バニの黄昏、その三話

　　　おいらは、バニです

　　先日の新木場ＢＢＱ、おいらも運転手で連れていってもらえました

　　重たい荷物を運び終えて　テント設営も完了して

　　甥っ子とサッカーして遊び始めたら

　　あの人が　缶ビール片手に　おいらのところに来ました

　　そして、一言・・・

　　「若いんだから遊んでないで　焼くの手伝いなよ」だって・・・

　　普段は、ちょっとなんか言うと

　　「年下のくせに」

　　とか

　　「あたしより人生経験が少ないくせに」

　　とか言ってるのに　こういうときだけ　

　　「若いんだから」って・・・

　　

　　ここで逆らったらどんなことになるか

　　良くわかってるおいらとあの人の弟は　急いで焼き係に入りました

　　そんで　いつも焼き係をしてくれる、とみさんに

　　「バニチーフ」とか言われちゃって　ちょっと得意げにもなったり


　　おいら達焼き係が　大汗かきながら肉を焼いたりしてる間・・・

　　あの人は　日陰で

　　そして、ワンコを周りにはべらかせて　遊んでるだけ

　　でも、決して文句は言えません


　　大量の食材をガンガン焼き続け

　　恒例のハマグリの酒蒸しの出番となりました

　　これは、酒の量やらなんやら全てとみさんにお任せです

　　で、この酒蒸しの蓋を開けるのも　ず～っと　とみさんでした

　　「今回は蓋を開けた時の写真を撮りたいなぁ～」

　　と、とみさんが言ったら

　　なんと

　　あの人が

　　「じゃぁ、あたしが開けるよ」

　　だって・・・


　　そんでおいらに

　　「このカメラであんたが写真撮っておいて失敗は許されないよ」

　　この一言で　周りの方々が

　　「バニさん、こっち側に来て」

　　「この位置で撮れば大丈夫だから」

　　と、一番良い撮影位置をおいらに提供してくれました



　　鼻歌交じりで蓋を開けるためのステンレスの長い挟むのを持つあの人

　　その姿は、まさに

　　「鬼に金棒」

　　そしたら、またここでハプニング

　　es○○さんが

　　「きゃふさん、年なんだから無理しないでよ」

　　みたいなこと言っちゃったから

　　その瞬間、おいらの方に金棒を向けて

　　「あんた、es○○さんと　あっちでタイマンはってきて」

　　だって・・・

　　おいらは、平和主義者なんですけど・・・


　　タイミング良くハマグリちゃんたちが「カチン」「カチン」って

　　貝柱を開いた音を立て始めてくれた

　　そんなことしてる場合じゃなくなった

　　息を飲んで　蓋が開く瞬間を構えてまつおいら達

　　あの人が　ついに蓋を開けた

　　って、思ったら　これだよ

　

　　カメラマンが並んでる側じゃなくて　自分しかいない方に蓋を開けた

　　どんだけ自己中なんだか

　　「きゃふさん、逆逆」

　　って言葉もなんのその

　　おまけに、蓋を落っことしたあの人

　

　　慌てて、誰かがフォローに入ってやっと蓋が開いたよ

　

　　ここで、またあの人が

　　「なにぃ～これ、片側に寄っちゃってるじゃん」

　　って・・・

　　それは蓋を落としたせいなんですけど

　　あの人はおもむろに金棒でハマグリを均等にならして

　　「はいっできましたよぉ～写真撮ってくださぁ～ぃ」

　　って、何事もなかったように言い放った

　　そして、おいらはちゃんと撮った

　


　　そんだけ大騒ぎしても

　　高らかに笑ってるあの人

　

　　写真、ちゃんと撮れてて良かった・・・

　　ぶれぶれぼけぼけだったら何言われたかわかんないから

　　自分の失敗は笑い飛ばしちゃうあの人が、羨ましい


　



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