「恋心を伝える調べ」
【登場人物】
莘月 …狼に育てられた娘
九爺 …医学の知識も高い御曹司
衛無忌 …皇帝の妃の甥
紅姑 …落玉坊の元女将
石風 …石舫の見習い
李佶 …南朝の将軍
胡偉立 …羯族の王
冒雲珠 …莘月の幼なじみ
九爺からの文が届かなくなり「この前はのどの薬を頼んだわ。だったら今度は肩こりの薬ね」と思う莘月。莘月は九爺宛の文を書いて、小淘と小謙に届けさせる。
届いた文を微笑みながら読んだ九爺は、すぐに返事を書く。
翌日。莘月が庭で笛を吹いていると衛無忌が来る。声をかけた衛無忌は、何という曲か聞く。聞き覚えがあるが思い出せないと。求愛の曲と知られたら笑われそうだと思った莘月は「教えない。私に何か用」と返す。衛無忌が様子を見に来たことを伝えると「私は元気よ」と莘月は言う。「ずっと、こもっていてか?」と言う衛無忌。
衛無忌は覗き込むように莘月の顔をじっと見ると「例の書物は読み終わったか?」と言う。「あれは秦湘に読ませたの」と言い返す莘月。おかまいなしに衛無忌は、耳元で「君もじっくり読むといい」と言う。さらに、ちょっかいをださずにはいられない、と莘月の頬をつねる衛無忌。怒った莘月は、衛無忌を追い払ってしまう。
怒っている莘月を見て、すぐに原因が衛無忌だと分かる紅姑。紅姑は「数日、塞ぎ込んでいたのに怒る元気が出て来た?」と言う。衛様があなたの様子を心配してたけど、からかいに来ていたのねと。"そういえば衛無忌とやり合ってたら暗い気持ちが晴れたみたい。彼、わざと私をからかったの?"と莘月は思う。そこに小淘と小謙が戻ってくる。
肩こりの処方箋しか書かれていなくても、九爺からの文が莘月は嬉しい。
落玉坊の商売は右肩上がり、もう1軒、歌舞坊を買えそう、と紅姑は莘月に話す。莘月は「構わないわよ」と答える。その時、冒雲珠が秋香を無理やり連れて行こうとする騒ぎが。莘月は冒雲珠だと気づき、すぐに逃げるように立ち去ろうとする。しかし、そんな莘月を冒雲珠は見逃さない。莘月の前へ行き「やっぱり姉さんなのね」と言う冒雲珠。曇った顔のままの莘月に、冒雲珠は「私1人で来たの。王様はいないわ」と言う。
莘月は慕容峰(羯族の王太子)や胡偉立、冒雲珠といつも遊んでいた仲だった。
昨夜、衛無忌に抱きついていた莘月をちらりと見た冒雲珠。王太子から莘月は死んだと聞いていた冒雲珠は確かめるために落玉坊に来ていた。冒雲珠は王太子の死因が重い病だったと言うが、莘月は信じない。
冒雲珠も後継の座を奪った王が憎かったと言う。しかし莘月の父が亡くなった日、独り寂しそうに目に悲しみをたたえている姿を見て憎しみが消えたと話す。莘月の父も南朝の礼儀で王様が葬ったと。
莘月の父は太后を愛し、共に建安から砂漠へ来ていた。守るべき太后が自害し、その後を追ってしまった父。莘月は泣きながら「そもそも元凶は誰?」と言う。自ら手を下さずとも胡偉立のせいだと。そして「あなたには過去でも私には癒えない傷よ。ようやく傷から血は流れなくなった。なのに、なぜ傷を開くような真似をするの」と莘月は言う。
父に言われ慕容峰と逃げた莘月。しかし途中で慕容峰が「私が奴らを引きつける。君は狼の元へ戻れ」と言い、別れていた。
胡偉立を憎んでいた莘月だったが、それでも復讐の連鎖は望んでいないと莘月は冒雲珠に話す。二度と会いたくないだけだと。そして自分と冒雲珠ももう会わないほうがいいと言う莘月。莘月が「幼なじみとしての情が残っているのなら私の存在は忘れて」と言うと、冒雲珠は泣きながら帰って行く。
来年の幸運を運んでくる事を願い、落玉坊でお年玉を芸妓たちに配る。莘月にも衛無忌からの贈り物が。しかし「気に入った品があったら好きに持っていって」と芸妓たちに言い、莘月は見もしなかった。
衛無忌からの贈り物は芸妓たちで分け合い、残ったのは砂漠に伝わる異民族の楽器だけだった。紅姑はその楽器を持って莘月の部屋へ行くが、建安では使い道がないと莘月は言う。それよりも石舫に贈り物をしなくていいか気になる莘月。そこに小淘と小謙が来る。明日の昼に石舫へ遊びに来いと書かれた九爺の文を読み「初めて九爺様から誘ってくれたわ」と莘月は喜ぶ。
翌日の元旦。莘月は九爺の屋敷へ行く。
九爺に体調を心配され"九爺様に心配されると、冬の太陽に照らされてるような気分"と思い、嬉しくなる莘月。九爺は「去年の今日、私たちは再会した。だから勝手ながら1月1日を君の誕生日にした」と誕生日を知らない莘月に言う。
祝いのために九爺が用意した食事は麺だった。「彭祖が長寿だったのは顔が長いからだ。顔とは面。つまり面が長いと長寿になる。だから誕生日に麺を食べて長寿を祝うんだよ」と言う九爺。感動した莘月は「誕生日なんて初めて。すごくうれしい」と涙を流しながら麺を食べる。肉が一番おいしいと思ってた、でも、一番美味しい食べ物は麺だったのね、と。
