「運命の一撃」
たっぷりと痛いめに遭わせてやろう、と言う司馬弘。倒れ込んでいた娉婷は、必死で体を起こし「感謝します、陛下」と言う。司馬弘はまた太監にむちを打たせる。
娉婷は吐血した自分の血で“択才”“智用”“不陣”“戒備”と書く。司馬弘は娉婷の元まで歩いて行き「伝説の『武侯兵法』か?」と言う。立つと「お願いです。この兵書はすべて陛下に差し上げますゆえ、どうか鎮北王をお助けください」と頼む娉婷。
高笑いをした司馬弘は「つまりは、それか。以前、国の大義や民の幸せを説き、先ほどは晋の行く末を案じた。それは、ただの見せかけで、頭の中にあるのは鎮北王だけだ。朕が愚かゆえ、かような本末転倒が起こったのか。それとも、お前があまりに厚顔無恥なのか」と言う。娉婷は「勘違いされております。よき国とは君主が勤勉なだけでは成り立ちません。臣下一同の正しい行いが必要不可欠。“択才”“智用”の意味は“君主は隠れ、臣下が出る”。君主は臣下の議論を見守り、善政を行い、民を統べる。それで世は安定します。晋は豊な国で兵力もあり武将も文官も多い。今日の隆盛を築いた陛下は、天下統一をなす方やも。私の命など塵も同然です。兵書を献上するのは、私情のためではありません。正しい政によって、陛下に戦なき世を造っていただくためです」と話す。その陛下を支えるため、天が陛下に授けた“宝剣”こそ鎮北王だと。
「朕が兵書を欲しがると思うか?賢いつもりだろうが、1つ、見当違いをしたな。朕は鎮北王を殺しはせぬ。朕が殺すのは、ただ1人。お前だ。天下太平を説きながら、鎮北王を惑わせ野心を抱いた。皇位を狙ったのは鎮北王ではなく、お前だ。されど、やはり女子、まんまと罠にかかった。鎮北王を捕らえたら現れたな。死ぬのが望みか。よかろう、かなえてやる」と言う司馬弘。娉婷が「陛下のおかげで私の願いはかないます」と言い、司馬弘は「ならば朕の願いもかなえてもらわねば。鎮北王の剣で死ぬがよい」と告げる。その時、北捷が歩いてくる。
拝謁した北捷を立たせた司馬弘は「噂では鎮北王は妖女と手を組み皇子を殺め、皇位を狙ったとか。だが朕は鎮北王を信じておる。噂は信じぬ。今、目の前に下手人がいる。鎮北王よ、その手でこの者を死罪に処せ」と命じる。
北捷は娉婷に「これが最後の機会だ。毒を作ったのか」と言う。「はい」と娉婷は答える。「晋軍を退かせるためにやったのか」と言う北捷。娉婷は、また「はい」と答える。北捷は「皇子らを殺せと命じたか」と言う。顔をそらし「はい」と言う娉婷。「殺されると知りながら、なぜ来た。私を見ろ」と北捷は言う。しかし娉婷は見ない。
北捷は近くにいた兵の剣を抜き、娉婷を刺そうとする。そこに面をつけた則尹が現れる。
北捷と剣を交え「娉婷殿はお前を助けに来たのだ」と言う則尹。娉婷は「死ぬために来たの。あなたは逃げて」と則尹に言う。
激しい戦いを繰り広げ、北捷が則尹に剣を向け向かって行く。駆け出した娉婷はその剣の前へと飛び出し刺されてしまう。
刺した剣を抜くと、放り投げ、娉婷を抱きかかえる北捷。娉婷は「これでいいの。北捷、ごめんなさい」と言って、涙を流しながら動かなくなる。「娉婷」と北捷がつらそうに言い、雪が舞い始める。
2人に近づく太監。北捷は剣を向け「来るな」と怒鳴る。命じられていた太監は、娉婷の傷だけを確かめ、司馬弘の元へ戻る。「白娉婷は確かに死んでおります」と太監は司馬弘に言う。
司馬弘は皆に「鎮北王は皇子らを殺めた者を成敗した。下手人の血を流させたことで皇子らも安らかに旅立てよう。鎮北王の手柄を朕は忘れぬ。国葬のあと褒美を取らせる」と話す。
