあと、署名をする岳飛。
雪の降る中、枷を掛けられた岳飛が獄から出て歩き出す。そんな岳飛が獄に入れられた孝娥たちに気付く。岳飛は獄に近づこうとするが、万俟离が許してくれない。しかし別の獄から「この奸臣め。家族との最期の別れさえ許さない気か?」という声が上がり、隗順も頼んだことから、万俟离は仕方なく「少しだけだぞ」と言う。
孝娥は岳飛の左手を握る。岳飛は右手で孝娥の涙を拭き「俺に嫁いだため苦労ばかりの日々を送らせてしまったな。今生では短い縁だった。来世でまた会おう」と言う。岳飛と離され「行かないで」と手を伸ばす孝娥。
岳飛は岳雲と張憲の入った獄の前も通る。2人は笑顔を作り、岳飛を見送る。
岳飛が風波亭に向い歩いている頃、岳公祠に来ていた高宗に岳飛の署名した供述書が届く。それに岳飛は“天はすべてを知る”と書いてあった。
風波亭に入っていく岳飛は、これまでの戦いや死んでいった者たちを思い返し“怒髪 冠を貫き 高楼に登りて眺むれば 蕭々たる雨の降り止む 遠き理想を望み 天を仰ぎて長嘯すれば 熱き思いの胸にたぎれり 齢三十の功名 塵と土 昼夜を問わず八千里を行く 若き日の過ぎるは早し いたずらに過ごせば 虚しく悲嘆あるのみ”と詠う。
牛皐は兵たちを連れ臨安に向かおうとしていた。王貴は必死で止めるが、誰も聞こうとしない。そんな牛皐たちを力で抑えようと、兵を率いた張俊が現れる。それでも怯まなかった牛皐だが、そこに岳飛の文が届く。
“我が命を聞くべし。死を恐るるは天下の理なれど、正義のためなら大難に際し、なお死を恐れず。これ忠義の士なり。孔孟はこれを仁義と説く。民の苦しむ乱世となるのを、とどめ得るなれば、我が命、捨つるは必然の道なるべし。暴挙に出るなかれ、これは軍令なり”と文には書かれていた。「嫌だ。兄貴が殺されるのを黙って見ていられるか」と言い、文を投げてしまう牛皐。そばにいた桂娘は、泣きながら「岳兄さんが血でつづった最後の軍令よ。この手紙が岳兄さんなのよ」と言う。牛皐は「兄貴」と叫び、泣き崩れる。
高宗は「岳飛よ、そちの忠義は分かっておるぞ。そちの正義はここにある、朕の世と共にな」とつぶやいて岳公祠を出て行く。岳公祠には線香が立てられていた。
寝台で寝ていた秦檜は、うなされて目を覚ます。隣に寝ていたはずの王氏が、血を流して死んだ小満に見え飛び起きる秦檜。秦檜は小刀を振り回し、王氏は悲鳴を上げる。
我に返った秦檜を、怯える目で見つめる王氏。
岳雲と張憲も斬首の刑に処されて亡くなる。
その後、宣徳門で牛皐も矢に射られて倒れ、桂娘が毒を飲んで後を追う。さらに烏詩瑪も宋の兵に刺され、亡くなってしまう。
岳飛の霊位を前に、ひざまずいた兀朮は「岳元帥、貴殿とは10年以上戦ってきた。貴殿は文武両道に秀で、しかも徳と知略を兼ね備えた逸材だった。相手が貴殿なら心から負けを認められる」と言って頭を下げる。
敵ながら貴殿のような男に出会えたことは幸せだった、もう二度と、こんな好敵手は現れないだろう、安らかに眠れ、と言って涙を流す兀朮。
韋氏は高宗のもとへ戻ってくる。しかし高宗と会おうとせず、贅沢な衣装を着たり高価な珍味も今後は食べないと言う。
高宗は子供の頃に韋氏が作ってくれた灯籠を、部屋に掛けてほしいと太監に渡すが、受け取るとすぐに火を消してしまう太監。「無礼者め、何をする」と怒る高宗に太監は「皇太后のお言葉です。“陛下が灯籠を持参されたら、その灯りを容赦なく吹き消すように。灯籠で照らしても、陛下は進む道を誤られた。今さら灯籠が何の役に立つ”と」と言う。「皇太后。皇太后」とつらそうにつぶやく高宗。
部屋の中にいた韋氏は、般若心経を書き写していた。
孝娥や岳霖たちは獄から出される。
そして岳公祠を訪れた民たちは、岳飛の死を悲しむ。
ーおわりー
終わってしまいました…。
岳飛と泣いて別れた孝娥たちもつらかったけど、笑顔を作った岳雲たちも切なくて。
でも岳飛はそんな岳雲を誇りに思ったよね。
張用はやっぱり亡くなっていたということなのね(;д;)
牛皐や桂娘、烏詩瑪が亡くなったのもつらかった。
岳飛は最後まで岳飛で。
秦檜と話している時も、刑場へ向かう時も。
胸を張って、立派で。
最後に岳飛が死ぬのは分かっていたので、ずーーーっと重い気持ちで最後までの数話を見てきたけど、最終話は思ったより気持ちが暗くならなかったかも…。(思ったより、ね)
勝者と敗者についてはともかく、秦檜はこれからも穏やかに眠ることはできないだろうと思えたし、高宗も母が近くにいるのに、遠くに感じることになったから。
この2人が幸せに暮らしてたら悔しい!!( ̄^ ̄メ)
最後まで読んでくださった皆さん、コメントをくれた皆さん、ポチッとしてくれた皆さん、有り難うございました!!