食事が終わり、莘月は最近笛で新しい曲を練習していると九爺に話す。どんな曲か九爺が聞き「吹いてあげるわ。聞けば分かる」と莘月は言う。九爺は自分の笛を莘月に渡す。
莘月が吹き終わると「いい曲だが心には響かない。もう帰りなさい」と言う九爺。「この曲を知らないの?」と莘月が聞いても「遅いから帰るんだ」としか九爺は言わない。"なぜ?なぜなの?知ってるくせに"と笛を持った手をつよくにぎり、爪で自分の手を血が流れるほど傷つけてしまう莘月。笛を置いた莘月は、駆けて部屋を出ていく。
ぼんやりと街を歩いていた莘月。子供が燃やしていた竹の火の粉で着物が燃えはじめ、慌てて消そうとするがなかなか消えない。その時、衛無忌の投げた外套が飛んできて、燃えていた着物の火が消える。
新年の挨拶の帰りだった衛無忌は、莘月が吹いていた曲が「越人歌」で、女が告白する曲だと分かったと言う。楚の鄂君は越の女が漕ぐ小舟に乗った、女は鄂君に恋をしたが言葉が通じぬため曲を歌った、鄂君は越の女の気持ちを感じ取り家に連れ帰ったと。そして「彼女のように幸せを願う女は多いが、想いがかなうとは限らない」と言う衛無忌。衛無忌は「面白い場所がある。連れて行こう」と涙を流している莘月の手を引く。
衛無忌は莘月を仲間たちと酒を飲んでいた李佶の所へ連れて行く。一度会った事がある莘月と李佶は挨拶を交わす。
強くない酒を大量に飲み、酔いつぶれてしまう莘月。衛無忌は馬車で送りながら、莘月が右手を怪我していると気づき「痛まないか?」と心配する。莘月は「痛いわよ、ここがね」と言いながら胸を叩く。そのま眠ってしまった莘月を自分にもたれさせ、衛無忌は肩を抱く。
落玉坊に着き、莘月を寝台まで衛無忌は運ぶ。手を負傷していることを紅姑に伝え、帰ろうとする衛無忌。そんな衛無忌の手をつかみ「行かないで。ちゃんと説明してよ。なぜ?私の気持ち、知ってるんでしょ?」と莘月は言う。衛無忌は「分かったから、まず休め。休んだら話そう」と言い聞かせる。「なぜ、優しくするの。私を突き放してよ。優しくしないで、そのほうがつらくない」と言いながら莘月は眠ってしまう。
衛無忌は自分で傷つけないよう爪を切るよう紅姑に言って帰って行く。
翌朝。目覚めた莘月は、どうやって帰ってきたのかも分からない。泥酔していた莘月を、衛無忌が送り届けてくれたと話す紅姑。自ら抱きかかえて寝かせてくれたと。
紅姑は衛無忌の真剣な顔で、莘月にぞっこんだと痛感したと言う。両手で顔を隠してしまう莘月。
あの曲を九爺に吹くべきじゃなかったのか莘月は悩んでいた。しかし100日以上待ち続けてようやく出た金銀花の芽を見て「鴛鴦藤だって頑張ってる。諦めちゃ駄目よ。諦めなければ私と九爺様の愛情も芽が出るはず。きっと花を咲かせられるわ」と言う。
ーつづくー
莘月と冒雲珠は仲が良かったのね…。
もちろん胡偉立とも。
復讐の連鎖を止めた莘月のためにも、胡偉立と莘月が会いませんように(;△;)
お誕生日を作ってもらい、麺でお祝いまでしてもらって莘月は嬉しそうだったー。
でも、そのすぐ後でつらいことが…(*´Д`*)
九爺にも事情があるとは思うけど、あれは傷つくよね。
金銀花の芽で前向きになってくれたことも、良かったような、良くなかったような…(;´д`)ノ
衛無忌は莘月のことよく分かってる(*´ー`*人)
慰めるんじゃなく、どうやったら元気になるかを。
でも、莘月は九爺にしか目がいってないものね。
まだ先は長そう(o´д`o)=3
でも、今回の衛無忌もカッコよかったー!!
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元棋から教えてもらった笛の曲は「越人歌」だったのですね。
无忌は分かっていたけれど、業と知らないふりをして。
月兒は一度の挫折はものともせず、頑張るみたいですけれど、どうすれば九爺の心は動かせるのでしょうか?
そうそう、今回のエピから
お誕生日祝いは姐姐がアイコンに使われている麺にしますか?
お茶会お礼にもコメします~
冒雲珠とは幼なじみだったんだ。
この前の夜とは違って可愛い感じもしますね(*^^*)
このまま上手く収まるといいのですが…
そしてうささん、九爺~そうですよね!
シン月のために梅の花を飾って、お誕生日作ってくれて、長寿麺でお祝いしてくれてあの笑顔で微笑まれたら…シン月でなくても好意を持ってくれてると思いますよね!
それなのに…「心には響かない」って九爺ひどいよ(;△;)
九爺なりの理由があるのかもしれないけどもう少し言いようがあるんじゃ…
傷ついたシン月を慰めてくれてのはやっぱり衛無忌(*^^*)
新年の贈り物には見向きもされなかったけど、慰め方が軍営でお酒なの!?だったけど、酔ったシン月をちゃんと送り届けてくれたし、すごくシン月を思ってるのは伝わってきました。
衛無忌もやっぱり大人の男性のようですね(*^^*)
今回も衛無忌の株が少しアップかな~(*≧∀≦*)
シン月はまだ九爺諦めないようだけど。