太監が「あの逆賊はどういたしましょう」と則尹のことを尋ねる。北捷は娉婷を置き「前に約束されました、死んだら亡骸を故郷に送ってやると。その男をお見逃しください。友のため、1人で闘った義士です。白娉婷を故郷に送らせましょう。臣下は陛下のご誠意をたたえ、民は寛大さをたたえます」と頼む。張文征は「見逃してはなりませぬ」と言うが、司馬弘は「今日は皇子らの敵が討てた。もう殺しは望まぬ。雪は吉兆なり、罪は問わぬ」と見逃すことに。
則尹は急いで娉婷の元へ駆けて行き、抱きかかえる。「よろしく頼む」と言う北捷。則尹は、その意味がすぐ分かる。
娉婷が運ばれた馬車には、霍太医の弟子・酔菊(すいぎく)が乗っていた。則尹は「どこへ運ぶ?助かるのか」と聞く。酔菊は「助かれば会えるし、だめなら来年の今日、線香をあげてね」とだけ言うと行ってしまう。
遠ざかる馬車を見送りながら“娉婷殿の災いが吉に転じ、助かりますように”と思う則尹。
駆けつけた楚漠然が、司馬弘にひざまずき「刺客と聞き駆けつけたところ、禁衛軍ともみ合いに。お許しください」と言う。「そなたに非はない。罰したりせぬ、すべては終わった」と言う司馬弘。
漠然が兵を率いて現れたことで、張文征の計画が失敗に終わる。“焦らず、じっくり進めればよい”という張文征からの伝言を聞いた張貴妃は、イラだちながら2人きりで話した時のことを思い返す。
「新たに作った金丹を陛下は半数以上も召した。体が弱ったところへ皇子らの死が追い打ちに。もう長くありません」と話す張貴妃。そして張貴妃は「楚北捷め、いい気味だわ。愛する女に身を滅ぼされるのだから。暗君は楚北捷をどう殺すのか」と言う。張文征は「確かな証がなければ、陛下は楚北捷が皇子殺しに関与したとは信じぬ」と話す。張貴妃は「ならば父上が何か細工をすればよいこと」と言う。「今、うかつに動いては、かえって疑われる。それよりは“穴”をもっと深く掘り、あやつらをまとめて突き落とし、埋めるのだ」と言う張文征。
張貴妃が「つまり?」と聞く。張文征は「陛下の命だと言って、楚漠然に10万の兵を都の外に足止めする。そして白娉婷をおびき寄せる。もし楚北捷が白娉婷を殺さなければ2人を共犯と見なし殺す。その混乱の中、陛下は矢に当たって絶命を」と言う。「楚北捷が白娉婷を殺したら?」と言う張貴妃。張文征は「根回しわして、その場にいる者を全員、味方にしておく。陛下は楚北捷と共に死ぬ。陛下を殺したのは逆臣の楚北捷という筋書きに。どんな死に方であれ、その時、晋に新しい皇子が登場するのだ」と話す。張貴妃は「皇子らは死に、私に子はおりません。皇子とは?」と言う。笑うと「蕓児よ、よく聞け。皇子というのは“いる”と言えば、いるのだ」と言う張文征。
夜。張貴妃は永延殿へ行き、皇后と会う。皆を下がらせた張貴妃は「皇后と陛下は幼くして夫婦となった。皇后は陛下の寵愛を独り占め。皇子を2人産み、己の地位も晋の行く末も安泰だと思った?」と皇后に言う。どうしたことか広い後宮は空っぽで、後を継ぐ子も他の側室もいない、司馬家は断絶ね、責めを負うべきはお前よ、と。張貴妃の言葉が信じられない皇后は「正気なのか」と言う。「私は至って正気よ。見て見ぬふりの誰かとは違ってね」と言う張貴妃。
皇后が意味を聞くと、張貴妃は「私が知らぬとでも?父上の権力を恐れ、私をここに閉じ込めたくせに。私はお前たちの犠牲になったの。私の愛も女としての幸せも、お前たちに奪われた。後宮に閉じ込められ、あの年寄りに作り笑いをしてみせる。そして愛する人を敬意を込めこう呼ばねばならない、“鎮北王”」と言う。皇后は「当たり前であろう。官吏の娘に嫁ぐ相手を決める自由はない。しかも皇后の次に位の高い貴妃にした。そこまでしてやったのに私たちを逆恨みするとは」と話す。