みなさんのおかげであらすじを書けました。
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コメント共に完走できたのは、うささんのおかげです。
3ヶ月余の間、ありがとうございました。
岳飛の懐かしい回想に、最期のあっぱれな潔さに、家族との悲しい別れに、決死の血の文に、仲間の意外な最期に、・・・涙涙でした。
結局、王貴以外、牛皐!、桂娘、烏詩瑪も皆亡くなってしまったのですね。
孝娥や岳霖ら家族が助かったのが、せめてもの救いでした。
岳飛の秦檜に対する言葉や署名の文言、そして高宗に対する韋皇太后のお言葉の数々に胸のすく思いがしました。
キラキラ☆ガイドに「強敵と書いて友と読む、熱すぎる二人・・・」は岳飛×秦檜とありましたが
お話では確かにそうだけど、最終回の登場で、兀朮の方がピッタリでした。
金の陣舎に岳飛の霊位が祀ってあったのが少し疑問でしたが。
初っぱなのわか分からんちんにもかかわらず、かなり嵌まったドラマでした。これもうささんのおかげです。
岳飛は、どんなお姿でも端正なお顔立ちでした。
悪役を全うした秦檜は最後まで憎々しいゲコゲコでした。
金の登場人物も名前を含めて、結構気に入ってました。
始めから悲しい結末と知って見始めたドラマでしたが思っていた以上に理不尽と言うか無念な最期でした…
岳飛の手紙で牛皐たちは助かったと思ったのに結局命を落とし、桂娘や烏詩馬まで…
生き残ったであろう王貴もおそらくは救われることはないだろうし…
最期に孝娥たちに会えたのが救いでしょうか?
岳雲と張憲の笑顔も。
風波亭へ向かう時の降り続く雪が岳飛の潔白を象徴しているようにも感じました。
秦檜には穏やかな眠りはなく、高宋も母の行いを通して自分のしたことを思い知らされ、穏やかな日々は来ないのでしょう。
後世の評価も恐らくは…
人々が岳公祀に訪れるだけでなく、霊位の前にひざまずくウジュも印象的でした。
そう、ウジュこそ岳飛の好敵手でしたね。
うささん、69話お疲れ様でしたm(__)m
うささんやみなさんと一緒でなければ恐らくこのドラマは見なかっただろうと思いますが見てよかった(*^^*)
ありがとうございました。
他のドラマも含めこちらこそこれからもよろしくお願いします(*^^*)
姐姐やみなさん書かれているように、
ハッピーエンドではないことは分かっていたものの、
最後も重かったです。
このドラマを見ながら、
どう生きるのか、
組織の中でどう自分を位置付けていくのか
登場人物それぞれの生き方に考えさせられるところが
多かったように思います。
いずれにしても、戦争(戦い)というのものが
人々の人生に大きな影を落とす、影響を及ぼすものだと
改めて考えさせられました。
この回は、黄暁明さんの演技に引き込まれて
それを引き立てる秦檜の方もある意味凄まじかったと思います。
日本では、三国ほどは馴染みにない宋代でしたが、
こんな混乱の時代を懸命に生きた、
登場人物を始め、人々に触れられたことがよかったです。