「逆恨み?」と笑った張貴妃は「知らないのね。生きるため、私はあの年寄りが運命の人と思おうとした。気に入られれば、愛され、大事にされ、幸せになれると。でも違っていた。陛下の心には1人の女しかいない、お前よ」と言う。妬ましい、私には何もないのに、と。そして張貴妃は皇子2人を殺したのは白娉婷でも楚北捷でもないと話す。「お前なのか。お前が私の皇子を?お前が殺したのだな」と言う皇后。張貴妃は「皇子らは死んだ。皇后の座に居座るな」と言って皇后を窒息死させてしまう。「今まで受けた辱めを、何倍にもして返してやる」とつぶやく張貴妃。
張貴妃が永延殿を出ると「新たな皇后が決まるまで、鳳印は貴妃様に預けるよう皇后様から託されました」と宮女から言われる。張貴妃は「利口だな。その伝言、気に入ったぞ。皇后様は長く病に苦しまれたが、明朝、安らかに極楽へ旅立つだろう。皇后のご遺志だ。鳳印は明日、芳沁殿へ持て」と言う。
ーつづくー
北捷と則尹の戦いが迫力があってすごくて。
娉婷を助けに来た則尹もかっこ良かったし、二刀流の北捷もかっこ良かった!!!
でも娉婷が…(;△;)
剣が突き抜けていたのですごく心配。
とりあえず、則尹のことは司馬弘が許してくれてホッとしたけど…。
また新しい人が登場。
もしかしたら酔菊って面白いキャラなのかな?(*≧ω≦*)
張貴妃が怖すぎる。
もう怖いとしか言えない張貴妃。
自らの手で皇后を殺すとは思わなかった( ゚艸゚;)
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面と向かって絶対にそんなことはできないけど、偶然刺さったというあの展開なら上手くその場が収まります。
臣下達の手前、罪を逃れることは無理だし、娉婷は死しかないでしょうから、なるほどの展開でした。
娉婷は北捷の手にかかれば本望と思ったのでしょうか。
幼い皇太子の死は、自分の策のせいでもあるから嘘を言ったのかな。
「白娉婷は確かに死んでおります」と太監が言ったけど、娉婷を乗せていった馬車が霍太医の弟子・酔菊だったので、きっと助かるでしょうね。(主役が亡くなるはずがない)
実はこれも司馬弘の仕組んだお芝居?だったりして。何か裏があるかも・・・。考えすぎか。
うささんの感想にもあるように、娉婷の胸を剣が突き出てたから、急所は外れてても、かなり深手でですよね。
チュ・ジンモいえ則尹も助かって良かったです。
張貴妃がまさか・・・。
怖い顔で自分が犯人だと白状されたときは、要注意。
ばらしたからには生かしておくはずないものね。
超大型ラブロマンス!なのに、ドロドロ系の方にはまりそうです。策の練り合いも面白いですが。
あれは「運命の一撃」だったんですね。
あまりにも分かりやすい手口、いいのでしょうか。
余りにも感情的で判断不能にしか見えないです。
恐ろしいです。。。
この危機を捨て身の娉婷と北捷は乗り越えて、
お線香をあげるようなことにはなって欲しくないです。
娉婷はどうなるのでしょうか?
ところで、ねこさんが最近注目されている則尹は
記憶の森の〜にも出演されているそうです。
ご覧になれる方はチェックなさってください!
北捷と則尹は剣を交えながらもどこか通じ合っているような気もしました。
則尹の俳優さん良いですよね~。笑うと可愛い表情になるような?
なので善人役が好み~(って誰も聞いてない)
刺された娉婷も心配。
冒頭、血を吐くシーンが凄くて、色白アンジェラさんなので痛々しかったです。
張貴妃はどんどん残忍に。弱っている皇后に止めをさすなんて信じられないですね。
このままでは、思い通りに進んでもどこかで自滅しますよね?(だと思いたい)